新型肺炎「武漢だけで、2月4日までに最大35万人超が感染」英米研究チーム
世界各地への急拡大が止まらない新型コロナウイルス。
感染者数はこの1週間で急増して2744人に達し、80人が亡くなった(米国時間1月26日17時時点)。
アメリカでも、ワシントン州に続き、イリノイ州シカゴ、カリフォルニア州オレンジ群、カリフォルニア州ロサンゼルス群、アリゾナ州でも感染者が見つかり、総感染者数は5人となった。
最大35万人超が感染か
世界の研究者たちがこのウイルスの研究に躍起になる中、1月24日(米国時間)、イギリスのランカスター大学とグラスゴー大学、そしてアメリカのフロリダ大学の研究者からなる研究チームが科学論文を発表、恐ろしい予測をした。
2月4日までには、武漢だけで、感染者数が25万人以上に達するというのだ。論文によると、感染者数の予測区間が164,602人〜351,396人とあるから、最大35万人超が感染している状況となる可能性がある。
この予測通りになるとしたら、今、武漢で建設中の2つの病院だけで対応できるのか? コントロール不能になるのではないか? 実際、アメリカのメディアは、この論文について「新型コロナウイルスの伝染率はコントロールを困難にする」という見出しで報じている。
潜在感染者が約95%もいる
この研究チームによると、武漢で感染していると診断された人々の数は、実際の感染者のわずか5.1%に過ぎないという。つまり、約95%の感染者は自分が感染していることがわかっておらず、そのため、他の人に知らず知らずのうちに感染させている“潜在感染者”ということになる。このことを考慮すると、今年初めから1月21日までの武漢での感染者数は11,341人になるという。ちなみに、1月21時点では、感染者数は、公式には440人と報告されていた。
そして、このまま、武漢で感染拡大の勢いが衰えない場合、2月4日には、武漢での感染者数は25万人以上になると予測している。
また、この研究チームは、1人の感染者が他の人に感染させる可能性のある人数を3.6〜4.0人と推定。これは、WHO(世界保健機関)が推定した1.4〜2.5人よりはるかに大きい。
渡航制限は効果なしか
また、感染が制御できず、伝染が拡大していった場合、中国の他都市や海外にも急速に広がるという。
中国で爆発的大流行(アウトブレイク)が起きると予測されている都市は、上海、北京、広州、重慶、成都など主要都市ばかりだ。また、海外では、旅行を通して、タイ、日本、台湾、香港、韓国に広がるリスクがあると指摘している。
中国は武漢など14都市を封鎖し、国外への団体旅行も禁止した。世界の国々も武漢への渡航を制限している。しかし、渡航制限をしても、あまり効果がなさそうだ。
この論文は「旅行を99%制限したとても、武漢以外での感染は、2月4日には、24.9%しか減少しないだろう」と予測している。つまり、ウイルスはすでにそれだけ拡大してしまったということか。
また、米ジョンズ・ホプキンス大学は、世界各地の感染者と死者の数、そしてロケーションをほぼリアルタイムに表示する感染者マップを作成した。
変異も始め、感染力も強くなると言われている新型コロナウイルス。世界は拡大を続けるこのウイルスを封じ込めることができるのか?
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