寒すぎる北海道で災害が発生したら?避難所運営ゲームで高校生が模擬体験
元旦に発生した能登半島地震では、ひと月が経つ今も多くの方が避難生活をされています。発生数日後には雪も降り、被災地では寒さが厳しい状況。
南北に長い日本列島でも、冬といえば北海道ですね。内陸ではマイナス30度ほどにもなる極寒の地! そんな北海道の真冬に巨大地震や津波が発生したら、どんな避難生活が待っているのか、想像するだけでも寒さで凍りそうです。
北海道の中でも高い確率で巨大地震が発生すると予想されている道東の根室市では、高校生たちが真冬の避難所運営について、カードゲームを活用した授業に参加しました。寒い根室市ですが、熱い議論が飛び交った様子をレポートします。
高齢者から子連れまで避難者の属性はさまざま!
北海道根室高等学校は日本最東端の高校。日本一早く日の出が見られる高校(?)でもあります。この日は3年生150名が防災教育授業に参加。
根室市役所の防災担当職員が講師となり、静岡県が開発し、厳冬期を想定して北海道が改良した避難所運営カードゲーム「Doはぐ」を活用。
避難者の特徴を記した青、避難所で起こり得る様々な状況を赤、時刻や天候などの周囲の環境を示した黄色の、3種類のカード100枚を使い、カードが示す状況に次々と対応しなくてはならないという、なかなか頭脳と体力が必要なもの。
青のカードには90歳代の高齢夫婦や、乳幼児を連れた親子、またひとりで避難してきた人でも後から家族が合流する可能性がある人など、さまざまな属性が示されています。
高校生たちは「高齢者の場合はトイレにいきやすいように入口の近くの場所にいてもらおう」「妻がインフルエンザの可能性がある人には、1年1組の教室で隔離させてもらおう」などと、およそ1分の間に属性に合わせた避難場所の設定などを行っていきます。
ゴミの分別は?ストーブの設置場所はどうする???
続々と集まってくる避難者に対応しながら、赤いカードには「ゴミを出したいのだけどどうしたら良いですか?」「ストーブが3代配布されました」など、刻々と変わる状況のお知らせが。
あるグループでは、
「この際ゴミの分別は後からでもいいよ!」
「いや、やっぱり初めからやった方がいい」
「最低限、缶とびん、プラスチック、ペットボトルには分けよう」
と意見が様々。最終的には最低限の分別は行うことにして、それぞれのゴミ箱の設置場所も決めていきました。
また真冬の避難所では寒さへの対策も必須。
ストーブが配布されたとのお知らせでは、各グループにより設置場所が違いました。ひとつのグループは体育館に3台全てのストーブを、ほかのグループでは教室に設置して暖かい場所を作り、寒くなったらそこに集まってもらうようにしていました。
普段は考えたことがないから難しい
100枚のカードの指示を全て対応し、避難所運営ゲームは終了。
高校生たちに感想を聞きました。
「高齢者や子供さんを連れた人には、教室を使ってもらうことにしました。避難所については普段あまり真剣に考えたことがなかったので、それぞれに対応するのは難しかったです」
「たくさんの人が集まって来て、それぞれが不満なく過ごしてもらうためにはどうしたらいいのか、とても考えさせられました」
担当の山本先生は
「震災が発生した時の避難所運営では、高校生は積極的に力になって行くことが求められます。多くの被災者を助けるためにも、避難所の中心的な役割を担う人材になってもらいたい」と話していました。
北海道根室高校では1年生で地震や津波のメカニズムを、2年生では救命救急講習、また全校生徒を対象とした高校生防災会議など、全校を挙げて防災教育に取り組んでいます。
ぜひ全国の学校やさまざまな団体などでも参考にしていただきたいですね。