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非常に強い寒気が南下 寒い北日本と暖かい西日本、寒暖差が大きい東日本という傾向は続く

饒村曜気象予報士
東京都心雪景色(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

北極の寒気が分裂

 冬期間に太陽が全くあたらない極地方では、上空に極渦と呼ばれる非常に冷たい空気の渦巻ができます。

 平成31年(2019年)1月末には、極渦が2つに分裂し、一つはカナダ東部やアメリカ北部に南下しました。このため、ミネソタ州で氷点下44度を観測し、大都市であるシカゴでも氷点下30度を観測するなど、記録的な寒波で大きな被害が発生しました。

 世界に大きな影響を与えている地域での寒波であったため、寒波に関するニュースは世界をかけめぐりました。

 分裂した極渦のもう一つは、バイカル湖付近まで南下しましたが、こちらは人口が非常に少ない地域であったため、寒波に関するニュースはでてきませんでした。

 これから建国記念の日を含む三連休にかけて、バイカル湖付近に南下した極渦は弱まりながら東進し、その一部が日本付近まで南下してきます(図1)。

図1 約5500メートル上空の気温(2月10日夜)
図1 約5500メートル上空の気温(2月10日夜)

寒い北日本と暖かい西日本

 今冬のこれまでの気温は、北日本では平年より低い日が多く、西日本は平年より高い日が多いという特徴があります。

 これから建国記念の日を含む三連休にかけて周期的に寒気が南下してきますが、この傾向は同じです。

 2月6日(水)は、日本の南岸を低気圧が東進する影響で西日本では朝から雨が降り、雨域は次第に東へ広がる見込みです。また、日本海北部に発生する低気圧の東進で、北海道、東北北部で夜には再び降雪が強まる見込みです。

 そして、2月7日(木)は以降は北日本を中心に冬型の気圧配置が強まって強い寒気が南下します(図2)。

図2 予想天気図(2月7日9時の予想)
図2 予想天気図(2月7日9時の予想)

 この強い寒気は、分裂した極渦の一部で、これまでより強く記録的なものです。

 札幌でさえ2月9日の最高気温は氷点下9度で、北海道の内陸部ではもっと冷えます(図3)。

 最低気温ではありません。札幌の最高気温が氷点下9度で、翌日の最低気温は氷点下13度という予報です。

図3 札幌の2月の最高気温と最低気温(6~12日は気象庁、13日以降はウェザーマップの予報)
図3 札幌の2月の最高気温と最低気温(6~12日は気象庁、13日以降はウェザーマップの予報)

 ただ、この強い寒気は西日本まで南下しません。

 西日本では寒気が南下しても、ほぼ平年並みの気温です(図4)。

図4 福岡の2月の最高気温と最低気温(6~12日は気象庁、13日以降はウェザーマップの予報)
図4 福岡の2月の最高気温と最低気温(6~12日は気象庁、13日以降はウェザーマップの予報)

寒暖変化の大きな東日本

 今冬の東日本のこれまでの気温は、寒暖差が大きいものの、平均すると平年並みという特徴があります。

 2月に入ってからの東日本も、平年を大きく上回る日があるかと思えば、平年を大きく下回る日があり、平均すると平年並みと、これまでの傾向と同じです(図5)。

図5 東京の2月の最高気温と最低気温(6~12日は気象庁、13日以降はウェザーマップの予報)
図5 東京の2月の最高気温と最低気温(6~12日は気象庁、13日以降はウェザーマップの予報)

 図6は、東京の最高気温と最低気温を交互に並べたものです。

図6 東京の最高気温と最低気温(6日以降は気象庁の予報)
図6 東京の最高気温と最低気温(6日以降は気象庁の予報)

 2月4日の最高気温が19.4度、2月5日の最低気温が5.4度ということは、約半日で気温が14度も下がったことになります。

 7日の最高気温が17度(誤差幅を考えると13~18度)、8日の最低気温が3度(誤差幅を考えると2~5度)ですので、差は14度(場合によっては16度)もあります。

 北日本では強い寒気に対する対策が必要ですが、東日本も急激な温度変化も加味した寒さ対策が必要です。

図1の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図3、図4、図5、図6の出典:気象庁資料、ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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