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早稲田大学は、なぜ早慶戦で苦しんだのか。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
雨風に見舞われた(写真は著者撮影)。

 関東大学ラグビー対抗戦Aの伝統の一戦、早慶戦が11月23日、東京・秩父宮ラグビー場であり、早稲田大学が慶應義塾大学に17-10で勝利。それぞれ戦績を6勝0敗、2勝4敗とした。

 今季は下馬評で有利とされた早稲田大学だが、自軍のミスや反則への対応、慶應義塾大学のタフな防御などのため苦戦。前半を10-10の同点とし、後半10分に勝ち越し後も防戦一方の場面が多かった。

 試合後、相良南海夫監督と齋藤直人キャプテンが会見した。

 以下、共同会見時の一問一答。

相良

「天気の悪いなか、大観衆のなか、伝統の早慶戦ができ、勝利を収め、本当に良かったと思っています」

齋藤

「多くのお客さんに集まっていただき試合ができたこと、本当に嬉しく思います」

相良

「勝ったというポジティブな気持ちしかありません。はい。まぁ、もしかしたら、帝京大学戦後の2週間、私を含めたコーチ陣、OBが選手に意識させ過ぎたのかもしれません。慶應義塾大学が今季(2勝3敗と)いい成績ではなかったので、こういうなかでの慶應義塾大学は怖いぞと。ただ、何はともあれここ10年ほど、早慶戦では1トライ差など競った試合が続いている。相手の成績に関係なく厳しい試合になる」

――試合中盤以降、苦しんだ背景は。

齋藤

「崩れた要因としては敵陣での自分たちのペナルティ、キック処理の誤り…。自分たちのミスで相手を自陣に来させてしまい崩れたのが、前半の2つの失点シーンだったと思います。前半は風下で我慢の時間帯が続くと言われていて、『規律を保ってディフェンスを』と。後半は風上に立ったのでエリアを取りながらゲームを優位に進めようと話していきました。ただ試合を通して、ペナルティの部分でレフリーとコミュニケーションを取り切れなかったのがリーダー陣の課題かと思います」

――事前に苦戦を想定していたか。

齋藤

「想定外のサインプレーも必ずあると監督、コーチから言われてきたので、その想定はできていた。しかしファーストプレー(ラインアウトからの変化をつけたプレー)など、見ていないプレーをされた時に失点した。今後の試合は、対策していきたいです」

――防御で耐えられた。

齋藤

「初めから我慢の勝負だと想定していた。我慢してターンオーバーすれば自分たちのゲームができると言っていたので、チーム全員でディフェンスの時間は横とつながって守り切ろうという認識でいられた。いいディフェンスができている時はそこが全員で共通認識できたと思います」

相良

「選手の成長を感じました。キャプテンも言ったようにレフリーとのミスマッチというか、相性も悪いなか、あの場面(自陣ゴール前で貼り付けにされたシーン)では反則せずに守りきれたのは、2年間、積み上げたことがしっかり選手に根付いてきたのかなと見て取れました」

――「崩れた」要因。改めて。

齋藤

「やはり、レフリーとのコミュニケーションが取り切れなくてペナルティを取られる場面が多かった。ロングキックの処理を誤った場面は――悪天候を想定はできていたのですが――そういったなかでのミスも響いたかと思います」

――6戦全勝で12月1日の早明戦(明治大学戦)へ。

相良

「きょうは勝ったことをポジティブに捉えていて、明治大学の結果次第では全勝で早明戦を迎えられる。ここは我々にとって目指しているところでもあった。そういう形で対抗戦最終戦にすべてをぶつけられる舞台を整えられたことは嬉しく思っています。来週に向け、できる限りのいい準備ができたら」

齋藤

「全勝は嬉しいことですけど、特に前回(帝京大学に34-32で辛勝)と今回の試合で厳しい試合をして、全部員、現状に満足してはいないと思う。明治大学戦まで、相手の対策をするというより1週間で成長するという意欲を持って過ごしたいと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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