2024年10月24日、JRグループは冬の青春18きっぷの販売について発表を行ったが、この冬から青春18きっぷの利用ルールが大きく変更されたことから、SNS上を中心に大きな騒ぎとなっており、「JR旅客6社に対し、青春18きっぷを従来の制度に戻すよう要望する」オンライン署名活動にも発展している。

　この冬から青春18きっぷは、自動改札利用ができるようになるものの、「連続する3日間用」と「連続する5日間用」の2種類の販売に変更される。販売価格は3日間用が10,000円、5日間用が12,050円となる。発売期間は3日間用が2024年11月26日～2025年1月8日、5日間用が2024年11月26日～2025年1月6日で、利用期間はどちらも2024年12月10日～2025年1月10日となる。

　これまでの青春18きっぷは、春・夏・冬休み期間中の任意の5日間で利用でき、複数人でのグループ利用もできたが、今回の変更により連続した日数での利用が必須となりグループ利用も不可となる。こうしたことから、利用者からは「青春18きっぷの良さが失われてしまった」と戸惑いの声が広がっており、オンライン署名活動も立ち上げから1週間余りで2万5000人を超える賛同者を集めたほか、産経新聞やテレビ朝日でも取り上げられた。

　昨今のJRグループは旅客6社間の分断が進み、周遊券やその後継とされた周遊きっぷが廃止されて久しく、JR各社で共通して利用できるフリー切符は減少傾向にある。また、新幹線の延伸開業と引き換えに並行在来線がJRから経営分離され、運賃が値上げとなるほか、それまで利用できていたJRのきっぷが使用できなくなるなど、フリー切符の利用にも制限が増え、鉄道利用者の不満はたまる一方のようだ。

　こうしたことなども背景として、SNS上には「外国人に売っているジャパン・レール・パスを日本人にも売ってほしい」、「何で日本という国は、何事においても外国人にはめちゃくちゃ優しいのに、日本人にはどこまでも世知辛いのだろう」と訪日外国人向けのフリー切符に対して不満が漏れ始めている。

　ジャパン・レール・パスは、訪日外国人向けのJR全線乗り放題切符であるが、新幹線にも乗車することができるなど、青春18きっぷとは大きく条件がことなるものの、7日間用で普通車用が5万円、グリーン車用が7万円となっている。大幅値上げを行った昨年2023年まではもっと廉価に利用できたが、値上げとなった現在の価格でも円安下では訪日外国人旅行者にとってはさほどの割高感はないであろう。

（了）