4日ぶり運転再開の特急北斗号でまたトラブル JR室蘭線静狩―小幌間で線路異常 迂回ルート整備は必要か
2024年11月19日、JR北海道、函館本線の森―石倉間で発生した脱線事故から4日ぶりに運転が再開された特急北斗号であるが、今度は室蘭本線の静狩―小幌間で線路に異常が見つかった影響で、一部の列車に遅れが出ているようだ。報道によると13時半ごろ静狩―小幌間で点検中の保線作業員が線路をつなぐ板が折れていることを発見し、その補修作業が終了した15時過ぎに運転を再開したという。
室蘭本線の静狩―小幌間は、山が海までせり出している険しい地形の中を、トンネルで貫いている区間であり、小幌駅は駅まで到達できる道路がなく、周辺から隔絶された鉄道でしかアクセスできない秘境駅として有名な駅だ。
室蘭本線の鉄路寸断のリスクはこれだけではない。沿線には20~30年周期で定期的に火山活動を繰り返している有珠山があり、前回の2000年の噴火時に室蘭本線が長期不通となった際には、特急列車や貨物列車が函館本線の倶知安経由で運転された。前回の噴火から24年が経過し「すでにいつ噴火してもおかしくない」という有識者からの指摘もある。
ドライバーの残業規制が強化された2024年度を迎え、北海道内の鉄路が寸断されるたびに旅客列車のバス代行や貨物列車のトラック代行が難しくなっている事態が表面化している。貨物列車の寸断は、北海道で生産される農産物の出荷停止につながりかねず、日本の食料安全保障にも影響を与えかねない。さらに、道民の生活を支える加工食品や書籍、宅配便なども貨物列車で運ばれていることから道民生活にも影響を与えかねない問題だ。
室蘭本線については、函館本線の倶知安回りを迂回ルートとして活用できることから、今後の災害に備えて国の施策として、鉄道に対する予算を厚くし、特急列車や貨物列車の走行にも十分に耐えうるように整備するべきではないだろうか。
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