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大企業のアンチエイジング 30代でも「新陳代謝枠」に?

横山信弘経営コラムニスト
まさか30代の自分が早期希望退職の対象者に……(写真:アフロ)

■「まさか、30代の自分が?」

9月末にパナソニックが実施する早期希望退職に、1000人を超える応募があった。ものづくりに偏重した人材の新陳代謝を進めるのが目的だ。対象は【勤続10年以上】の社員。なんと、30代でも対象となった。

当然、

「まさか、自分も?」

と30代の社員は驚いたはずだ。このように、大胆に新陳代謝を進める企業の中には、30代でも『新陳代謝枠』にいれる例も出てくるようになったのだ。

■『新陳代謝枠』とは?

それでは『新陳代謝枠』とは何か?

昨今、経済同友会の夏季セミナーでサントリー新浪社長が『45歳定年制』を発言し、議論を呼んだ。とくにネットの反応は大荒れで、サントリーの不買運動にまで発展しそうな勢いだった。

しかし新浪社長の発言を支持する声も少なくない。新卒で雇った社員を70歳近くまで面倒をみられる企業は、たとえ大企業であっても、もうほとんどないからだ。

若いころはともかく、年齢を重ねると個人差は広がる。働く意欲やスキル、人脈においても、40歳を過ぎればずいぶんと差が出る。

だから企業は『新陳代謝枠』を設け、”古いものと新しいものの入れ替え”を半強制的にしようと考える。これまでの「リストラ」とは明らかに違う。企業そのものの老化を防ぐ「アンチエイジング」が目的だ。

■30代ホワイトカラーへ伝えたいこと

実際に、今年に入って「新陳代謝」「世代交代」「人材の流動化」といったキーワードが頻繁にニュースで取り上げられている。

医薬品卸大手スズケンは【45~59歳】を対象に希望退職者を募った。大和ハウスは【45~54歳】までを対象に。8月に2000人の早期退職者を募ったホンダは【55~64歳】を対象にしたが、『新陳代謝枠』はどんどん若年層にまで拡大している。

テクノロジーの進化は恐ろしく速い。「様子見」をするような思考の人はあっという間に置いていかれる。だから巷では、失敗を恐れずに走りながら考えるアジャイル的な発想がもてはやされている。

この能力は運動神経のようなもの。絶えず変化を受け止め鍛えておかないと、すぐに衰えてしまう。30代であっても変化を嫌っていれば、若年層の成長を妨げる「老廃物的存在」と企業はみなすだろう。

以上から、とくに30代のホワイトカラーに伝えたい。

就職(職に就く)よりも、就社(社に就く)精神が強い中高年を見習ってはならない。30歳を過ぎたら今後のキャリア形成を真剣に考え、40歳あたりで、兼業・複業・独立できるぐらいのスキルや人脈などを今から身につけておくのだ。

いつ『新陳代謝枠』に入ってもいいように、である。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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