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羽生善治九段(51)復調なるか? 近藤誠也七段(25)今期でブレイクするか? 10月5日、王将リーグ

松本博文将棋ライター

 10月5日。東京・将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ戦▲近藤誠也七段(25歳)-△羽生善治九段(51歳)戦がおこなわれます。

 羽生九段は1回戦、永瀬拓矢王座に敗れました。

 羽生九段の今年度成績は4勝11敗(勝率0.267)です。

 羽生九段の過去の最多連敗記録は6連敗です。

 現在発表されている公式記録を見る限りでは、羽生九段は現在7連敗中です。一般的に連勝、連敗などの記録は、未放映のテレビ対局がすべて放映されるまでは確定しません。なのでまだ羽生九段がワースト記録を更新してしまったとは言えませんが、不調であることは間違いないでしょう。

 羽生九段は王将位通算12期。公式戦の生涯勝率は7割近くで、年度単位では35年連続勝ち越している、レジェンド中のレジェンドです。今年度はここまで黒星が先行していますが、このあたりで復調のきっかけをつかむことができるでしょうか。

 近藤誠也七段は今期、一次予選、二次予選と強敵を連破して勝ち上がり、2回目のリーグ入りを果たしました。

 今期リーグメンバーの中でタイトル戦登場、獲得の経験がないのは、近藤七段だけです。

 しかし近藤七段は順位戦ではB級1組に所属。今年度も17勝7敗(勝率0.708)と安定した成績をあげていることからも明らかな通り、実力は折り紙付きです。そろそろ大ブレイクしてもなんら不思議ではない若手の一人でしょう。

 近藤七段は2016年、参加1期目で一次予選、二次予選を突破。新鋭四段が王将リーグに入るのはかなり異例のことです。結果は2勝4敗でリーグ陥落となりましたが、前期挑戦者の羽生三冠(当時)を破る金星をあげています。

 その後は羽生現九段が貫禄を示し、近藤七段に4連勝中です。

 近藤七段は所司和晴七段門下。渡辺明王将(名人・棋王)の弟弟子にあたります。

 同門同士の頂上決戦といえば、古くは木見金治郎九段門下の升田幸三元名人と大山康晴15世名人が多くのタイトル戦で争い続けたことで有名です。近年ではほとんど例がありません。

 渡辺王将と近藤七段、兄弟弟子による七番勝負は実現するでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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