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プロデビューから9年。世界タイトル挑戦者決定戦に勝利した29歳

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin/SHOWTIME

 WBA10位にランクされる29歳のスーパーライト級、ケネス・シムズ・ジュニアが同3位のバティル・アクメドフを116-112、115-113、114-114の判定で下し、初の世界タイトル挑戦へ一歩近づいた。

 アクメドフが放ったパンチは331発で、シムズは309発という接戦だった。シムズのパワーパンチの命中率は46%で、アクメドフのそれは40%だった。

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 リングアナウンサーのジミー・レノン・ジュニアが勝利者をコールすると、シムズはキャンバスに倒れ込み、父でトレーナーのケネス・シムズ・シニアの胸に顔を埋めてすすり泣きした。まさにキャリア最大の勝利であった。

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 この白星で7連勝となったシムズは、自身の戦績を20勝(7KO)2敗1分とした。32歳のウクライナ人サウスポー、アクメドフは9勝(8KO)3敗になったが、数字が示すようにKO率の高さが目を引く。

 アクメドフの強打に耐えたシカゴ出身のシムズは、8回戦時代に2度の敗北を経験。現在はラスベガスに居を構え、父親と二人三脚で進んできた。

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 会心の勝利を掴んだシムズは語った。

 「これこそ、何年も待っていたものだ。私は世界タイトルになど挑戦すべき選手ではない、と言われてきた。誰も私がここまで上って来られるなんて予想していなかった。でも、ずっと自分がベストであると信じている。スーパーライト級の誰とだって、戦う準備はできている」

 右目を腫らしたシムズの顔が、激戦を物語っていた。2014年3月のデビューから、階段を上ってきたシムズ。この一戦は「WBAスーパーライト級挑戦者決定戦」とされていたが、タイトル挑戦は実現するのか。苦労人にチャンスが与えられることを望む。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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