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痴漢など若年層の性暴力被害に関する実態調査を内閣府が初めて実施。その結果は?

室橋祐貴日本若者協議会代表理事
(写真:イメージマート)

内閣府男女共同参画局は、2022年6月17日、全国の若者(16~24歳)を対象に実施した、性暴力被害に関する初の実態調査の結果を公表した。

若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果報告書(内閣府男女共同参画局)

回答のポイント

〇対象者6,224人のうち1,644人(26.4%)、約4人に1人が何らかの性暴力被害にあったことがあると回答した。

〇性暴力被害の分類別にみると、言葉による性暴力被害が17.8%と最も高く、次いで身体接触を伴う性暴力被害が12.4%、情報ツールを用いた性暴力被害が9.7%と続く。性交を伴う性暴力被害は4.1%となっている。

性交を伴う性暴力被害の特徴

〇加害者として、学校の関係者(教職員、先輩、同級生等)、(元)交際相手、インターネット上で知り合った人、知らない人等を挙げるケースが多い。

〇性暴力被害をどこにも相談をしなかったケースが半数を超え、相談できたケースにおいても相談までに時間を要することが多い。

〇全ての性暴力被害分類の中で最も被害からの回復状況が芳しくない。

身体接触を伴う性暴力被害の特徴

〇まったく知らない人や学校の関係者(教職員、先輩、同級生等)が加害者であることが多く、異性及び社会的地位が上位の者による加害が多い。

〇公共交通機関、路上、学校等で被害にあうケースが多く、1回限りの被害が多い。

〇性暴力被害にあった際の状況として、突然に襲いかかられた、自分に行われていることがよくわからなかった、驚き・恐怖等で体が動かなかった、電車内で逃げられなかった等との回答が多い。

出典:内閣府男女共同参画局
出典:内閣府男女共同参画局

〇対象者6,224人のうち920人(14.8%)、約7人に1人が何らかの手口の被害にあったことがあると回答した。

〇手口の分類別にみると、痴漢が7.7%と最も高く、次いでセクシュアルハラスメント6.4%、SNSを利用した性被害が5.2%と続く。

出典:内閣府男女共同参画局
出典:内閣府男女共同参画局

痴漢の特徴

〇身体接触を伴う性暴力被害において、被害にあったときの状況を聞いたところ、「電車内で逃げられなかった(痴漢)」との回答は25.5%であった。

【アンケート自由意見(抜粋)】

痴漢被害にあった当時、どのように対処すべきかといった知識がなかったために、未だに心残りがあります。私は、相談などにより恐怖をはじめとした精神面に寄り添ってほしかったというような希望ではなく、加害者が現在何事もなかったようにのうのうと生活が送れていることが、ただただ腹立たしく感じてしまうため、性犯罪を罰するために被害者がとることの可能な対処法について周知してほしいです。また、性犯罪を取り締まる体制も強化してほしいです。

〇痴漢を受けた、セクハラをされた、などと周りに言うと「あなたが誘ったんでしょう」と一蹴されることが多いので、その風潮だけでもどうにかならないかなとずっと思っています。悪いのは相手なので、加害者を責めることができるようになればいいと思います。

痴漢に対する世間的な罪の重さの認識が低すぎると思うので、痴漢の減少と被害者がどんな服装や見た目をしていても非が全くないという認識が増えればいいと思う。

〇幼い頃に痴漢にあったため、よくわかっていませんでした。後から思い出し嫌な気持ちにならないためにも、早い頃からこうされたらこうするみたいな教育を保育園、幼稚園などでもしてほしいかなと思います。

〇被害者が証拠や状況説明をしないと動いてもらえない現状が最も辛いことです。その事を性犯罪を取り締まる方や被害者支援に当たられる方には十分に熟知していただいた上で、対応していただきたいです。

〇どこか密室とかではなく、通りすがりの道や混んでいるお店などで痴漢され、加害者が分からない状態のことが多い。その場合、誰に言えばいいのか分からないこと。また、遊園地では係員が安全ベルトを閉める時に痴漢してくることがあった。企業の性に対する教育も徹底してほしい。

痴漢に対する現状の取り組みは、ほとんどが痴漢被害者に対策を求めるものであり、加害者への対策が非常に乏しいのは、これまで日本若者協議会が提言してきた通りである。

出典:内閣府男女共同参画局
出典:内閣府男女共同参画局

自由意見(抜粋)

【性暴力であることを認識できなかった 】

〇被害にあっている時は、自分があっているという実感がなく、何もできず悔しかった。

〇小学生の頃の出来事で、自分は一体何をされたのかさえ理解できていなかった。

【被害を訴えることができなかった、相談できなかった】

〇社会人になるまでは自分には遠い存在だと感じていた性的犯罪でしたが実際に起こった時に恐怖で何もすることができませんでした。

〇小学生のときに経験して恥ずかしく思い誰にも言えず1人抱え込んでしまいました。

【今でも思い出してしまう】

〇高校の同級生の男に加害された。周りの男は笑っていた。気持ち悪い。被害内容は言いたくないけど他の人からしたら「え?それだけ?」て感じだと思う。でも私は一生忘れないし、一生気持ち悪いと頭の片隅で思い続けるだろう。これを書いてる今も無意識に緊張して寒気を感じ震えていた。今思い出して当時自分で感じていた怖さよりもっと怖かったんだなと思って泣きそうになった。最初はアンケートでこんなこと聞いてくんのかよと思ったけど、性被害にあった女性への支援に少しでも繋がるならと思ってこれを書いた。

【性犯罪・性暴力に関する刑法を改正して、加害者を罪に問えるようする、罪を重くする】

〇痴漢の加害者に対する罰や見守り強化など、きちんとした制度を確立させてほしい。痴漢はほとんどの女性が経験している一方で、警察に相談するなど実際に声を上げている人はほんの一部です。些細なことすぎて声をあげにくい環境も変えてほしいと思いました。

6月3日に確定した、女性政策に関する政府の重点方針をまとめた「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太の方針2022)」には、今年度の「痴漢撲滅パッケージ」(仮称)の策定が盛り込まれた。

これまで日本では、痴漢など性被害が軽視され、十分な対策が全く取られていないことから、今回の調査結果を踏まえて、本格的な対策が取られることを期待したい。

関連記事:「痴漢撲滅パッケージ」の令和4年度策定が「女性版骨太の方針2022」に! #NoMoreChikan (室橋祐貴)

日本若者協議会代表理事

1988年、神奈川県生まれ。若者の声を政治に反映させる「日本若者協議会」代表理事。慶應義塾大学経済学部卒。同大政策・メディア研究科中退。大学在学中からITスタートアップ立ち上げ、BUSINESS INSIDER JAPANで記者、大学院で研究等に従事。専門・関心領域は政策決定過程、民主主義、デジタルガバメント、社会保障、労働政策、若者の政治参画など。文部科学省「高等教育の修学支援新制度在り方検討会議」委員。著書に『子ども若者抑圧社会・日本 社会を変える民主主義とは何か』(光文社新書)など。 yukimurohashi0@gmail.com

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