家で捨てる食材 6,357名調査 卵、牛乳、納豆、豆腐、パン、もやし…1位は?
ハウス食品グループ本社は2019年7月、自社会員サイト登録者6,357名対象に食品ロス調査を実施し、その結果を2020年5月に発表した。家庭内で捨てている食材は、はたしてどれが最も多かっただろうか。
この調査は2019年7月2日から8日まで、インターネットを用いて実施された。対象者は以下の通り。
ハウス食品グループ本社の会員サイト登録者
有効回答数:6,357(全国 10代から90代までの男女、うち男性1,375、女性 4,446、不明 536)
最も捨てる食材は野菜類で68.1%
家庭で捨てる食材で最も多いのが「野菜類」で68.1% 。次いで「果物」で17.4%、「日配品」(日持ちしにくい食品)で16.4%。
1位は「きゅうり」上位10位には野菜の他、豆腐・納豆・牛乳・パン・卵など
最近捨ててしまった食材ランキングでは、上位10位のうち、4つで野菜が挙げられた。
1位 きゅうり、2位 豆腐、3位 キャベツ、4位 レタス、5位 納豆、6位 牛乳、7位 もやし、8位 パン、9位 食パン、10位 卵と並んだ。
期限が近づいて焦った食品の1位は「牛乳」
期限が近づいてきて焦ったことのある食品の1位は「牛乳」。以下、豆腐、卵、納豆、肉類、ヨーグルト、ハム、パン、魚、ウィンナー・ソーセージと並んだ。
食品ロスの認知率は9割、ただし程度に差あり
食品ロス問題を知っているかどうかについて、「かなり詳しく知っている人」が4.9%、「ある程度知っている人」が45.7%、「なんとなく知っている人」が39.5%、「まったく知らない人」が9.9%という結果だった。年代が高くなるのに比例し、認知率も上昇した。
食品ロスが事業系と家庭系に分かれることの認知度は5割
「食品ロス」が、事業者由来の「事業系」と、消費者宅で発生する「家庭系」とに大別されることについては、「知っている人」が48%、「家庭系のみ知っている人」が8.3%、「事業系のみ知っている人」が14.8%となり、全体で知っている人は5割程度となった。これも年代が上がるごとに認知度が高まっている。
7割の家庭で食品ロスが月1〜2回以上発生
家庭内での食品ロス発生頻度は、「ほぼ毎日発生」する人から「月1〜2回」までが70.4%。「年1〜2回」「まったくない」が29.6%。およそ70%の家庭で月1〜2回以上発生しており、世代別では若いほど頻度が高い結果となった。
調査結果を拝見して
家庭内で野菜が最も捨てられるという結果は、平成26年度に農林水産省が実施している統計調査の結果とも一致しており、その他の調査でも同様の結果が出ている。
食品ロス削減のヒントその1 買う量を減らす
「捨てる」理由の一つは「需要と供給のアンバランス」なので、多く買い過ぎるのであれば、買う量や単位を減らすことがアドバイスとして挙げられる。きゅうりだったら1本売りを選ぶ、キャベツやレタスなら半個や4分の1個売りを選ぶ。海外であれば1kg単位で必要なだけ買うことができるが、日本ではそうでない場合が多い。
食品ロス削減のヒントその2 長持ちする保存方法を使う
キャベツやレタスを丸ごと買う場合、芯のところにある成長点を止めることで日持ちする。芯の裏側につまようじを3箇所ぐらい刺したり、芯をくり抜いて湿らせた新聞紙を詰めたり、小麦粉を塗ったりすると、放置しておくよりは長持ちする。
市販の野菜保存袋を活用するのもお勧めだ。
もやしは電子レンジにかけておいたり、袋から出して密閉容器に移し、水に浸けておいたりすると日持ちする。それが面倒な場合は、使う日以外に買うのをやめる。
食品ロス削減のヒントその3 賞味期限の意味や成り立ちを理解する
捨てている食品の上位に納豆や卵など、おそらく、賞味期限を品質が切れる日付だと誤解しているような例が見られる。消費期限と違って、賞味期限は美味しさの目安であり、かなり前に設定されていることを知っていれば、捨てなくて済んだかもしれない。
参考:
賞味期限切れ卵は生で何日食べられる?ニワトリが24時間かけて産んだ卵を賞味期限で容赦なく捨てる私たち
以上、調査結果から、食品ロス削減のヒントになりそうなこと3点を挙げてみた。
欧州の食品企業は、加工食品のパッケージに、賞味期限とはなんぞやという意味や、五感で判断して飲食するよう勧めている。つまり、消費者におもねるのではなく、「企業は、消費者教育の責務がある」としっかり認識している。日本の食品関連企業も、見習うべき点があると考える。
今回の結果は、食品ロス削減推進法が施行される前の調査なので、法律施行後にどう変わったか、次回の調査結果も楽しみに期待したい。