Yahoo!ニュース

どっちの本塁打王が珍しい!? マット・オルソンは前半も後半も最多。大谷翔平は前半1位と後半27位

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)Aug 6, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、それぞれのリーグで本塁打王となった、54本塁打のマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)と44本塁打の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、どちらも前半にリーグ最多のホームランを打った。オルソンは29本塁打、大谷は32本塁打だ。

 オルソンは、後半の25本塁打も、カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)と並び、最も多かった。一方、大谷は、後半に12本塁打。この本数は、リーグ27位タイだ。

 大谷は、9月4日以降の試合に欠場したが、後半のスタートから8月末までに限っても、12本塁打はリーグ最多ではない。5位タイだ。カル・ローリー(シアトル・マリナーズ)は、このスパンに14本のホームランを打ち、コリー・シーガー(テキサス・レンジャーズ)、ボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)、カイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)の3人は、13本塁打を記録した。

 今世紀の本塁打王は、オルソンと大谷を含め、延べ51人を数える。短縮シーズンの2020年を除くと49人だ。彼らが前半と後半に記録した本数と順位は、以下のとおり。

筆者作成
筆者作成

筆者作成
筆者作成

 パターンとしては、前半も後半も1位、前半が1位で後半は2位以下、前半が2位以下で後半は1位、前半も後半も2位以下の4つがある(順位はタイを含む)。ここからは、今シーズンの本塁打王に合わせ、それぞれを「オルソン・パターン」「大谷パターン」「逆大谷パターン」「逆オルソン・パターン」と表記する。

 最も少ないのは「オルソン・パターン」だ。2002年のアレックス・ロドリゲス、2005年のアンドルー・ジョーンズ、2010年のホゼ・バティスタ、2017年のジャンカルロ・スタントン(当時マイアミ・マーリンズ/現ニューヨーク・ヤンキース)、2022年のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)に、今シーズンのオルソンがそう。49人中6人なので、全体の12.2%ということになる。

 一方、「大谷パターン」は最多の17人。全体の34.7%を占める。意外な気もするが、2001年に73本塁打のバリー・ボンズも、このパターンだ。前半の39本塁打は2位のルイス・ゴンザレスと4本差の1位ながら、後半の34本塁打はサミー・ソーサより1本少なかった。

 あとの「逆大谷パターン」と「逆オルソン・パターン」は13人ずつ。後者のうち、2015年のノーラン・アレナード(当時コロラド・ロッキーズ/現セントルイス・カーディナルス)は、前半も後半もトップ3にランクインせず、いずれも4位に位置した。この年のナ・リーグは、前半も後半も、27本塁打が最多。前半1位のスタントンは、左手首の骨折により、6月26日が最後の出場となった。後半1位のカルロス・ゴンザレスは、前半が17位タイの13本塁打。シーズン全体で153試合に出場したが、最初の2ヵ月はホームランが2本ずつしかなく、2本差で本塁打王を逃した。

「逆オルソン・パターン」の13人中、2015年のアレナード以外の12人は、前半と後半のいずれか――あるいは両方――が2位だ。

 今シーズンの大谷は、パターンとしては多いものの、後半の順位が目を惹く。前半と後半のどちらかでトップ20にランクインせず、本塁打王を獲得した選手は、少なくとも今世紀においては、他にいない。

 なお、大谷は、4月と5月の各1試合を含め、27試合に欠場した。欠場が多かった本塁打王については、6月にこちらで書いた。

「欠場15試合以上の本塁打王はいるのか。ア1位のジャッジはすでに欠場16試合。ナ1位のアロンゾも離脱」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事