意外に勘違いしてる人が多い?「SHOGUN 将軍」がアカデミー賞も受賞するのでは…という声がチラホラ
真田広之がプロデューサーと主演を兼ねた「SHOGUN 将軍」が、2024年9月の第76回エミー賞で史上最多の18冠を達成し、先日の第82回ゴールデングローブ賞で、ノミネート4部門のすべてで受賞を果たしたことで、またもやその勢いが注目されている。
このゴールデングローブのニュースの中で、多くのメディアが言及しているのが、「ゴールデングローブ賞はアカデミー賞の前哨戦として知られている」というフレーズ。映画好きの人には、ゴールデングローブ賞がどんな賞であるか知っている人が多いものの、たしかに一般レベルで、この名前の認知度はそれほど高くない。
実際に今回のゴールデングローブの結果を受けて、筆者の元にも、テレビ局のニュース番組から「ゴールデングローブが一般の人に知られていないので、どんな賞か説明してください」と取材依頼があったくらい。
しかしニュースをサラッと目にする人には「アカデミー賞の前哨戦」という言葉が深く刻まれ、昨年のアカデミー賞で『ゴジラ-1.0』が大快挙ともいえる受賞(視覚効果賞)を果たした記憶と重なって、「日本すごい!」「今年もアカデミー賞確実?」とXなどで歓喜のコメントが発見できたりしている。
ゴールデングローブ授賞式の翌朝のニュース番組で、某テレビ局のアナウンサーが「SHOGUN」の受賞に対して「アカデミー賞を獲るかどうか注目なんですが」と言ったという情報もあり、たしかにアナウンサー職であれ、そこまで映画や海外ドラマに詳しくない人には“勘違い”が生まれるのかもしれない。
残念ながら、「SHOGUN」はアカデミー賞は獲れません。真田さんの主演男優賞も可能性ゼロです。アカデミー賞は「映画」の最高峰の賞で、「SHOGUN」は映画ではなく「テレビシリーズ(ドラマ)」なので……(厳密には「配信」なのでテレビという形容も古いのだが)。ただ、そもそも「SHOGUN」がドラマなのか、映画なのか、よくわかってない人も見かけるし、「ハリウッドでの成功」が最も有名な「アカデミー賞」と結びついてしまうのも仕方ないだろう。
ゴールデングローブには映画とドラマ(テレビ&配信)の2つの部門があり、そのドラマ部門で「SHOGUN」が受賞したことは、ほとんどの人が理解しているはず。例年、ゴールデングローブのニュースは、特に日本では映画部門がメインに報じられるので(とは言っても地味に)、今年も「SHOGUN」だけでなく映画部門の結果も、もう少し大きく伝えてほしかった。映画の話題が目立たなかったゆえに「SHOGUNがゴールデングローブ制覇!」みたいな雰囲気になっていたのは否めない。
では、今後のアカデミー賞への夢がなくなったので「SHOGUN」の快進撃はここで一旦終了か……と言えば、そんなことはない。
今週末には、やはりアメリカの映画・ドラマの大規模な賞である第30回放送映画批評家協会賞(クリティイクス・チョイス・アワード)の授賞式があり、「SHOGUN」は6つのノミネートを果たし、受賞を狙う。ゴールデングローブではノミネートされていなかった平岳大、穂志もえかも入っている。
(1/9追記:放送映画批評家協会賞はLAの山火事の影響によって1/26に延期が決まった)
さらにその後、「組合賞」の授賞式が行われ、こちらには映画・ドラマ、それぞれの部門がある。第77回全米監督組合賞(DGA)では「SHOGUN」から3人がノミネート(授賞式は現地時間2/8)。そして何と言っても注目なのが、全米映画俳優組合賞(SAG)。ノミネーションが現地時間の1/8に発表され、2/23に授賞式。こちらも映画・ドラマ部門があるので、「SHOGUN」の面々、真田広之、アンナ・サワイ、浅野忠信が入ることは確定的。しかも授賞式はNetflixでライブ中継されるので、またも真田さんらの勇姿を拝める可能性を秘めている。それもかなり高い確率で。まだまだ「SHOGUN」への喝采は止まりそうもないので、アカデミー賞は関係なくてもお楽しみに!