なぜバルサはダニ・オルモの選手登録を行えるのか?暫定措置の判断…タイトル獲得への正念場。
一転、ドラマが待っていた。
今冬、ダニ・オルモとパウ・ビクトールの選手再登録ができず、苦しんでいたバルセロナだが、スポーツ評議会(CSD)は暫定的にダニ・オルモとビクトールの選手登録を許可すると発表した。彼らはスペイン・スーパーカップの決勝に出場することが可能になっている。
■選手再登録の可能性
今回の決断は、スペインでも大きく報じられた。問題は、なぜ、CSDがダニ・オルモ(複雑なのでP・ビクトールを省略。以下同)の選手再登録を認めたか、である。
ポイントは、いくつかある。まず、バルセロナはラ・リーガとスペインフットボール連盟(RFEF)が選手の登録に関して独善的に判断できる状況になっており、それ事態に疑問を唱えていた。ひとつ、これが認められた格好だ。
また、登録ができず、試合に出場できないと、選手が被害を被ることになる。それはダニ・オルモのスポーツ選手としてのキャリアの可能性を狭めることにつながる。そこを危惧して、CSDの判断があった。
さらに、この選手登録問題は、スペイン代表にも影響を及ぼしかねない、とCSD側は言及している。ダニ・オルモは、ルイス・デ・ラ・フエンテ監督の下、スペイン代表に定着している選手だ。ここで、選手登録から外されると、スペイン代表でもプレーできなくなるため、代表戦(3月にUEFAネーションズリーグを控えている)においても不利益が生まれる、と考えられた。
加えて、クラブに与えられる経済的なダメージが大きい。ダニ・オルモの現行契約には、選手登録ができなかった場合、行使可能な契約解除が載せられていた。また、契約解除後、締結した契約期間(2030年夏まで)、バルセロナ側からサラリーを受け取る手筈になっていた。
この問題をめぐっては、バルセロナのなかでも揺れが生じていた。
「クラブが解決に導いてくれるように願っている。僕たちとしては、チームメートがこうなってしまうのは、後味が悪い」と語ったのはロナウド・アラウホである。
「ダニとビクトールにとって、難しい状況だと思う。彼らが気を揉まないように、僕たちは気を遣っている。早く責任者に解決してもらいたい。僕たちは、落ち着いて自分たちの仕事をするだけ」とはラフィーニャの言葉だ。
「話す必要性があれば、彼らは話すだろう。ただ、僕は自分が他のクラブに所属していて、彼らの状況を見ていたら、このチーム(バルセロナ)にいるのはベストなのだろうかと考えているかも知れない」
■会長に対する不信感
ロッカールーム内に動揺が走っていたのは、確かだろう。
バルセロナは、今夏、ライプツィヒからバルセロナに獲得した。彼の獲得に際して、移籍金5500万ユーロ(約89億円)でクラブ間合意に達した。実質的に唯一の補強となった選手が、半年後に、選手登録から外れ、試合に出場できなくなった。正直、クラブとしてのイメージダウンは避けられない。さらに、ジョアン・ラポルタ会長に対して、ソシオ(会員)が不満と不信感を募らせていても、おかしくはない。
現地では、一部でラポルタ会長と現理事会に対して、「※mocion de censura/モシオン・デ・センスラ」と呼ばれる不信任動議への動きが出てきていることも伝えられている。
「(選手登録の)ニュースを、我々は移動中のバスの中で聞いた。選手たちの、喜びようといったら…。我々は、ひとつのチームだ。もちろん、ダニとパウのために、勝ちたかった。しかし、チームとしても、勝ちたかった」
「我々の目標は(スペイン・スーパーカップの)ファイナルに進ことだった。クリーンシートで、それを達成できたので、満足している」
これはハンジ・フリック監督のコメントだ。
バルセロナは、サウジアラビアで行われているスペイン・スーパー杯の準決勝で、アトレティック・クルブを撃破した。決勝に駒を進め、タイトル獲得に前進している。
その決勝には、ダニ・オルモが出場できる。しかし、その選手登録は「暫定的」なもの。クラブとして、まだ解決するべき問題は残されている。
※2つ目のoの上にアクセント