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タイガースからオリックスへ “田上健一スコアラー”として再出発します!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
昨年8月、練習中の田上選手。今度はスタンドから見つめる仕事になりますね。

昨年末も書きましたが、周囲の方々に聞いた“2015年の阪神ファーム重大ニュース”にもノミネートされた、田上健一選手の戦力外。ファンの方々だけでなく、取材するマスコミ陣にとっても衝撃だったようです。田上選手が球団から「来季は契約しない」と告げられたのは2015年10月19日。フェニックス・リーグから戻ってきた数日後のことでした。驚いたのは、まもなく始まる秋季キャンプへ向けトレーニングに余念のなかった本人も、です。

とはいえ当日、球団事務所から戻ってきた鳴尾浜で「決まってしまった限りは、僕も前へ進むしかない」と気持ちを切り替えて語った田上選手。11月の合同トライアウト後、きっと声がかかると信じて待っていたのですが…願いはかないませんでした。年末に話を聞いた時はまだ「進路は未定」という返事だったのは以前書いた通りです。NPB以外からの打診がなかったわけではないものの、守るべき家族を思うと無理はできなかった気持ちもわかります。

「なんとか年内に決めたかったんですけどねぇ」と言っていた田上選手のところへオリックスから話があり、昨年まで1軍の打撃コーチだった高橋光信さんとともに、球団本部編成部のスコアラーとなりました。きのう8日、正式に契約を交わしています。他のスコアラーと同じ1年ごとの契約だそうですよ。オリックスは今季からスコアラーが“球団担当制”になるため、人数も増やしたみたいです。

一流のスコアラーになりたい

電話をかけて「進路が決まってよかった。おめでとう」と言いながら、続けて「でも、もったいない!まだまだ現役でやれるのに残念で悔しい!」と一気にぶちまけてしまったもので、田上選手…ではないんですね、田上さんは「いやいや、僕に言われてもねえ」と笑っていました。「もちろん現役を続けられることが一番ですけど、何もなかったので。よかったですよ、はい」と明るい声です。

でもこれで、ことし田上選手として野球をする姿はもう諦めなくてはならないわけで。「まあそう、ですね」。しつこくてすみません。ファンの皆さんの声もやはり複雑です。ただ田上さんはこう言っていました。

「一流のスコアラーになろうと思っています。中途半端な気持ちではできない仕事ですから。自分のスキルを上げるためにも、本当にありがたい話でした」

年末が近づき、野球以外の選択肢も考えようとしていたことを思えば、プロ野球の現場で働けるのは何より。田上さんのお母さんも「ご心配をおかけしました。新たな舞台をいただいてホッとしております。現役を続けられれば最高ですが、何か意味があると確信しております。ここからどのように道が拓けていくのか、親として息子の可能性を信じて、今後を楽しみにしたいと思っています」とおっしゃいました。お母さんの言葉はいつも前向きで、こちらが励まされるようですね。

キャンプはどこへ行くの?練習を見るの?相手チームの?と色々聞いてしまって、田上さんも「どうなんでしょう。相手チームじゃないですか?いや~僕もわからないんで」と苦笑させてしまいました。そりゃそうですよね。とにかくキャンプまでに準備が必要かも。「はい、何も知らないので、一からしっかり勉強します!」と力も入っている様子です。

ユニホームこそ着ませんが、若さも体力もフットワークもダントツの田上スコアラーへの期待は大きいと思います。どこの担当になるのかは、まだこれから決まるみたいですけど、もし阪神だったら?なんて考えて勝手に喜んだり。そうそう、西武のスコアラーになった黒瀬春樹さんとも現場で会うのでは?「会いますねえ、きっと」。ちょっと楽しげな声でした。

なお昨年末に受けた『学生野球資格回復研修会』ですが、スコアラーもプロ野球関係者ゆえ「いったん“資格喪失”の届けを出しました」とのこと。修了証を受理して「5年以内なら、今度は申請のみで再び資格が復活するみたいです」と言います。受講したのは「指導者に、と思っていたから」だそうで、いずれはあるかもしれませんね。その前に一流の、いえ超一流のスコアラーになってください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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