大谷翔平、スプラッシュヒットは出るか?ボンズは通算35本を海に叩き込む
大谷翔平の所属するロサンゼルス・エンゼルスは、5月31日(日本時間6月1日)からサンフランシスコのオラクル・パークでサンフランシスコ・ジャイアンツとの2連戦を戦う。
海に面するこの球場にはたくさんの名物があるが、中でも最も有名なのはライト後方のマッコビー・コーブ(マッコビー湾)にホームランを直接叩き込む『スプラッシュヒット』。
オラクル・パークはライトフェンスまでの距離が短く、ホームベースからライトのファールポールまでの距離は94.2mしかない。ライトまでの距離不足を補うためにライトフェンスは7.3mと高い。ライトの外野席は客席が数列しかなく、球場のすぐ後ろにはマッコビー湾が広がっている。
ファールポール際へのホームランの場合、112m飛ばせば『スプラッシュヒット』となり、右中間だと142m必要となる。
ジャイアンツの定義では、ジャイアンツの選手が打った本塁打のみ『スプラッシュヒット』と認定して、ビジター選手が打った場合には『マッコビー・コーブへの本塁打』と呼んでいるが、ここでは両チームの選手がマッコビー・コーブに打った本塁打を『スプラッシュヒット』として扱いたい。
2000年にパシフィック・ベル・パークとして竣工したこの球場では、これまでにジャイアンツの選手が87本、ビジター選手は54本の合わせて141本のスプラッシュヒットが誕生している。
最も多くスプラッシュヒットを放ったのは、もちろんバリー・ボンズでその数は35本。現役だとブランドン・ベルトの10本が最高。
今シーズンはマイク・ヤストレムスキー、ブランドン・クロフォードとジャイアンツの選手の2本に加えて、マイク・ムスタカス(シンシナティ・レッズ)、マックス・マンシー(ロサンゼルス・ドジャース)、ジェイク・クロネンワース(サンディエゴ・パドレス)と合計5本のスプラッシュヒットが飛び出ている。
ここまで15本塁打と好調の大谷翔平にスプラッシュヒットの期待がかかるが、問題はナショナル・リーグのジャイアンツのホームゲームなので、指名打者制が使えないこと。エンゼルスのジョー・マドン監督は大谷を外野手として先発出場させる案には消極的で、2試合ともベンチからの途中出場になりそうだ。
となると、現実的に見積もって、大谷のチャンスは多くても5打席。35本のスプラッシュヒットを放ったボンズは、オラクル・パーク(当時は別名称)で1996回打席に立っているので、57打席に1本の割合でスプラッシュヒットを放った計算となる。
ボンズが57打席に1本しか打てなかったスプラッシュヒットを大谷が5打席で成し遂げるのは至難の業だが、不可能ではない。
大谷の今季15本のホームランを見てみると、ライトのファールポール際に116m飛ばした今季15号は、オラクル・パークならばスプラッシュヒットだった。
1週間前の試合で、スプラッシュヒットに匹敵する当たりを放っているだけに期待はできそうだ。
ちなみに大谷がオラクル・パークで試合するのは、今回が3試合目と4試合目になる。
大谷は昨季もオラクル・パークで2試合をプレーしたが、指名打者として(昨季はコロナ禍の特別ルールとして、ナショナル・リーグ・チームのホームゲームでも指名打者制が導入された)9打席立ち、8打数無安打、1四球、2三振だった。
しかし、昨季の大谷は大不振で、今季とはまったく状態が違う。
これまでにスプラッシュヒットを放った日本人選手はゼロで、大谷が放てば日本人初となる。(2010年に当時シカゴ・カブスの福留孝介がティム・リンスカムからスプラッシュヒットを放ったことがあるが、この一発は打球がライトスタンドの旗に当たってから海に飛び込んだために、ジャイアンツの公式記録としては認められていない。)
アジア人選手では2020年に当時テキサス・レンジャースの秋信守と、2004年に当時フロリダ・マーリンズの崔煕渉の韓国人打者2人がスプラッシュヒットを放っている。
また、二刀流選手では投手として通算13勝10敗の成績を残したリック・アンキールが打者転向後の2010年にスプラッシュヒットを放った。