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2年後のワールドカップでホスト国は爆発するか!?

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
コパ・アメリカで4位に入ったカナダ代表(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 御存知のように、2026年のFIFAワールドカップは、アメリカ、メキシコ、カナダの共同開催となる。この3国にとって、今回のコパ・アメリカは2年後に向けた試金石となる筈だった。16の参加国が4グループに分かれ、上位2チームが決勝トーナメントに進出したがホスト国で残ったのはカナダのみ。

 アメリカは1勝2敗で、メキシコは1勝1敗1分で姿を消した。この結果を受けて、アメリカはグレッグ・バーホルター監督を解任。新体制で2年後を目指す。メキシコは2021年の東京五輪チームを率いて銅メダルを獲得したハイメ・ロサーノに続投させるか……。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 カナダは優勝したアルゼンチンとグループリーグ、決勝トーナメントと2回対戦し、共に黒星を喫した。しかし、ペルーに勝ち、チリと引き分け、ベネズエラをPK戦で下して4強入りを果たしている。3位決定戦ではウルグアイに2-2。PK戦で敗れたものの、大いなる飛躍を見せた。

 実際のところ、カナダがウルグアイを2-1とリードしており、あと僅かで試合終了の笛……と思われたアディショナルタイムに、ルイス・スアレスのゴールで追いつかれた。とはいえ、カナダサッカー界にとって、この経験は糧となるに違いない。

22歳のコネ
22歳のコネ写真:ロイター/アフロ

 ウルグアイ戦でバイシクルを決めたイスマエル・コネは、2002年コートジボワール生まれの22歳。カナダ移民となる。MLS(メジャー・リーグ・サッカー)、CFモントリオールでプロとなり、英国2部リーグを経て、2024年シーズンからはマルセイユのユニフォームを着る。3位決定戦ではPKを外してしまったが、今後が期待できそうなMFだ。

マーシュ監督
マーシュ監督写真:ロイター/アフロ

 カナダを躍進させた50歳の指揮官、ジェシー・マーシュはアメリカの元代表選手だ。コパ・アメリカを戦うため、今年5月にカナダの監督に就任した。

 マーシュは若手にチャンスを与えることに定評がある。コネも2022年に代表デビューしてから長く控えに甘んじていたが、今大会でポジションを掴んだ。

写真:ロイター/アフロ

 マーシュは言う。

 「若い選手たちが最高の状態になれるよう、コーチとして挑戦することが大事。これは、私がコーチングで感じてきた喜びだ」

 カナダ代表監督は、発言通り、コパ・アメリカの舞台で次々に若手をピッチに送り込んだ。無論、2026年のワールドカップを見据えた起用である。

 4位という結果を出したマーシュは、母国を率いる話もあったようだが、「まったく興味が無い」と、コメントした。

写真:ロイター/アフロ

 2年後、カナダはホスト国としてセンセーションを起こすかもしれない。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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