【有馬記念】牝馬がワンツー!クロノジェネシスがグランプリ春秋制覇
クロノジェネシスがグランプリ春秋制覇
中央競馬のラストを飾る有馬記念(GI、中山芝2500m)は牝馬のクロノジェネシス(牝4、斎藤厩舎)が優勝した。勝ちタイムは2分35秒0。
2020年の中央競馬はアーモンドアイ、グランアレグリアなど牝馬が大活躍の一年だったが、ラストを締めたのもまたもや牝馬であった。
スタートでは先行すると目されたキセキが後手を踏んだが、1枠1番のバビットは予定どおり逃げる展開となった。一昨年の優勝馬ブラストワンピースや2番人気のフィエールマンらが好位集団を形成。1番人気のクロノジェネシスは後方にいたが、向こう正面からジワリとポジションを上げ、ゴール前の坂をのぼったところで先頭に立つとそのまま1着でゴールイン。外から一気にまくったサラキアの追撃を抑えてクビ差で勝ちきった。
優勝したクロノジェネシスは昨年の秋華賞、今年の宝塚記念に続く3つ目のGI勝利。有馬記念のファン投票では21万4742票を獲得してファン投票第1位に輝いた。単勝オッズも1番人気と、たくさんのファンの期待に見事にこたえた。宝塚記念と有馬記念の春秋グランプリ制覇はグレード制導入以降JRA史上11頭目。牝馬では昨年のリスグラシューに続いて2頭目だった。
北村友一騎手「(来年も)主役となって引っ張っていけるような存在であって欲しい」
スタート地点では他の馬がゲートに入るのを待たされる時間があったが、そのあいだ、北村友一騎手はクロノジェネシスの馬体をポンポンと叩きながら落ちつかせていた。
「本当に馬に落ちついて欲しいな、という思いでいつもの自然体を心がけたかったので、あえてコミュニケーションをとりました。
少し前かきをしている状態でゲートが開いたんですが、五分に(スタートを)切ってくれたので良かったと思いました。
(道中は)折り合いもスムーズでしたし、いつものクロノジェネシスの調教のかんじで走れていたので良かったと思います。」
今年は牡馬はコントレイル、牝馬はデアリングタクトとそれぞれ三冠馬が誕生しているが、有馬記念への出走はなかった。来年はこの2頭とクロノジェネシスとの直接対決がみられるだろう。
「今年は未対戦の三冠馬が2頭いますので、そこに譲らないように主役となって引っ張っていけるような存在であって欲しいな、と思いました。」(北村友一騎手)
ラストランの牝馬2頭も無事にレースを終え、母になる準備へ
2着のサラキアはしっかりと脚をためて自分らしい競馬をした。松山騎手はサラキアのレースが初騎乗とは思えぬほど、彼女のいいところを引き出していた。サラキアは心身ともにいまが充実期。以前は寒い時期を不得手としていたが、この有馬記念ではそんな様子はまったく感じられないくらい素晴らしい走りをしてみせた。戦前からこのレースがラストランと決まっているとはいえ、引退が勿体なく感じるほどの充実ぶりだが…。次世代にその血を繋ぐのも大切な仕事。無事にいい子を産んで、ターフに送り出して欲しい。
3着のフィエールマンは少しひっかかり気味にレースを進めた。優勝したクロノジェネシスが開催を重ねて荒れた馬場が合っていたのに対して、フィエールマンはこのような馬場は得意ではなかった。それを考えると、よく頑張っていたのではないか。
4着のラッキーライラックはレース後の状態も問題なく、無事にラストランを終えた。年明けに母になるべく、栗東トレセンを発つ予定となっている。
レース後に担当助手がその様子を知らせてくれたTweetを掲載しておく。
このように、クラブ馬主法人の所有馬が有馬記念の1位から4位までを占めた結果となった。
5着はワールドプレミアとカレンブーケドールが同着。競走を中止したブラストワンピースは心房細動を起こしていた、と所属クラブが公式ツイッターで発表している。
有馬記念は比較的3歳馬が活躍するレースだが、今年はバビットが13着、オーソリティが14着に終わった。この経験を来年に繋げてほしい。
■2020年有馬記念 優勝馬クロノジェネシス
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