エース・横山久美の2ゴールでノルウェーに完勝! 試合ごとに成長を見せるなでしこジャパン(2)
ポルトガルで行われているアルガルベカップに出場中のなでしこジャパンは、グループリーグ第3戦でノルウェーに2-0で勝利した。
エース・横山久美の2ゴールでノルウェーに完勝! 試合ごとに成長を見せるなでしこジャパン(1)
以下、グループリーグ第3戦・ノルウェー戦後の監督・選手コメント。
【監督・選手コメント】
高倉麻子監督
ーー今日の試合を振り返って、感想をお願いします。
勝てたことは前向きに捉えたいと思いますが、(今日の試合で)効果的にボールを動かせたとは思いません。狙われているところにボールを出してしまう場面が多く、パスがつながりませんでした。そういうプレーが私は好きではありません。相手に(自分の意図を)読まれている時に(パスを出すことを)やめる判断や、(ボールを持った時に)もっと遠くを見られる力をつけていかなければいけないと思います。今後、相手が速かったり、強いという感覚の中で、余裕を持ってボールを動かせるとか、選手個人が(相手を)一人かわせるという技術を身につけていかなければ、この上のレベルにはいけないと思います。
ーー初先発の籾木選手に期待したことと、2得点を決めた横山選手への評価をお願いします。
籾木は、新しく入った選手ですが、小柄ですけれど、非常にタイミングの良い選手で、技術もありますし、大柄な選手の中でもボールをうまく引き出してアクセントになってくれることを期待しました。横山は、運動量については課題だったのですが、そこも自覚を持って、自分が(ボールを)引き出し、守備にも絡んだり、味方のためにスペースを空ける動きも含めて、すごく成長していると感じました。まだまだ点を取れるチャンスがあったと思いますし、貪欲にやっていってほしいと思います。
ーー新しい選手と、ベテラン選手の融合という点ではいかがでしたか?
若い選手が物怖じしないでグラウンドに立っていると感じます。その雰囲気を上の選手が作ってくれているのは確かですし、チームの雰囲気には、みんなで1歩を踏み出していくんだ、という強い思いを感じています。ただ、ずっとやってきたベテランの良さを出すことに加えて、私自身が望むサッカー(を落とし込む)という点では、もう少し時間がかかるかな、と感じています。一気には進めないので、話をして、練習をして、試合を重ねていかないと積み上がらないものです。選手は前向きですし、新しいチャレンジに向かってくれているので、今、ここで評価できる目に見えるものはないですが、少しずつでも進んでいることは確かなので、選手の力を信じて続けていきたいと思います。
MF 阪口夢穂
ーー攻撃面では、どのような狙いを持ってプレーしていましたか?
昨日の練習から、大きい展開をしていこうということを監督から言われていましたし、隙があればゴールに直結するようなパスを出そうと意識していました。サイドチェンジばかりになっても、相手にしたら怖くないですし、縦パスがあって、サイドチェンジが活きると思うので、常に意識しています。自分がボールを持ったら裏に抜ける動きをしてほしいということは、(FWの選手に)伝えていました。
ーー試合の中で、(阪口選手が)中盤だけでなく、下がってゲームを作ったり、前でゴールを狙うプレーもありましたが、そういうプレーができた理由は何だと思いますか?
同じボランチを組む選手にも左右されると思います。私は相手に合わせるタイプで、これまでは相手とのバランスを見てプレーしていたのですが、(今のチームでは)自分主導でもやっていかなければいけないと感じています。でも、ボランチを組むのが(川村)優理でも(宇津木)瑠美でも、自分の役割は前(で攻撃に絡むプレー)かな、と思います。心配して下がってしまうこともあるのですが、誰と組んでも、前に上がるプレーができるようになれば良いと思っています。
ーー短い距離でのパスでリズムを作るプレーも見られましたね。
私はああいうサッカーが好きです。ただ、近くに人がいないとああいうプレーはできないですし、距離感が悪かったらできないので、そういう意味では(選手同士の)距離感は良くなったのかなと思います。
FW 横山久美
ーー90分間走りきりました。運動量を増やすために、どのようなことを意識していますか?
普段(所属チーム)の練習で、誰よりも早く行って、フィジカルコーチと一緒にやってもらっているので、その成果が出たのではないかと思います。代表でも、一番、早くグラウンドに出るように心がけています。
ーー得点シーンを振り返っていただけますか?
前半、籾ちゃん(籾木結花)との距離が遠くてコンビネーションが良くなかったのですが、ハーフタイムに、「もうちょっと距離を近くしよう」という話をして、後半は近い距離でパス交換ができたことが点につながったと思います。ボールを持った時点で本当はシュートを打ちたかったのですが、(中里選手が)フリーだったので、そちらを選択しました。最後の場面はシュートという選択肢しかなかったので、思い切って足を振りました。2点目はごっつぁんゴールですね。
ーー点を決めた後の気持ちは?
今まで、代表の試合で(1試合で)1点は取れても、2点は取ることができていませんでした。そこは意識していたので、1点入っただけでは喜べませんでしたね。
ーー前半は中盤でゲームを作る時間帯もありましたが、どのような意図がありましたか?
前半は自分も含めてポジショニングが悪かったので、ゲームを作る形になってしまいました。やっぱり、ボランチの選手に任せて、自分はゴール前で仕事をする方が相手にとっては怖いかなと思います。ただ、普段、チーム(AC長野パルセイロ・レディース)でゲームを作ることをやっているので、(それ自体は)苦にはならないです。
DF 中村楓
ーー試合を振り返って、いかがですか?
前回の試合よりはコミュニケーションが取れたことと、2試合とも無失点で勝って終われたことは、良かったです。
寄せるのか寄せないのか、というところをはっきりできなかった場面があったので、そこは課題として次に繋げたいですね。熊谷選手がカバーに入ってくれて止められた場面もありましたし、チャレンジ&カバーはしっかりできていたと思います。ディフェンスラインは熊谷選手以外、経験が多いとは言えない選手なので、「やるからにははっきりとやっていこう」と試合前に話していたので、そこはしっかりできました。
ーー相手との間合いについてはいかがですか?
スピードのある相手なので、詰めすぎると一発でかわされますし、空いていたらシュートを打たれるので、最初の一歩でどういう感じかな、と見ながら、どちらもやらせないような間合いを掴もうと思っていました。相手と並走した時の対応がまだまだできていないので、修正していきたいです。
ーー大会を通じてどのようなことを得て帰りたいですか?
なでしこジャパンの一員として試合に出るのが初めてですし、トップレベルの海外の選手たちとプレーするのが初めてなので、経験を積みたいという気持ちが一番、強いですね。あとは、常に無失点で終えるということを意識して、試合をしています。自分の強みでもある1対1の守備は強くいきたいですし、チームとしてやっているラインコントロールやマークの受け渡しも、はっきりできるようにしていきたいです。
DF 佐々木繭
ーー試合を振り返って、いかがですか?
自分の中では、ポジションをもっと速く取ることを1試合目よりも意識して臨みましたが、あまり良いパスの供給はできなかったな、と思います。
ーー初戦のスペイン戦(●1-2)と比べてどのような面が成長したと感じますか?
(初戦のスペイン戦の)試合の映像をみんなで見て、パススピードを上げることや、ボールを持ったら前を向くということを徹底しようと話していました。スペイン戦よりも、選手同士で声を掛け合って試合中に修正できたことは良かったです。
ーー最終戦ではどのようなプレーを見せたいですか?
今日は前線に良いボールを入れられなかったことと、外でもらった時にあまり良いプレーができなかったので、中のボランチに当てて受け直したりして、ボールを失う回数を減らしたいです。
MF 川村優理
ーー攻撃面はどのようなことを意識しましたか?
後半は、サイドに広く展開しながら、FWに縦パスを入れることも意識しながらやりました。守備で自分の持ち味を出そうと意識していたので、その部分は出せたかなと思います。みーちゃん(阪口夢穂)は視野が広いですし、本当にいろんなところが見えているので、彼女に(ボールを)預けることも意識していました。
ーー自ら、裏に飛び出す場面もありました。
2列目からの飛び出しは好きですし、チャンスがあればと狙っていたのですが、あの場面は足が遅くて、追いつきませんでした。
ーー初戦と比べてボールを回せるようになった要因は何ですか?
立ち位置は気をつけていました。その点はスペイン戦の反省を活かしてノルウェー戦に臨めた部分があります。ボールをもらう前の準備や立ち位置を早く準備できたことで、落ち着いてボールを回せたのかなと思います。