相次ぐ「DAZN値上げ」 povo2.0は選択肢になるか
スポーツ動画配信「DAZN(ダゾーン)」は、これまで割安だったドコモ版も値上げに踏み切ります。そこで注目したいのが、DAZNを7日単位のパックで契約できる「povo2.0」の存在です。
W杯予選に「DAZN無料」をぶつけたpovo2.0
KDDIの新料金プランであるpovoは、2021年9月に基本料金0円の「povo2.0」が登場し、自分でカスタマイズして使うサービスになりました。4月13日からはpovo1.0からのMNP予約番号なしでの移行も始まっています。
povo2.0では音声やデータ容量などを「トッピング」として購入できますが、その中の1つに「DAZN使い放題パック(7日間)」があります。価格は税込760円で、7日間だけDAZNを利用できます。
最近、特に盛り上がったのはDAZN独占配信となった3月24日のサッカー・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選です。このタイミングでpovo2.0はDAZNの無料キャンペーン(後日760円を返金)を仕掛けました。
このキャンペーンを利用してDAZNの7日間パックを契約してみたところ、DAZNのアカウント自体を取得できました。povo2.0を通しての契約にはなりますが、必ずしもpovo2.0やスマホで見る必要はなく、自宅の固定回線からパソコンやDAZN対応のテレビなどで視聴できるわけです。
料金明細には760円の購入履歴があり、キャンペーンで返金されていました。ほかに有料のサービスは使わなかったので、この月の請求額は「0円」になっています。本来であれば毎月2円程度のユニバーサルサービス料などがかかるはずですが、現在は0円です。
もちろん、このパックを契約するにはpovo2.0の回線を持っている必要がありますが、eSIMであれば時間帯によっては回線を申し込んだ当日から使えるようになります。筆者が2021年9月に契約した際は、平日の午前中に申し込んでから回線が開通するまで約2時間でした。
これらを組み合わせることで、何も準備をせずにW杯予選当日を迎えた人でも、povo2.0をeSIMで契約し、キャンペーンを利用してDAZNを無料で見ることができたというわけです。
このキャンペーンは日本全国でDAZNに関心が高まったところにぶつけるという、タイムリーなものになりました。KDDIは「お客さまからの注目も高い、アジア最終予選やF1などのスポーツ番組が多く配信するタイミングで実施いたしました」と狙いを語っています。
これはpovo2.0が爆発的に伸びるきっかけになるかもしれないと思い、個人的には注目していたのですが、SNSなどで話題にしているのはモバイルに詳しい人が中心で、それほど盛り上がりは感じられませんでした。Googleトレンドで比較しても、3月24日に急上昇した「DAZN」に対して「povo」は追従できていません。
キャンペーンの結果について、KDDIは「多くのお客さまにご利用いただき、ご好評をいただいたと実感しています」とコメントしています。ただ、やはりpovo2.0はリテラシーが高い人向けで、一般に理解が広まるにはまだまだ時間がかかるのではないかと実感しました。
ドコモ版の初期ユーザーも値上げ
4月14日、NTTドコモはドコモ版のDAZNである「DAZN for docomo」の料金改定を発表。月額料金が税別980円(税込1078円)だったサービス開始当初からのユーザーについても、2022年7月1日から税込1925円に値上げすることになりました。
すでにドコモ版を月額1925円で契約している人は、7月以降も引き続き月額1925円で利用できます。この金額での契約は4月17日に締め切られ、4月18日以降に契約するとドコモ版も月額3000円になります。
つまりドコモ版のDAZNを月額1925円で使いたいのであれば、4月17日までに契約する必要があります。ドコモ回線は不要で、dアカウントがあれば誰でも契約可能。これはDAZN本体の年間プランの一括払い(月額2250円相当)よりもおトクです。
一方で、DAZNを見る頻度が低いとか、季節に偏りがあるスポーツの場合、常に1925円を払い続けるのは無駄に感じる人もいるでしょう。その場合、povo2.0で7日間のパックを760円で購入したほうが安くなる可能性があります。