【チョコレートの歴史】チョコレートの革命史!現代までカカオ豆が辿った苦味と甘味の物語
第一次世界大戦が終わり、チョコレートの世界は新たな幕開けを迎えました。
1925年、ベルギーのショコラティエ、オクターフ・カレボーがクーベルチュールチョコレートを発明し、なめらかな食感と光沢ある外見がショコラティエ界に革命を起こしました。
この一方で、テンパリングという技術も1931年までに開発され、チョコレートは芸術の域に達したと言っても過言ではありません。
さらに、1936年にはネスレがホワイトチョコレートを市場に投入し、第二次世界大戦後にはレシチンの導入で質感と一貫性が向上しました。
しかし、進化には摩擦も伴います。
カカオバターの代替脂肪をどの程度許容するかは長らく議論を呼び、EUがこれを5%に制限する規制を導入したのは1997年のことでした。
カカオ豆生産の舞台裏では、プランテーションが病害や気候変動に悩まされ、科学者たちは克服のために耐病性の高い品種の開発やクローン栽培を進めました。
しかし、これが生むチョコレートの味わいには苦味が増し、多様性の喪失も新たな課題として浮上したのです。
時代が進むにつれ、市場はさらに広がります。
キャドバリーがライバルのフライズを買収した1918年以降、競争相手はスイスやアメリカの大手企業へと変遷。
プレミアムチョコレートをアメリカに紹介したゴディバや、健康志向から再注目を浴びたダークチョコレートの復活など、20世紀後半のチョコレート界は多様化の波に乗りました。
同時に、児童労働や奴隷労働など生産の闇も浮き彫りになり、フェアトレードの需要が高まりました。
2000年代以降、中国やインドが新たな市場として登場し、アフリカでも消費が急成長しました。
この甘美な物語の裏には、複雑で奥深い歴史の影が潜んでいるのです。
ソフィー・D・コウ&マイケル・D・コウ著、樋口幸子訳(1999)『チョコレートの歴史』河出書房新社