たかのりの結婚が変える「ツートライブ」の今後
今月24日にツッコミのたかのりさん(35)が結婚した漫才コンビ「ツートライブ」。ボケの周平魂さん(35)は2017年に結婚しており、これで二人とも既婚者となりました。私生活での大きな変化が、ネタにも良い影響を及ぼしていると言葉に力を込めました。
戸田恵梨香似
たかのり:妻になった女性は25歳で、一般のというか普通にお仕事をしている人で、同棲生活3年を経て、結婚となりました。もともと紹介で出会ったんですけど、付き合った当初に「25歳の年で結婚したい」とポロっと言ってたんです。それがずっと頭の中にあって、それをかなえたいなと。25歳になった去年7月の彼女の誕生日に「この1年のうちに結婚しようか」とプロポーズして、そこからは互いの実家にあいさつに行ったりして今月婚姻届けを提出したという流れです。芸能人で言うと、戸田恵梨香さんに似ているかなと思っています(笑)。
周平魂:オレ、この取材に要るか?端の方に座っとこか(笑)?ま、大学から15年以上の付き合いなので、やっぱり相方が結婚するとなると、感慨深いものはありましたね。正味の話。順番的に言うと、僕の方が最初に結婚して…、あ、一人の女に名字を変えさせているんですけどね。
たかのり:普通に結婚でエエやないか!イキッた言い方すな!
周平魂:絶対にたかのりの方が早いと周りは言ってたんですよ。逆に、僕は絶対にしないだろうと言われてたんですけど、意外と僕の方が早く結婚して。
たかのり:普通に結婚って言うてるやないか!どっちやねん。
結婚で運気は上がらん
周平魂:いや、ま、これで、コンビ揃って名字を変えさせたわけやから、そら、さらに頑張らないといけませんよ!ただね、結婚した芸人とかがよく言うんですけど「結婚したら、運気上がるで」みたいなことを。これはね、大きな間違い!そうじゃないんですよと。
たかのり:どういうこと?
周平魂:結婚する。家族ができる。今まで以上に頑張る。その結果、今までよりも状況が好転する。要は、この“今まで以上に頑張る”があるから上がるわけで、結婚したことで自動的に運気が上がるわけではない。そんな簡単に運気なんか上がるか!と。上がらん!それなのに「オレ、ここで結婚したら、運気が上がると思うねん」みたいに言う人もいるんですけど、そんなもん、勝手に上がるわけがない。結局、頑張らなアカンわけですよ。そこを見過ごしてはいけない!
たかのり:全く、取材のペンが全く動いてないけどね(笑)。
周平魂:エエねん!ペンが走らんでも(笑)。オレがホンマに思ってることやから!僕が結婚した時、今から2年ほど前ですけど、当時は月収が4万円ほど。すでに、同期の「ミキ」とか「尼神インター」とか「バンビーノ」とかは仕事でバタバタ走り回っていました。そんな状況の中、なんとかしないといけない。そこで、アルバイトを4つ掛け持ちして、とにかくものすごく忙しくするということを自分に課してみたんです。
たかのり:逆に、アルバイトを全部辞めて、自分を追い込むというパターンは聞いたりもするけど、言うたら、その逆パターン。
周平魂:同期で忙しく働いている人間と“忙しさを合わせにいく”というか、ものすごく忙しい中でネタを作る。大変やけどネタを作る。大変やけど、それはバイトの大変さやから、もちろん「ミキ」らの忙しさとは違う。そこで、いろいろなマグマが心にたまってくる。そのマグマをネタ作りに込める。そんな形で自分を追い込みにかかってましたね。
たかのり:でも、ありがたいことに、それくらいから実際にテレビのお仕事もいただけるようにはなったりして、仕事量は増えたんです。事実として。
漫才にも変化
周平魂:あと、今回相方も結婚したことで、ネタにも変化は出てますね。
たかのり:僕ら、漫才でも、本当にリアルなことしかできなんですよ。例えば、僕も結婚した以上「オレ、彼女欲しいねん」から入るネタはもうできない。コンパどうのこうのもできない。不器用なのかもしれませんけど。ただ、結婚という現実における大きなことがプラスされたので、よりリアルなネタが増えていくだろうなと。
周平魂:例えば、たかのりが理想の結婚式を考えるというネタがあるんです。結婚前だったらたかのりが「いつかは結婚式をしてみたいんやけど…」と結婚においては先輩になる僕に尋ねてくるところから始まるわけです。ただ、それだと始まりがフワッとしてしまう。きっかけの説得力がないというか。
たかのり:そこが今は「僕、結婚したんで、結婚式のことを考えないといけないんですけど」と入ることになるし、リアルになる。となると、僕らとしては非常にやりやすくなる。できなくなるネタもあるけど、それ以上に強いネタが増える。そんなことも感じています。
周平魂:そこは確実にあると思います。
「M-1」決勝
たかのり:あと、今回ツイッターでも結婚報告をさせてもらったんですけど、これほどファンの方々や芸人仲間から反応があるんやと。これだけの人が自分のことを気にしてくれているというか、目にとまってるんやと。それを感じた時に、自覚がさらにガツンときたと言いますか…。
周平魂:より一層、やるしかないですからね。ロケも、関西の賞レースも、いろいろ頑張らないといけないことだらけですけど、やっぱり一番は「M-1グランプリ」だなと。
たかのり:やっぱりテレビ局の人と話しても「前回『M-1』はどこまで行ったの?」と聞かれることが多いので、そこが大きな“ものさし”になっているのは間違いない。最低、決勝は行かないといけないなと。
周平魂:これは感覚的なことなんですけど、さっきお話をしたたかのりが結婚式を挙げるネタで、今年の「M-1」で決勝に行けるような気がしてならない!二人とも名字変えさせましたし(笑)、これは何かが変わる気がします。…結局、結婚するだけで運気が上がると言ってる人間と同じようなこと言ってしまってますけど(笑)、でも、あとは本当にそうなるように頑張る!それだけやと思っています。
(撮影・中西正男)
■ツートライブ
1984年4月11日生まれで広島県出身のたかのり(本名・井上尊教)と、83年9月11日生まれで京都府出身の周平魂(本名・池田周平)のコンビ。兵庫県立大学の同級生として出会い、2008年にコンビ結成。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。ともにNSC大阪校30期生。上方漫才協会大賞文芸部門賞受賞。8月10日には大阪・よしもと漫才劇場で単独ライブ「ある晴れた日の一本マイク、炎天下、遠くに蝉の声。」を開催する。