台風11号去って、夏来る
台風11号 最強クラスで上陸
台風11号は16日午後11時頃、高知県室戸市付近に上陸しました。
今シーズン初の上陸台風です。
上陸時の中心気圧は960ヘクトパスカルで、7月に上陸した台風としては2011年台風6号に並ぶ、統計史上2番目に中心気圧の低い台風となりました。
台風11号は室戸市付近に上陸したあと、約15時間かけて、安芸市→観音寺市(香川県)→丸亀市→倉敷市(岡山県)→新見市→米子市(鳥取)→境港市を通過し、日本海に抜けました。
台風は「空の水道」
発達した雨雲を伴っていたこと、台風の移動速度が時速20キロ程度と比較的ゆっくりとした速さであったため、紀伊半島や四国東部では長い時間にわたり激しい雨が降りました。
総雨量が500ミリを超えたのは三重県、和歌山県、奈良県、高知県、徳島県の5県です。国土交通省のまとめによると、紀伊山地に位置する奈良県川上村と三重県大台町では降り始めからの雨量が約1000ミリ(気象レーダー等による解析)に達しました。
一般に、標準的な台風が一日に降らせる雨量は約200億トンです。200億トン?といわれても、想像がつきませんが、東京都で一年間に使用される水道量は約15億トンですから、東京都の水道10年分以上もの量なんですね。台風が空の水道をいわれるのもうなずけます。
ただ、一度に大量に降る弊害は大きく、今回の台風11号でもがけ崩れや河川の増水が相次ぎました。21世紀の現代でも治山治水の難しさを思います。
関東の梅雨明けと台風12号
台風11号が遠ざかった九州南部では17日午前、梅雨明けの発表がありました。平年より3日遅い梅雨明けです。
梅雨期間の雨量は鹿児島市で1699.5ミリなど、鹿児島・宮崎両県では平年の2倍から3倍の雨が降りました。梅雨前線が長期にわたり停滞していたことが影響したようです。
そのほかの地方でも今後は梅雨明けの時期を迎えます。関東甲信地方の梅雨明けの平年日は7月21日ですが、向こう1週間の天気予報をみると、晴れの天気が目立つようです。
今月下旬にかけ、夏の高気圧(太平洋高気圧)が強まることが予想され、全国的に気温も高くなる見通しです。梅雨明け後の十日間は晴れて、暑さが一段と厳しくなるため、注意が必要でしょう。
一方、今後、台風12号が日本列島に近づくおそれがあります。
17日正午現在、ウェーク島近海(東京から約2500キロ)にあり、時速20キロで西へ進んでいます。
あまり発達は見込まれていませんが、22日(水)頃には小笠原諸島に近づく可能性があります。
このあとも、台風と猛暑に目が離せない日々が続きそうです。
【参考資料】
国土交通省(17日12:00現在):台風第11号による大雨等に係る被害状況等について(第4報)
村松照男,1999:台風入門,第33回夏季大学新しい気象学 台風の理解はどこまで進んだか,日本気象学会.