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かぼちゃ餡にバナナに桃?会津若松市「会津葵」さんのカステラには、洋風なフルーツの香りが意外にマッチ

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

意外な銘菓というものが全国には数えきれないほどあるかと思いますが、福島県とカステラ…というのはいかがでしょう?

福島県といえば、赤べこですね
福島県といえば、赤べこですね

カステラといえば、ポルトガルなどとの南蛮貿易で栄えた長崎県に名店が集結している印象が強いのではないでしょうか。実は、会津若松市の鶴ヶ城には、謎のカステ玉子や隠れキリシタン遺品といった南蛮文化足跡が色濃く残っているというのです。更にキリシタン大名や貿易商などの諸説もあり、表に出ていない部分で繋がりが残っているのだとか。

江戸葵
江戸葵

その歴史を感じられるような和菓子が、昭和40年創業の会津若松市に本店を構える「菓匠会津葵」さんより販売されているのです。

今回は会津葵さんの銘菓にハイカラなエッセンスを加えた「江戸葵」をご紹介。

個包装の食べきりサイズです
個包装の食べきりサイズです

所謂棹物のカステラではなく、正方形の型でひとつひとつ焼かれたカステラです。目を凝らすと、なにやら紋らしき模様が刻まれているのが見えませんか?こちらは会津藩主でもあった松平家の文庫印だそうです(文庫印とは本の最後のページなどに捺されている、本の所蔵場所を示すもの)

松平藩の文庫印とのこと
松平藩の文庫印とのこと

しっとりとした表面ながらも中はふんわり。ふわふわと食べやすいカステラは、蜂蜜などの香り豊かながらも甘さを抑えております。また、中にあんこが包まれているというのも珍しいスタイル、江戸葵はかぼちゃ餡です。

白餡は白餡でも、希少な品種といわれている白小豆のこし餡にかぼちゃをあわせた自慢のかぼちゃ餡。ふっくらとした一面と、野菜らしいかぼちゃの味わいもきちんと残っているナチュラルな風合い。なのですが、どこかトロピカルで華やかな印象も…。

白小豆のこしあんと合わせたかぼちゃ餡、そしてレーズン
白小豆のこしあんと合わせたかぼちゃ餡、そしてレーズン

なんと、かぼちゃ餡にはバナナや桃が練り込まれているのだとか!新しい出会いにわくわく…かぼちゃのほくほくとした甘味が飛び込んできたかと思うと、一瞬間をおいてバナナのトロピカルな芳香がふわっと広がります!更にりんごと桃の可憐な甘酸っぱさがおいかけてきて、重厚感と威厳ある佇まいとは裏腹になんともユニークで爽やかさ漂う味わい。レーズンのアクセントもきいています。ミステリアスなのマッチしている…。

南蛮文化とのかかわりは勉強になります
南蛮文化とのかかわりは勉強になります

正直、かぼちゃとバナナ、りんご、桃…?という好奇心から手に取った和菓子ですが、それもまたご縁なのですね。意外な魅力に気づいてしまい、すっかりファンになりました。

<会津葵・本店>
公式サイト(外部リンク)
福島県会津若松市追手町4-1
0120-267-010
10時~18時
不定休

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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