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韓国遠征で”プロ初先発”ソフトバンクのドラ1新人前田悠伍。3回0封「自分の良さが出た」

田尻耕太郎スポーツライター
韓国遠征のマウンドで登板する前田悠伍(球団提供)

 ソフトバンクのドラフト1位ルーキー左腕、前田悠伍投手がチーム3軍の韓国遠征に帯同し、28日の高陽ヒーローズ戦(高陽国家代表野球練習場)に先発登板した。

 前田悠はプロ入り後2度目のマウンドで、先発したのは初めて。

 3回37球で1安打1奪三振無失点と安定した投球結果で、登板後は「自分の良さが出た登板だった」と振り返った。

 前回の反省も生かした登板だった。

プロ2度目の登板

 プロ初登板だった20日のウエスタン・リーグ広島カープ戦(タマスタ筑後)では自身の失策もあり1回2安打2失点だった。先頭打者を一ゴロに打ち取ったかに見えたが、ベースカバーがやや遅れて出塁を許すと、直後に自らのけん制悪送球で無死二塁として犠打の打球処理で再び悪送球と散々だった。

「前回はフィールディングであったりピッチング以外のミスがあったので、ピッチングはもちろんですが、フィールディングやカバーリングも全力でやるということを心がけました。(この日の登板で)カバーリングの場面があって、それをしっかり前回の反省を生かしてアウトにすることができたのでそこはひとつ修正できた点かなと思っています。ですが、スピードがもっと速くなっていったりしたら追いつけない部分もあると思うので、もっともっと練習から意識高くやっていけたらと思います」

修正能力の高さを示す

 高卒ルーキーだが、やはり非凡さを感じさせる。同世代の中では経験値がずば抜けている。大阪桐蔭高校では2年春にセンバツ甲子園優勝、明治神宮大会では2連覇を達成した。3年夏には第31回U18(18歳以下)ワールドカップに高校日本代表として出場。決勝を含む3試合に登板し計16回3分の2を1失点に抑え、高校侍ジャパンの世界一の立役者となった。大きな喜びを知っているからこそ、負けた悔しさも人一倍知っている。また、ソフトバンクの担当スカウトは「和田毅を見ているようだ」とクレバーな一面も高く評価していたことからも修正力の高さをうかがい知ることが出来る。

 今春のキャンプではブルペンを見た小久保裕紀監督が「モノが違う」と絶賛したルーキー左腕は今後もしばらく、ファームの舞台で若き翼を磨き続ける。

春季キャンプ時の前田悠伍。後方で見つめる小久保監督(筆者撮影)
春季キャンプ時の前田悠伍。後方で見つめる小久保監督(筆者撮影)

 以下、前田悠のそのほかの主なコメント。

――遠征での登板、慣れない場所での登板で意識したことは?

「ホームグラウンドでやるのとは少し不便な部分があるので、準備をしっかりいつも以上に気持ちを入れてやるというのは心がけてやっていました」

――今後の課題、意気込みは?

「前回の登板からは少しは修正できたのでもっともっと修正していってどんどん自分のレベルを上げていって一日でも早く一軍に上がりたいですし、とにかく自分のピッチングを毎試合するということを心掛けてやっていきたいです」

――今日はブルペンから良かった?

「はい、ブルペンから感覚は良かったので今日はいけるかもしれないという風には思ってマウンドに上がりました」

――今日の登板で一番良かった点は?

「やっぱり真っ直ぐをしっかりインコースに投げ切れたということと、緩急がしっかり出せていたので自分の良さが出た登板だったかなと思っています」

約2週間の韓国遠征を白星締め

 試合はソフトバンク3軍が8-3で勝利。石塚綜一郎が3回に本塁打を放つなど打線が15安打と活発で、約2週間にわたった韓国遠征(11試合、中止が1試合)を白星で締めくくった。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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