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上位進出を狙うノジマステラ神奈川相模原と浦和レッズレディースの熾烈な戦い(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
ノジマの高木は1部の厳しさを知った試合に開幕戦のINAC戦(●0-3)を挙げた(写真:アフロスポーツ)

なでしこリーグ第8節は5月13日(土)に2試合が行われ、ノジマステラ神奈川相模原は、浦和レッドダイヤモンズレディースをホームに迎え、1-0で浦和が勝利した。

上位進出を狙うノジマステラ神奈川相模原と浦和レッズレディースの熾烈な戦い(1)

以下、試合後の監督・選手コメント。

【監督・選手コメント】

石原孝尚監督(浦和)

ーー試合を振り返っていかがですか?

予想していたよりも、対策されていました。(左サイドの)川島はるな選手とか、両サイドの選手が(浦和の)サイドバックをケアしてきたので、サイドチェンジをしてもサイドが空かないし、中央も閉じられていました。それで、うちのセンターバック2枚とダブルボランチのところを相手の3枚で見られる形になって。相手が奪ったら前に出るということがはっきりしていたので、中央を攻めてカウンターを狙いずらいところがありました。

ただ、前半は失点ゼロでいくことを重視して、後半はより、菅澤への周囲の関わりをはっきりさせて、スペースが空いてきたら攻撃に出よう、と伝えました。

ーーこれまでの戦い方から、この試合は変えた部分があったのでしょうか?

INAC戦とベレーザ戦で、狙って(相手に)カウンターをしてもいいですよ、というサッカーをしていたので、その点は修正して、相手にカウンターのチャンスを与えない攻撃に取り組んできました。

もともと、奪われた際に(自陣に)戻る意識は高かったのですが、ボールの失い方が良くなかったので。(パスを回されて)崩されるということは多くはないですし、カウンターもされにくくなったと思います。

ーー安藤梢選手の復帰が決まりました。選手層の厚さについてはどのように感じていらっしゃいますか?

嬉しい悩みですが、だからこそ、サブの選手の強化に力を入れています。今年は(元日本女子代表で浦和のDFだった)柳田(美幸)コーチが来てくれて、メンバー外の選手たちのトレーニングもしっかりやってくれています。90分間×11人をうまく使って、全員で成長していきたいと思っています。平日の金曜日にサブ組の対外試合を入れたりもしています。

DF 高畑志帆(浦和)

ーー筏井選手からのパスを決めた場面を振り返っていただけますか?

筏井選手からは常に良いボールが来るので、いつもゴールを狙っていますし、今年は特に意識しています。

ーー4試合連続無失点という結果についてはいかがですか?

そうですね。前からの守備と、最後の場面で守りきるという、チームとしてやるべきことが明確になってきました。まだ課題は多いのですが、一つひとつクリアして、無失点記録を伸ばしていきたいです。

ーー今後の、個人的な目標を教えてください。

ディフェンスの選手なので、失点をより少なくすることはもちろんですが、今日のように勝利に繋がるゴールも、セットプレーでは狙っていきたいと思います。

MF 筏井りさ(浦和)

ーー決勝ゴールのアシストの場面を振り返っていただけますか?

セットプレーは、今日は勝てる部分だと思っていました。あの場面は、(菅澤)優衣香とフネ(長船加奈)に相手の強いDF2枚がついていましたし、練習の中では(高畑)志帆がファーサイドに入ることも多いので、あのスペースに入れたら何かが起きると思いました。

ーー中盤のバランスは、どのようなことを意識していますか?

(猶本)光は前への推進力と、自分でも突破する力があるし、ゴールにもっと関われると思うので、私は後ろで(ゲームを)作る部分を意識しています。今日は相手が、引いてきていたので、(菅澤)優衣香で絶対に競り勝てると思っていましたし、ロングボールを入れる時間が長かったので、その時間帯はセカンドボールを拾うポジショニングや、ボールを失わずに中盤で作っていくことを考えていたのですが、少しバタバタしてしまいました。

ーー経験も浅い選手も多い中で、ゲームを締める役割を意識していますか?

そうですね。後ろでみんなを見ている分、前で良い距離感で関われるようになっていると感じます。攻撃はみんな上手ですし、アイデアもあるので、「行け行け!」という感じで(笑)、自由にやってもらっています。あとはセカンドボールを拾って失わないことや、相手が走りこんできた時に、ディフェンスラインに任せっきりにするのではなくて、バランスを見て(前線の選手に)マークにいかせる事などを意識しています。失点も減ってきているのは良い事ですね。

ーー菅澤選手の加入でどのようなことが変わったと思いますか?

安心して前にロングボールを入れられるし、相手が下がるので、みんなが動きやすくなっていると感じます。頼りになる存在ですね。

ーー4試合無失点という結果についてはいかがですか?

プレシーズンの状況だと、もっと最初からできると思っていたのですが、中盤で関わりを作ることにチャレンジしてきた中で、簡単に裏を狙うとか、そういう戦い方のバランスが最近は良くなってきて、この4試合での成長を自分たちでも感じます。

DF 木崎あおい(浦和)

ーー球際で体を寄せて競り勝つ場面が目立ちましたが、手応えはいかがですか?

最近は、球際をもっと強くいかなければいけないなと思っていて、今日は特に意識してプレーしました。(マッチアップする)相手に負けたくないという気持ちは強いので、1対1や体を張るところでは、自然に気持ちが入ります。

ーー今シーズンは本職ではないサイドバックにトライしていますが、守備面に関してはいかがですか?

最初の頃はラインを押し上げるタイミングや下げるタイミングが難しくて混乱していたのですが、最近は(高畑)志帆さんとも連携が出てきて、前からプレッシャーにいくところとラインを下げるところ(の使い分け)は、成長できているのかなと思います。

ーーノジマが5バック気味だった中で、サイドでのプレーはどのようなことを意識していましたか?

サイドの選手が食いついてきたので、左サイドの(加藤)千佳さんと声を掛け合って、自分が高い位置を取りながら、裏のスペースも使えるように意識しながら入りました。

ーー自らゴールを狙った場面もありましたね。

はい。同期の選手たちもみんなゴールを獲っているので、今日こそは点を獲りたいなと思って、思い切って足を振ってみました。

ーーチームとしては4試合無失点ですが、いかがですか?

無失点で抑えられているのはすごく嬉しいです。今日はセットプレーからの得点でしたけれど、攻撃の形もできているので、ここから勢いをつけて、次の試合も勝ちにいきたいです。

菅野将晃監督(ノジマ)

ーー3バックと4バックを使い分ける中で、攻撃のタイミングが合ってきた手応えはありますか?

選手たちはタイミングを感じてくれていると思います。ただ、スムーズにシュートまで持っていけるかというところは、まだまだ私たちの力不足だと感じました。そこをクリアしていけば、より面白い攻撃を見せられるようになると思います。 ただ、応援してくれている人たちに、最後まで分からないという姿を見せられたことは大きな成長だと思います。

ーーシュートまで行く場面を作るために、何が必要だと考えていらっしゃいますか?

決定的な場面の一つ前をクリアできるようにならないと、シュートまで行く場面は出てこないと思います。あとは、今日のような雨のコンディションの中で、もっと相手が嫌がるプレーを出していかないといけませんね。

ーー1部で戦う中で、慣れてきた実感もありますか?

それもあると思います。開幕でINACに0-3で敗れて力の差を感じた中で、それ以降は引き分けが多かったけれども、負けずに来た中で「やれる」という自信も少しは持てました。土台が低いから、今日のように自分たちのゲームができないこともありますが、成長率は、なでしこリーグ1部のチームで一番高いのではないかと自分自身では思っています。

ーー後半は攻撃的に行く指示を出したのでしょうか?

あくまで攻撃的なチーム作りをしてきたので、考え方や想いは常に攻撃にあります。ただ、相手がそれをさせてくれないです。前半からショートカウンターでチャンスが作れそうだったので、後半はもっとゴールに向かうプレーをしなければいけなかったですね。

ーー守備は1部でも通用する手応えはありますか?

いやいやいや、とんでもないです。身を艇さないと防げないですし、遅れてファウルをしてしまっている部分もあるので、そういう部分も含めて上げていきたいです。ただ、ここまで頑張ってくれているのは間違いないですし、そこは選手たちを褒めてあげたいところです。

MF 尾山沙希(ノジマ/キャプテン)

ーー試合を振り返っていかがですか?

耐えて耐えて、という時間が長くなることは分かっていた中で、一瞬の隙を突かれたので、その隙を作らないようにしなければいけないなと思います。 パスとドリブルで取られてしまうシーンが多かったのですが、もっとピッチ状況も頭に入れて戦わなければいけないなと思いました。雨に濡れながら一緒に戦ってくれたサポーターもいますし、本当にありがたいです。

ーー攻撃のリズムはいかがでしたか?

リズムがいい時間は毎試合あるので、その時間を多くすることと、その中で点を取る力をつけなければいけないなと思います。リーグが始まって何試合か戦ってきた中で、ずっと1部で戦って来たチームにも(互角に)戦える手応えを感じるようになりました。ただ、勝ち切る試合が少ないので、その部分で成長していきたいです。

DF 高木ひかり(ノジマ)

ーー失点シーンを振り返っていただけますか?

得点者(高畑選手)が自分のマークでした。CKの流れで、ボールが(浦和の)筏井選手のところに行った時に、セカンドボールで誰も(マークに)行っていなくて、(筏井選手が)キックのうまい選手だと分かっていたので、寄せていかないと直接(シュートを狙われる)という選択肢もあると思っていました。その場面で自分が前に出てしまって、ファーサイドのところで、高畑選手をフリーにしてしまったのですが、マークのズレが生じてしまった時に、(全体として)ズレきれなかったところが足りないところだと感じました。そういうチャンスをしっかりモノにしてくるというところが、(浦和は)上手いチームだと思います。

ーー4バックと3バックの使い分けは、チームとしてスムーズにできていますか?

そうですね。自分は3バックの真ん中にいるので、相手が2トップでくることが多いのですが、マンツーマンでマークについてカバーをしたり、自分が(プレッシャーに)行くときは、そこで潰せるように意識しながら、3人で声を掛け合ってプレーしています。4バックの時は相手を間に置くことが多く、マークが曖昧になることがあるので、そこは修正したいです。

ーー1部のパワーやスピードとかに対して慣れてきた手応えはありますか?

(開幕戦の)INAC戦で3-0でボロボロに負けたのですが、あの試合から学ぶことがたくさんありました。一人じゃ守れない分、みんなでどうやって守るか、とか、一人を潰したら絶対にカバーに入るとか、そういうことをディフェンスラインがみんなで意識してやれていると思います。

ーー今後に向けては、どのような戦いをしたいと考えていますか?

流れの中での失点は少なく、セットプレーなどの失点が多いのですが、そういう失点をなくしていけば上位のチームにも食らいついていけると思います。2部で通用した守備も、1部では失点につながってしまうことがあって、点を獲ってくれている前線の選手たちにも申し訳ないので、毎試合、無失点で抑えるということを意識しながらプレーしています。

MF 吉見夏稀(ノジマ)

ーー試合を振り返っていかがですか?

1点差でしたけれど、守備の時間か長かったです。開幕してから、ずっと課題なのですが、シュートまで持っていくところがまだまだで、今日の試合も課題として残りました。 日頃からシュートの練習はしているのですが、その前の段階で考え直さなければいけないかなというところはあります。

ーー3トップの右サイドでしたが、相手との駆け引きはどのようなことを意識してプレーしていましたか?

基本的に、サイドバックと連携しながら中に入っていくことで、(ノジマの)3-4-3の4のサイドハーフのところが空いてくるので、そこに(ボールを)展開するという意識を持ってプレーしていたのですが、なかなか上手く行かなかったですね。 

ーー1部のスピードとかパワーとか球際のところはここまで8試合を終えて慣れて来た手応えはありますか?

開幕戦で(INACという)本当にレベルの高いチームと試合ができて、その試合ではボールを収めることも何もできなかったのですが、試合を重ねるたびに、体を使ってトラップすることや、速いスピードの中でまずボールを止めるということができるようになってきたと思います。

1部で毎試合、厳しい試合ができているのは本当に幸せなことです。1回勝つことの喜びを、自分たちも含めて、出ていない選手にしっかり届けられるように、そういうところでしっかりと責任を持ってプレーしたいと思います。

試合は大雨の中で行われた(写真はノジマ)
試合は大雨の中で行われた(写真はノジマ)
スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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