元Jリーガー、松岡康暢の挑戦。 ジョーキーボール・ワールドカップで『世界一』を目指す。
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ガンバ大阪を皮切りに、ロアッソ熊本、V・ファーレン長崎と渡り歩いた松岡康暢から「日本代表として今年の6月にローマで行われるワールドカップに出場します」という話を聞いたのは今年の4月末のこと。聞けば、ジョーキーボールというニュースポーツで国内戦を勝ち抜き、ワールドカップ出場の切符を手にしたという。
簡単に説明すると、ジョーキーボールとは、フランスが発祥のニュースポーツで、2:2で行われる屋内ミニサッカーの一種。別名『フィットネス・サッカー』と呼ばれ、年代や性別問わずにフィットネス感覚で楽しめるスポーツだ。幅5メートル、長さ10メートル、高さ3メートルのコートで、壁や天井を自由に利用しながら両サイドに設けられた110センチ四方のゴールを目指す。サッカーやフットサルと大きく違うのは、時間制限がなくポイント制で試合が行われること。7ポイント先取の3セットマッチで、先に2セットをものにしたチームが勝利となる。
細かなルールは一般社団法人日本ジョーキーボール協会(以下、JJA)の公式ホームーページ(http://www.jja.kofu-field.com)でも紹介されているので割愛するが、松岡はそのJJAが主催する日本代表選考会を兼ねたジョーキーボール『第4回・KOFUカップ 2017』に出場して優勝し、日本代表の座をものにした。
「ジョーキーボールを楽しめる施設が福岡にしかなく、普及が進んでいない状況なので、出場者も福岡出身がほとんどでしたが『どうせやるなら世界を目指そう』を合言葉に出場した結果、優勝を勝ち取ることができました。ジョーキーボールはサッカーと違ってボールが小さいし、基本的に接触プレーがないことから、技術がものをいうスポーツ。また、相手との距離感や体の向き、壁をいかに使うかを瞬時に判断してゴールへの道筋を選ぶという意味では、創造性やアイデアが求められるので、サッカーをしてきた経験が活かされている部分もあります。裏を返せば、サッカーのプレー経験はなくても、ジョーキーボールをすることで判断のスピードや創造性が身につくこともあるはずですしね。僕も自分のサッカースクールに通う子供たちに勧めていますが、幼少期の子供たちがサッカーをする上でも成長を助けてくれる要素の1つになり得ると思っています。一方で『エンジョイ&フィットネス』がこの競技のテーマでもあるように、ボールも柔らかいし、コートも小さく、接触プレーも禁止されているという意味では子供や女性など、誰にでも手軽に取り組めるというのも魅力の1つ。スカッシュのように、壁から跳ね返ってくるボールを蹴るだけでも十分楽しさは味わえるし、汗もかけますしね。サッカーは11人、フットサルは5人集まらないとチームにならないのに対してジョーキーボールは二人揃えばできるという手軽さだし、コート自体も場所をとらないと考えても、今後は全国に施設が増えて、ジョーキーボールの輪が広がっていけば嬉しいし、そうした普及の力になれるよう、ワールドカップでは最低でもメダル獲得を目指します!」
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松岡の言葉にもあったように、彼はいま、ジョーキーボール日本代表として活動する傍ら、福岡県久留米市で自ら幼稚園生〜中学生を対象にした『SANXTUS(サンクタス)サッカースクール』を主宰、運営するほか、福岡県新宮町のランブレッタ新宮スクールの派遣コーチとして幼稚園から小学生までの子供たちの指導にあたっている。いずれも『本当のサッカーの楽しさ』を知ってもらうことが松岡の掲げるスクールの理念だ。
「サッカーってボールを蹴る、試合をするだけでも楽しいし、実際にそれが楽しさだと思っている子供も多いのですが、僕はそのさらに先の、楽しさを知ってもらいたいというか。技術を身につけることで相手を抜いたり、プレーで騙したり、上手くなってこそ見えてくるサッカーの本当の楽しさを伝えたい。そのためにも僕のスクールでは、何も考えずにただボールを蹴る、練習に取り組むのではなく、試合の、この場面で使いたいということをイメージして練習するとか、自分なりにテーマを持ってボールを蹴るということを意識させた指導を行っています。実際、僕自身も寝屋川SC(現Sakura United F.C)やガンバアカデミー時代は、そうした技術を身につけられたことで見えてきた楽しさがたくさんありましたしね。また、その楽しさを知ったからこそ『もっと、こんなプレーができるようになりたい』とか『こういう風に相手を抜きたい』という欲が生まれ、それが自分の成長にもつながった。そのことを今度は指導者として子供たちに伝えていければ、と思っています」
そのサッカースクール名、『SANXTUS』はラテン語で『虹』を意味する『SANCTUS』が語源。空にきれいな虹を架けるためには、雨を乗り越え、光を浴びなければいけないように「子供たちに、決して簡単には手にできない“輝き”を掴むために、喜びや悔しさを味わいながらいろんな努力を重ねて力強く前に進んで欲しい(松岡)」という想いを込めてつけられた。また、このチーム名はジョーキーボール・ワールドカップに出場する際にも使用するらしく、同じチームでプレーする松澤憲伸、松崎智大やマネージャーの坂本晃康とともに『SANXTUS JORKYBALL CLUB』(https://www.facebook.com/SANXTUSJORKYBALLCLUB/?fref=ts)として日の丸を背負い、ローマの舞台に立つ。
「今回で第6回大会となるワールドカップは、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガルなど世界から12カ国が参加して行われます。日本勢としては初の世界大会なので、世界のレベルがどの程度なのか、自分たちがどのくらい通用するのか、正直、想像もつきません。ただ、僕らがいい結果を残すことができれば、日本でもジョーキーボールの認知度を高められるかもしれないし、僕が指導にあたる子供たちにも刺激になるはず。だからこそ、しっかり結果を求めて戦ってきます」
ジョーキーボール・ワールドカップは6月15〜18日の日程で、イタリアのローマにて開催される。これまでの過去5大会では全て、ジョーキーボール発祥の地・フランスが優勝してきたが、初参戦となる日本はダークホース的な存在になれるのか。アカデミー時代の同期、家長昭博(川崎フロンターレ)や本田圭佑(ACミラン)のようにサッカー選手としては『世界』の舞台に縁のなかった松岡康暢が初めて、『世界』に殴り込みをかける。