甘辛いお餅がたまらない「くるみたっぷりゆべし」は香ばしい胡桃とお醤油が相性抜群、岩手県の郷土の味
おやつとして日々美味しくいただいている和菓子ですが、本来の目的はおやつではなく別の目的だったというものも沢山。気取らない和菓子のひとつともいえる「ゆべし」もその中のひとつ。
ゆべしは漢字で書くと「柚餅子」と記すように、源平時代(源頼朝が鎌倉幕府を確立する前あたり)に誕生し、くり抜いた柚子の中に木の実や味噌などを詰めて蒸し上げ、乾燥させたものといわれています。それをスライスしながら少しずつ食べていたとも。戦中の大切なエネルギー源だったものが、今ではカジュアルなお菓子に。
その流れから柚餅子は柚子の果皮や果汁を使用したものが多いのですが、東北地方では柚子の収穫が難しく、その代用として厳しい冬には欠かせない脂質元の胡桃をしようしたものが普及しました。岩手県の一部では、方言で美味しいものを「くるみあじ」と表現することも。
今回は1930年創業、豊かな自然に恵まれた岩手県の雫石町に工房を構える「千秋堂」さんの代表銘菓のひとつ「くるみたっぷりゆべし(醤油)」をご紹介。
5センチ四方ほどの正方形のゆべしは、ほっこりとした温もり漂うべっこう色。非常に細かな粒子の氷餅をまぶすことで、乾燥とべたつきを抑えます。気軽に手でつまんでぱくぱくっと食べられるのも魅力のひとつですからね。
お餅の面が見えないほどたっぷりと敷き詰められたロースト胡桃は大きすぎず小さすぎず、口に納まりやすい大きさにそろえられているのも見た目と食感双方への気遣い。
お餅部分はねっとりとした食感なのですが、非常にあっさりとしてまろやかな甘味。約1か月というお日保ちの和菓子でありますが、きつい甘味は一切なし。その代わりにお醤油の塩気とコクが絡み合い、みたらし団子のような甘辛い味わいに。仄かな塩気、お醤油のコクやキリリとした香りがほんの少し加わるだけで、手が止まらない郷土の味わいに。
綺麗にカットされたもののほか、切り落としをパック詰めしたものも大人気!くるみの量はやや控えめかもしれませんが、美味しさは勿論そのまま。みかけた際はぜひお手に取ってみてくださいね。
お取り扱い店舗は公式サイトよりチェック。
<盛岡駅ビルフェザンおでんせ館岩手路>
千秋堂さん公式サイト(外部リンク)
岩手県盛岡市盛岡駅前通1-44 盛岡駅ビルフェザンおでんせ館1階
019-654-7671
9時~20時30分