【全日本ロード】もてぎで今季初の全クラス開催。JSB1000は新予選TOP6サバイバルに注目!
2輪の「全日本ロードレース選手権」が5月28日(土)29日(日)の2日間、ツインリンクもてぎ(栃木県)を舞台に開催される。J-GP2、J-GP3、ST600は筑波サーキットで、JSB1000は鈴鹿サーキットで開幕したが、ツインリンクもてぎでのレースは今季初の全クラス開催となる。女性ライダーが戦うMFJレディースロードレースも開催され、まさにバイクレース三昧のイベントだ。注目度の高いJ-GP2、JSB1000クラスの見所を紹介しよう。
J-GP2:群雄割拠の新王者候補たち
排気量600ccのレース専用バイクで戦うクラス「J-GP2」はチャンピオン、高橋裕紀がJSB1000にステップアップしたことで、今季は新たな覇権争いの構図となっている。開幕戦の筑波では2レースが開催され、今季は「TEAM KAGAYAMA」に移籍して再びJ-GP2に舞い戻ってきた浦本修充(うらもと・なおみち)が筑波の両レースで優勝し、シリーズをリードする。2012年から2014年までの3年間を同クラスで戦ってきた浦本だが、チームも移籍したうえに、マシンはスズキGSX-R600がベースの車両という新しい環境下で2連勝は素晴らしいスタートダッシュだ。
2戦連続の3位となりランキング2位で続くのが國峰啄磨(くにみね・たくま)。18歳になったばかりの國峰は軽量級クラスからステップアップ。地元とも言える群馬県の出身で、地方戦時代はツインリンクもてぎで圧倒的な速さを誇っただけにJ-GP2初優勝の期待がかかる。また、軽量級からのステップアップという意味では昨年J-GP3クラスの王者に輝いた水野涼(みずの・りょう)も同じ群馬県出身。開幕戦の筑波ではレース1で転倒し、レース2で4位。取りこぼしでランキングは12位となっているが、このツインリンクもてぎラウンドからの巻き返しを狙う。
また、筑波での開幕戦をリードしたのは渥美心(あつみ・こころ)。首位を走りながら無念のマシントラブルで失速した残念なレースとなった。ただ、速さは筑波で充分に披露した渥美は今大会の注目だ。さらに昨年のチャンピオンマシン、モリワキMD600を駆る日浦大治朗(ひうら・だいじろう)も巻き返しを図りたい重要なレースになる。「MORIWAKI RACING」としては10月のMotoGP日本グランプリMoto2クラスに日浦と共にワイルドカード参戦(スポット参戦)したいだけに、日浦にとってもツインリンクもてぎでのレースは負けられない。
こういった勢いのある若手ライダー達が多数ステップアップしてきた今季のJ-GP2クラスは実に選手層が厚い。生方秀之(おがた・ひでゆき)、関口太郎(せきぐち・たろう)そして井筒仁康(いづつ・ひとやす)といった経験豊富なベテランたちに、イケイケドンドンで攻める新世代のライダーが挑むレースは見所満載だ。将来的の世界選手権Moto2参戦に向けて重要なアピールの舞台であるツインリンクもてぎのレースは見逃せない1戦だ。
JSB1000クラスでは新予選を実施
最高峰クラスのJSB1000クラス(排気量:1000cc)は鈴鹿に続く今シーズンの第2戦となる。開幕戦・鈴鹿は2人のライダーでも走行可能なセミ耐久200kmのレースで行われたが、今回のツインリンクもてぎは通常のスプリント勝負。ただ、今回は予選の方式が変更される。
昨年のツインリンクもてぎ戦で始まった「サバイバル予選」なる新予選方式。昨年の最終戦・鈴鹿でも「サバイバル予選」の方式が改良されたが、今回さらにその方式が変更される。その名前は「TOP6サバイバル予選」。
【TOP6サバイバル予選】
まず、予選はQ1/Q2/Q3の3つのセグメントに分けられる。
(Q1)
Q1は全車が30分の計時予選を行う。ここで上位10台がQ2に進出。このうち上位3台はQ2が免除され、Q3へ進む。
(Q2)
Q1で4位〜10位のライダーが連続走行。周回ごとのラップタイムの最下位がノックアウトされていく。計測1周目:10位決定、2周目:9位決定、3周目:8位決定、4周目:7位決定。そして残った3台はQ3へ進出。
(Q3)
Q1の上位3台とQ2の上位3台、合計6台で連続走行。周回ごとのラップタイムの最下位がノックアウトされていく。計測1周目:6位決定、2周目:5位決定、3周目:4位決定、4周目:3位決定、5周目:PPと2位が決定。
予選詳細:トップ6サバイバル(ツインリンクもてぎ公式サイト)
カワサキの新型ZX−10Rの進化に注目!
第2戦ツインリンクもてぎの「JSB1000」クラスの注目は今季から投入されたカワサキの新型ZX−10Rの進化だ。開幕戦・鈴鹿ではベテランの柳川明(やながわ・あきら)が3位表彰台を獲得し、その素性の良さは垣間見えた。ただ、開幕の段階ではまだ手探り状態は否めず、今回の第2戦はどれだけ王者、中須賀克行(なかすが・かつゆき)のヤマハYZF-R1に迫っていけるかに注目が集まる。
中須賀が昨年達成できなかった全戦全勝、全戦ポールポジション獲得を目標に掲げている今季、ライバルも認める圧倒的な中須賀の速さを抑え込むライダーは現れるのだろうか。開幕戦で2位となったヨシムラ・スズキの津田拓也(つだ・たくや)の走りは楽しみだ。モデルチェンジしていないスズキGSX-R1000を駆るも、鈴鹿では着実にマシンが進化していたし、何より津田が乗れている。今季、MotoGPでも好調のスズキのマシンを開発する津田としてはツインリンクもてぎで印象的なパフォーマンスを見せることで、MotoGPのワイルドカード参戦の可能性を拓けていきたいだろう。全力でプッシュする走りに期待したい。
新方式にモディファイされた「サバイバル予選」、そしてブレーキングが重要なサーキットであるツインリンクもてぎでJSB1000の今季の流れが見えてくるはず。中須賀を止めるライダーは居るか、それとも中須賀が貫禄の走りで逃げ切るのか。文句の付けようのない完璧な王者をベンチマークにした熱い戦いが始まる。
動画:MFJ SUPERBIKE JSB1000ライダーラインナップ