夫婦で年収400万円 地方で子供を育て、生活をするには十分か
米国サンフランシスコでは年収1400万円でも低所得という記事が少し前に話題になりました。私が住んでいるシンガポールでも外国人の就労ビザが月収70万円程度でないと取得することが難しくなりつつあります。しかし、住む国や地域によって物価や家賃は異なり、現在は海外から仕事を受注し、生活コストが低い日本の地方に住むという選択肢も可能になりつつあります。
地方で暮らす場合、世帯年収400万円で子供を育てていけるのかを考察してみたいと思います。
私は処女作として、『夫婦で年収600万円をめざす! 二人で時代を生き抜くお金管理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を上梓しています。この本では都心で暮らすには夫婦で年収600万円を目指すことが現実的だと説いています。ただ、地方に住んでいる場合、夫婦で年収400万円あれば、子供二人を育てていくことも可能です。片働きではなく、共働きで目標年収を目指すほうが税金などのメリットがあります。
なぜそれだけの年収が必要なのかというと、子供の教育費と養育費がかかるからです。子ども1人当たりにかかる幼稚園から大学までの学校費用と学校外費用は、オール公立の場合で880万円、小学校以外私立の場合で1634万円、オール私立の場合で2258万円(文部科学省「データから見る日本の教育2008」)、養育費として約722万円必要というデータがあります(国民生活白書2005年)。
これらのお金は一気にかかるわけではありませんが、大学資金(私立大学の場合で約400万円前後)だけは計画的に貯めておきたいところ。児童手当(満額もらえる場合はひとり当たりの総額約200万円)に加えて、子供のひとり当たり月1万円(18年間で約200万円)を貯金などで準備する必要があります。
生活をする上で最低限かかるコスト
次に生活をしていく上でかかる家賃は毎月必ずかかる大きな固定費になります。家賃はどんなに多くても手取り月収の1/3程度に留めたいものです。仮に二人の手取りが34万円なら、11万円程度までということ。地方の場合、ファミリータイプの物件でも10万円以内で十分に探すことはできるでしょう。出産を考えていて、出産後しばらく仕事をお休みするという場合は夫一人の収入でもやりくりできるだけの家賃に留めおく方がよいでしょう。夫婦のみ、子供が小さい頃は広い間取りは必要ないですし、自動車があるのであれば駅から遠い物件も選択肢に入れて家賃を大幅に抑えるのも一つです。
また、人生には貯め時があって、独身時代、夫婦共働きの時代、子供が独立した後は貯金をしやすい時期になります。例えば子育て前の夫婦で手取りが34万円なら、20%程度貯めたいところ。月6万8000円貯める場合、その分はないものとして残りの27万2000円で生活をしましょう。仮に家賃(管理費なども込み)が10万円なら17万2000円でその他の支出をやりくりすることになります。6万8000円のバッファーがあれば、子供が生まれた後にもやりくりがしやすくなります。
例えば、モデルケースとして下記のような支出の割合が考えられます。もちろん、予算の範囲内であればどのように配分しても構いません。
家計管理とライフプランを立てよう
家計簿で気をつけたい支出は毎月定額でかかる固定費や通信費など通話料などによって変動するものの月額料金は決まっている固定費の要素が高い支出です。一度契約をしたら容易に変えられないために契約時に比較検討をして支出が膨らみすぎないように注意をしましょう。
食費、日用品、衣服・美容 、趣味・娯楽 、交際費などは変動費のために毎月金額が変わりやすいです。特に食費は多くの家庭にとって消費支出の20%程度という大きな支出になります。スーパーに行く頻度と1回当たりの予算を管理しましょう。
子供ができたら子供費がかかるようになります。その場合、貯金のペースをスローダウンさせて子供費に回すことも考えられます。赤ちゃんの間は主にミルク代とオムツ代などなので、月1万円程度ですが、保育園や幼稚園を利用する場合は収入や施設にもよりますが月3万円前後の支出がかかります。結婚をして、出産をするのか、その場合、働き続けることは可能か。大きなライフプランを二人で話し合っておくことは大切です。産休、育休を取得することによってもらえるお金もあり、キャリアも温存できるためにできる限り継続したいものです。