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梅雨前線が弱まっての梅雨明けは不順な夏という傾向がある

饒村曜気象予報士
笠を放り投げる女性(写真:アフロ)

気象庁は、7月18日昼前に、九州南部・北部、四国、中国、近畿、東海が梅雨明けしたとみられると発表しました。

九州南部は平年より4日遅かったものの、そのほかの地方では、平年並から3日早い梅雨明けです。

二種類ある梅雨明け

梅雨の様相は年によって大きく変わります。

梅雨前線は、普通、7月中旬頃には北上して北海道付近で弱まり、梅雨明けとなります。その後の日本付近は小笠原高気圧に覆われ暑くなります。

しかし、今年のように、太平洋高気圧が弱いために、梅雨前線が北上せずに弱まって梅雨が明けることがあります。このような年は冷夏となりやすいので注意が必要です。北日本は夏でも気温が上がらず、冷害の可能性もあります。

平成22年は、梅雨前線が北に押し上げられて梅雨明けとなり、記録的な暑さの夏となりましたが、平成23年梅雨前線が北上せずに弱まっての梅雨明けでした。

平成23年は空梅雨気味で、7月に暑い日が続いたものの、福島原子力発電所の事故などによる電力不足で節電が呼びかけられていた8月は前年ほど気温があがらず、被害日本大震災からの復興で頑張っている人々を自然がアシストしたことになります。

梅雨明け十日

夏の日本を覆う太平洋高気圧は、北緯20~30度の成層圏(地上約13~15km)にまで達する背の高い安定した高気圧です。

このような太平洋高気圧が、梅雨が明けたあとの夏の日本の天気を支配します。「梅雨明け十日」という言葉があります。梅雨があけてからの10日くらいが、もっとも天気が安定していることを表現しています。海や山、行楽地でも梅雨明け後の夏空を待っています。

今年の夏は、ゴジラとニックネームがつくほど強力なエルニーニョ現象が終わるとすぐに、正反対のラニーニャ現象がすぐに始まるという、予報の難しい夏です。

これまでのジンクスのように、梅雨前線が消滅しての梅雨明けは不順な夏になるか、気になるところです。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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