米本土防衛用GBI迎撃ミサイル初の斉射迎撃実験でICBM撃墜に成功
3月25日(米西海岸時間)、アメリカ軍は本土防衛用MDシステムのGBI迎撃ミサイルによるICBM迎撃実験「FTG-11」を成功させました。標的のICBMはマーシャル諸島の実験場から1発が発射され、米本土西部のヴァンデンバーグ基地から2発のGBI迎撃ミサイルが発射されています。今回はGBI初の斉射実験で、1つの目標に2発の迎撃ミサイルを間髪置かずに連射しています。1発目が目標に命中、2発目は破壊された破片の最も大きな物を識別して突入しました。
Homeland Missile Defense System Successfully Intercepts ICBM Target | Missile Defense Agency
・アメリカ軍広報サイトDVIDSのTwitterアカウントより、GBIの2連射から目標命中まで
今回の実験は、実は本来のGBIの運用方法ではありません。長大な射程を持つGBIは1つの目標に複数を撃ち込む場合、通常は命中したかどうか確認しながら次弾の発射を決める確認射撃(SLS射法)を行います。ただしこれは余裕がある場合の射法であり、余裕が無い場合は咄嗟に射撃する必要があるので、命中を確認することなく連射(STS射法)に切り替える場合があります。今回の実験はそういった事態を想定したものだと思われます。
【参考】弾道ミサイル防衛「シュート・トゥ・シュートとシュート・ルック・シュート」 - Y!ニュース
実験のもう一つの目的と考えられるのは、実戦で敵から多数のICBMが発射されて味方が多数の迎撃ミサイルで応戦する場合、戦場となる宙域はあちこちで迎撃戦闘によるミサイルの破壊が生じて強烈な閃光と多数の破片が発生する混乱した状況の中で、後続の迎撃弾頭のセンサーが正常に機能するかどうかをテストしたのだと考えられます。そして今回のFTG-11実験はこれにも首尾よく成功したことが報告されています。