大阪桐蔭 履正社 『大阪2強』勝ち進む!
56代表のトップを切って21日、北北海道の代表に旭川大高が決まった。各地の戦いも中盤から終盤に入っている。大阪では、同じ北大阪で1枚の甲子園切符を争う大阪桐蔭と履正社のライバル対決が実現するか、目が離せない。当初、両校ともに豊中ローズ球場で21日、3回戦を行うことになっていた。しかし、収容人員がわずか2000人で満員が確実なため、履正社の試合だけを行い、大阪桐蔭の試合は舞洲の第1試合に組み込まれた。ほぼ同時進行で並行取材が不可能なため、ここでは初戦で苦戦(摂津に6-5でサヨナラ勝ち)した履正社の試合を詳報する。
履正社は公立の大型エースに手を焼く
相手の汎愛は公立の強豪で、エース波田野温生(3年)は188センチの長身から最速147キロの速球を投げ込む注目投手。序盤は履正社打線が球威に押され、3回まで無安打に抑えられた。
4回、履正社先発の左腕・清水大成(2年)が連打で2死2、3塁のピンチを招くと、波田野にセンターへ弾き返され1点を失う。5回にも清水は先頭の1番打者に四球を与えるなどピリッとせず、1死1、3塁となったところで、岡田龍生監督(57)はたまらずエース位田遼介(3年)をマウンドへ送った。位田は期待に応え中軸打者を抑えて追加点を阻むと、6回には3者三振で相手に傾いていた流れを断ち切った。岡田監督は、「(清水は)四球とか走者の出し方が悪かったので、交代は早い方がいいと思った。3年生の意地を見せてくれた」とエースをたたえた。
4番・白瀧が決勝3ラン
5回まで波田野に散発2安打と沈黙していた打線は6回、1番の筒井太成(3年)が出塁し、3番・濱内太陽(3年=主将)も続いて好機を広げると、4番・白瀧恵汰(3年)の二ゴロ併殺崩れで追いついた。位田は8回に2死から2四球を与えたが、波田野を三振に仕留め勝ち越しを許さない。
すると打線はまたも筒井が出塁して、好機を迎える。濱内が歩いて2者を置き、ここで4番の白瀧が登場。高めの球を強引に引っ張ると、打球は右翼ネットに突き刺さった。何度もガッツポーズを見せて生還した白瀧(タイトル写真左)は、「(相手投手の)球威も落ちていたので、ストライクゾーンを広げていた。ボール球だったけど思い切っていった。打った瞬間、いったと思った」と声を弾ませた。
3年生エースが好救援
そのあとも、気落ちした波田野から追加点を奪った履正社は、5-1で汎愛を振り切った。位田は4回2/3を1安打無失点の好救援で勝利に大きく貢献。摂津戦では救援した8回にリードを守れず同点に追いつかれていただけに、「前の試合は野手に助けてもらった。内容よりもチームが勝つのが一番」と喜びも控えめ。8回に突然、制球を乱した場面では、ベンチの松平一彦部長(41)から「いんで~ん、みんなに声掛けろ!」の声が飛んで、「それまで打者ばっかりになっていたけど、あれで周りが見えて冷静に投げられた」と振り返った。
大阪桐蔭は藤原が満塁弾
一方の大阪桐蔭は常翔啓光学園を序盤から圧倒。
ドラフト1位候補の4番・藤原恭大(3年)が満塁弾を放つなど19安打の猛攻で18-0と5回コールド勝ちした。試合後、北大阪大会の抽選が行われ、この『2強』は別ブロックになって対戦があるとすれば準決勝以降(準決勝前に再抽選)になった。
「自分たちの野球をやればチャンスも」と履正社4番
履正社の岡田監督は、「今年は弱いので怒ってばっかり。気楽にやっていますわ」と豪快に笑いながらも、「アウトになった選手が次の打者に(相手投手の傾向などを)教えたり、皆で助け合う姿勢は代々受け継がれている。チームに一体感が出てきた」と手ごたえもつかんだ様子。「あちこちで波乱も起きていますが、どこも力をつけている。開き直ってやっているので秋とは全然違う」と、昨秋に2-9で敗れたライバル・大阪桐蔭へのリベンジに燃える。決勝本塁打の主砲・白瀧も、「(この2試合)粘り強く戦えているので、自分たちの野球をやればチャンスはある」とライバルに対し、一歩も引かぬ闘志を見せた。