6月3日は乾物カレーの日
「食品ロス」と聞いて、すぐに「乾物」を思い浮かべる人は少ないかもしれない。家庭の冷蔵庫の中で、気づいたら傷んでいた・・ということが多い野菜類。これを乾燥させることにより、日持ちがぐんと長くなり、ロスにしてしまうことを少なくできる。たとえば、えのきだけ。乾燥させると、だしの代わりとしても使うことができる(実際、乾燥えのきだけは、長野県など、市販されている地域もある)。乾物を日常生活に取り入れることで、食品やエネルギーの無駄をなくすことができる。
「乾物で世界をもっとPEACEに!」を理念に掲げるDRYandPEACE(ドライアンドピース)のサカイ優佳子さんと田平恵美さん。2002年、五感を重視した食育ワークショップ「食の探偵団」を立ち上げて以来、食に関わる活動を続けてきた。そんな中、乾物は未来の重要な食であると気づき、折しも東日本大震災が発生。日持ちのする乾物は、常時のみならず、非常時にも重要な役割を果たすことに気づく。2013年1月、乾物をより普及させるべく、乾物ドライカレーパンプロジェクトを立ち上げた。同年7月に(社)DRYandPEACEを設立、2015年6月には乾物をヨーグルトでもどす方法を考案し、発表した。『毎日食べたい乾物ヨーグルトレシピ決定版』(世界文化社)はじめ、複数の著書を上梓している。
サカイさんと田平さんのお二人が発起人となり、6月の第一土曜日を「乾物カレーの日」とするプロジェクトを立ち上げた。日本では、古くから「乾物は梅雨の前に使いきれ」と言われており、古来の習慣に倣い、6月の最初の週末に乾物を使ったカレーを食べながら、未来の食に思いを馳せる。
DRYandPEACEが考案した写真の「乾物カレー」は、切り干し大根、干し椎茸、レーズン、切り干し人参が使われている。戻し汁を使って煮詰めていく。上にかかっている赤いサルサソースには、乾物であるドライマンゴーを刻んで入れてある。奥に添えてあるサラダは、2月の節分などで余りやすい乾燥大豆をヨーグルトに浸けて戻し、玉ねぎのみじん切りを加えて、レモン、塩、胡椒で味付けしてある。
下の写真の左側は、切り干し人参。写真の右側の大きさの人参が、なんと9本分も入っている。
乾物を使ったキーマカレーやカレーパンなど、首都圏を中心とした全国(一部、海外も)の約40店舗が、この「乾物カレーの日」プロジェクトに参加する。売上の一部は、砂漠の緑地化を進める一般社団法人 地球緑地化クラブに寄付される。
参加店舗の一つが、小野美穂さんのベジドレ工房 もったいない食堂。小野さんのベジドレ工房は、普段は調味料製造やケータリングを主体としている。今回、プロジェクトの趣旨に共感し、乾物カレーの日である6月3日(土)だけ、特別にレストランをオープンするとのこと。
今回、小野さんがご提供されるのは、ベジドレパクチーを作るときに廃棄される、パクチーの根っこの部分を乾燥させて保存し、カレーに入れる、パク根カレー。
野菜の皮も捨てないで「ベジブロス」(野菜の皮などを使った だし)にしている。
ケータリングでビネガーシロップを作ったときの副産物、酢漬けのセロリや苺は、チャツネ代わりにした。(チャツネ:野菜や果物に香辛料を加えて作るソースやペースト状態の調味料)
普段から、仕入れ過ぎた野菜や、トマトの上下の部分などは、乾燥させて、無駄にせずに活用していると言う。今回のカレーには、パクチーの根っこのほか、ドライトマトや玉ねぎ、マッシュルームなどを使用している。
私が主宰している「食品ロス削減検討チーム川口」の副会長で、川口銀座商店街振興組合理事長でもある、株式会社Ocalan(オカラン)の代表、坂巻達也さん。坂巻さんは、3年間かけて、おからと豆乳を使った低糖質でグルテンフリーのお菓子、ocalan(オカラン)を開発した。
(株)Ocalanは、今回、乾物ドライカレーパンと、ドライトマト入りカレー味のオカランを、6月3日(土)に販売する。
「乾物カレーの日」プロジェクトに協力してくださるお店は、40店舗近くある。ぜひこの機会に、立ち寄って頂けること、乾物を通して未来の食を考える機会になることを願っている。