あなたの家の周りにも山ほどいる身近なかわいい害虫その3=ルリカミキリ
ルリカミキリは、小さいカミキリだが、青くキラキラ輝く翅は実に美しい。これが大きなカミキリだったら、虫捕り少年たちの間で大人気になったかもしれない。しかしやつらは、最近生垣や街路樹に多用されているレッドロビン(和名ベニカナメモチ)を枯らしてしまうこともある害虫なので、体が大きくて目立っていたら、大悪党として徹底駆除されていたかもしれない。
ルリカミキリはもともとリンゴ、ナシなどバラ科の果樹の害虫として知られていたが、都市化の進行とともに、一部地域では準絶滅危惧種になってしまった。ところが、レッドロビンの大流行とともに息を吹き返して、一気に勢力を拡大。都心の昆虫記者宅の近くでも、2つの公園で毎年相当数発生している。
春先のレッドロビンの生垣はともかく目立つ。血のような真っ赤な葉に覆われた生垣を目にして、ギョッとした人、美しさに見とれた人も多いはず。剪定しやすく、病害虫にも強いはずだったレッドロビンだが、なぜかこの木に引き寄せられてしまったのがルリカミキリだ。
自宅近くのレッドロビンの生垣にルリカミキリがいるかどうか、確認するのは割と簡単だ。4、5月の成虫発生時期に、枝先の赤っぽい葉の裏側を眺めてみればいい。葉裏の主脈(中心の一番太い葉脈)の一部が黒く変色していたら、それが成虫の食痕(食べ跡)。そんな葉がたくさんあれば、あのきれいな成虫が大量発生している証拠だ。
しかし、あまり大量に発生すると、そのうちレッドロビンの木自体がボロボロになる。ルリカミキリの幼虫が木の内部を食い荒らすからだ。
このカミキリを是非見つけたいという人は、一番上の方の枝の葉裏を見て回るといい。「何を見ているんですか」などと公園管理の人に尋ねられたら、何食わぬ顔で「赤い葉がきれいですね」などとか答えておけば、ルリカミキリたちは当分、駆除されずに生き残れるだろう。(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)