オートバイのあれこれ『“パカパカ”ヘッドライトのバイク。』
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は『“パカパカ”ヘッドライトのバイク。』をテーマにお送りします。
「リトラクタブルヘッドライト」
四輪(クルマ)が好きな人には、聞き馴染みのあるワードかと思います。
リトラクタブルヘッドライトとは格納式ライトのことで、1990年代頃まではスポーツカーを中心によく用いられていました。
一般的には“クルマの技術”と見なしていいこのリトラクタブルヘッドライトですが、実はごくわずかながら、二輪にも採用されたことがあります。
今回は、その「リトラ」が採用された珍しいオートバイを1つピックアップしましょう。
1984年(昭和59年)にデビューしたスズキ『GSX750S カタナ』(『GSX750S3』)です。
スズキはかの名車『GSX1100S カタナ』の日本向けモデルとして、82年にGSX750Sをリリース。
いわゆる「ナナハンのカタナ」ですね。
82年に登場した初代(1型)と83年式の2型では1100Sのスタイリングデザインを踏襲していた750Sですが、スズキは84年に3型をリリースするにあたって、大胆な“イメチェン”を敢行。
それまでの1100Sルックを捨て、スズキが自前でスケッチしたデザインを採用しました(元々のカタナデザインは、ドイツのターゲット・デザイン社が手がけたものだった)。
この「純スズキ製」とも言える3型750S(3型カタナ)のデザインに、リトラクタブルヘッドライトが導入されたのです。
従来のカタナデザインもかなり衝撃的ですが、3型カタナのツルンとしたフェイスデザインにも、それに負けず劣らずのオリジナリティを感じてしまいます。
平常時はスイッチボックスのスモールランプスイッチを操作することでライトユニットが開閉するのですが、故障した場合などには手動でも開閉できるようになっていました。
リトラを採用したことで、その外観は従来型からはっきりと変化していた3型カタナでしたが、一方で燃料タンクや隣り合わせのサイドカウル(サイドパネル)には元祖カタナのイメージもどことなく残っており、このあたりにスズキの絶妙な“さじ加減”を見出すことができるのではないでしょうか。
画像引用元:スズキ/MAZDA