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学生団体「SEALDs」が解散―安倍政権による改憲を防げるか?ボールは市民と野党の側に

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
国会前で安保法制反対を訴えるSEALDs。昨年7月、筆者撮影。

終戦記念日の15日、安保法制反対などの活動で、注目を浴びた学生団体「SEALDs」(シールズ)が解散し、ラストメッセージとして、動画と声明を公表した*。声明では、「SEALDsは解散します。しかし終わったというのなら、また始めましょう。始めるのは私であり、あなたです。何度でも反復しましょう」と、特定の組織や政党だけではなく、一般の人々が日常の目線から政治を語り、粘り強く行動していくことの大切さ等を訴えている。

*動画と声明はhttp://sealdspost.com/tobe/で閲覧できる。

SEALDsは、昨年5月3日の憲法記念日に、安保法制に反対する学生たちによって結成された。以降、昨年9月19日に安保法制が強行採決されるまで、毎週、国会前や渋谷などでデモを行った。流行に敏感な若者らしいスタイリッシュなファッションやカラフルなプラカード、ラップやヒップホップなどの要素を取り入れたテンポの速いマイクアピール、そして、教条的ではなく等身大の自身の思いを語るスピーチなどが新聞やテレビ、雑誌などのメディアで大きく取り上げられた。これに刺激を受け、東北や、中部、関西、そして沖縄など各地で若者達が立ち上がったほか、他の世代もデモに初参加するなどのブームを巻き起こした。

「民主主義ってなんだ?これだ!」等、たたみかけるようなコールが印象に残る
「民主主義ってなんだ?これだ!」等、たたみかけるようなコールが印象に残る

安保法制の強行採決以降は、デモのみならず、野党共闘を求める「市民連合」の一角として、参院選の一人区での野党統一候補を立てるべく、SEALDsのメンバーも各地を飛び回り、各党の説得にあたった。そうした活動により、今年7月の参議院選挙では全国32か所の一人区全てで野党統一候補が立ち、11の選挙区で野党側が勝利するなど、前回参院選(2013年)の2勝から大幅に改善するなど、SEALDsは日本の政治そのものにも大きな影響を与えた。

解散発表を受け、フェイスブックなどネット上では、その解散を惜しむ声も少なくないが、元々、SEALDsは緊急のアクションであり、中心メンバーらは、昨年から、参院選後の解散を明言していた。また、人々がデモに参加したり、選挙の応援など政治に関わったりすることのハードルを下げ、野党共闘の流れで一定の成果を出したなど、その役割は十分果たした、とも言える。安倍政権が改憲へと動くことは、ほぼ確実な中で、SEALDsの撒いた種が、どう育つか。ボールは、SEALDsに共感してきた人々や野党の側にわたっている。そして、ある意味、SEALDsに代弁させるようなかたちで、安倍政権の暴走ぶりに疑問を投げかけてきたメディア関係者らにとっても、これからが正念場だと言えるだろう。

(了)

以下、写真で振り返るSEALDsの活動。撮影はいずれも筆者。無断使用を禁じる。

SEALDsの中心メンバーの一人、奥田愛基さん
SEALDsの中心メンバーの一人、奥田愛基さん
他団体との合同でのデモは数万人から10万人以上の規模に
他団体との合同でのデモは数万人から10万人以上の規模に
デモには老若男女、著名人も参加
デモには老若男女、著名人も参加
原宿、表参道でのデモ
原宿、表参道でのデモ
SEALDsの活躍は海外メディアも報じた。
SEALDsの活躍は海外メディアも報じた。
フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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