MVPをトレードで獲得すると、サイ・ヤング賞投手がついてくる!?
ボストン・レッドソックスのムーキー・ベッツは、違う球団のユニフォームを着て開幕を迎えるかもしれない。いくつかの報道によれば、ナ・リーグ西地区の2球団、ロサンゼルス・ドジャースとサンディエゴ・パドレスが獲得に興味を示しているらしい。
ベッツは、現在のメジャーリーグにおいて、最高ではないかもしれないが、それに近い野手だ。5年続けて40二塁打&15盗塁以上を記録し、ホームランは4年連続20本以上。直近2年の四球率とOPSは、両年とも13%と.910を上回る。ライトの守備も優れ、4年続けてゴールドグラブを手にしている。MVP投票は過去4年とも8位以内。2016年はマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)より45ポイント少ない2位だったが、2018年は2位のトラウトに145ポイント差をつけて受賞した。現在の年齢は27歳。今シーズンが終わると、FAになる。
実現すれば、ブロックバスター・トレードになりそうだが、さらに、別の大物選手が同時に動く可能性もある。ESPNのバスター・オルニーによると、レッドソックスとドジャースの両球団は、ベッツとデビッド・プライスをセットにしたトレードとプライスを含まないトレード、どちらについても話し合っているという。
現在、プライスは34歳だ。8年前にサイ・ヤング賞を受賞した。そうしたことからも窺えるとおり、全盛期は過ぎている。2019年は22試合に先発し、防御率は4.28だった。とはいえ、その前年は30先発で防御率3.58。また、この2年を比べると、K/BBは3.54→4.00、FIPは4.02→3.62と推移している。まだ、ローテーションの一員として投げることはできそうだ。
ただ、プライスの契約は、あと3年9600万ドルが残っている。レッドソックスはプライスを手放し、支出を削減したいところだが、獲得したいと考える球団にとっても、残りの契約はネックとなる。そこで、ベッツと「抱き合わせ」にして放出する話が出ているというわけだ。ドジャースはプライスを欲してはいないと思われるが、彼を「引き取る」ことにより、ベッツを得るのに必要な見返りを減らせる。
なお、MVP受賞者とサイ・ヤング賞投手が複数動いたトレードは、過去に1度しか成立していない。1972年6月29日に、オーランド・セペダがアトランタ・ブレーブスからオークランド・アスレティックス、デニー・マクレインがアスレティックスからブレーブスへ移籍した。セペダは1967年のMVP。マクレインは1968年にMVPとサイ・ヤング賞を受賞し、その翌年もサイ・ヤング賞に選ばれた。セペダとマクレインは交換だったので、ベッツとプライスが一緒に動けば、史上初のトレードとなる。