京都の紅葉の最後を飾る「洛南の紅葉」を紹介
洛南の紅葉は、伏見区と宇治市がメインのエリアとなる。まず伏見区だが、京都市最大の区域を誇り、その中から3か所をお勧めしたい。
一つ目は城南宮。神苑である楽水苑は、別名が「源氏物語花の庭」。特に鳥羽離宮の遺構とされる春の山に植えられたしだれ梅は、すっかり京都の梅の名所として定着した。その印象が強いためか、秋に紅葉目当てで訪れる人は少ない。狙い目は「平安の庭」で、こちらは池泉回遊式のエリアと曲水の宴が行われるエリアに分かれており、どちらもカエデの量が多い。今年の秋訪れた時は雨天であったが、岩に張り付いた紅葉と青々とした苔、背景にはボリュームのある紅葉が重なり、この秋一番のショットが撮れた。
次にお勧めしたいのは、伏見桃山城がある京都市管理の伏見桃山城運動公園だ。昭和39年に造られた天守閣と紅葉とのコントラストが美しい。桜の名所でもあるので、春の時期もお勧めだ。
最後に「醍醐の花見」で知られる醍醐寺だ。城南宮同様に春のイメージが強いことから秋に訪れる人は少ない。伽藍エリアの奥にある弁天池の周りの紅葉は、弁天堂と合わせて素晴らしい景色を見せてくれる。
次に宇治エリアだが、今年発見したのが、アジサイ寺で知られる三室戸寺の紅葉だ。アジサイ以外にもツツジ、ハス、近年はしだれ梅の名所となり、「花の寺」のイメージが強いので、やはり秋には人が少ない。圧倒的な紅葉のボリュームがあるにもかかわらず、参拝者は少なかった。おすすめは三重塔周りの紅葉だ。
三室戸寺から宇治川方面へは遊歩道が整備されており、源氏物語ミュージアムの前も紅葉が美しく、宇治上神社、宇治神社を経て宇治川に出ると、少し上流に興聖寺の入口が見えてくる。ここから中心伽藍までの坂道は「琴坂」と呼ばれ、宇治の代表的紅葉スポットとなっている。
対岸の平等院は鳳凰堂の南側、さらに源頼政が自刃したと伝わる扇の芝付近の紅葉がおすすめだ。
最後に八幡市と京田辺市から一か所ずつ紹介したい。八幡市では「紅葉寺」と呼ばれる善法律寺が必見だ。足利義満の母がこちらの寺院出身で、カエデを寄進したと伝わり、その時代から紅葉を楽しめたと言う歴史ある紅葉寺院だ。
さらに京田辺市にある一休寺は、参道から紅葉のトンネルとなり、晩年の一休さんの石像周りの紅葉は、一休さんを包むかのような見事な演出を見せてくれている。
穴場ぞろいの洛南の紅葉、ぜひ来年は訪れてみてほしい。