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馬術で「92年ぶりのメダル」獲得! 後に続く若き「馬術系高校生」と佳子さまの感激のふれあい

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
佳子さま(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

日本時間7月29日夜、パリオリンピック馬術競技で日本チームが92年ぶりのメダルとなる、銅メダルを獲得した。これは1932年ロサンゼルスオリンピックで金メダルに輝いた「バロン西」こと、西竹一以来である。

今回の快挙は、日本の地道な馬術振興に従事する人たちの努力の賜物だろう。

そして選手層の底上げに一役買っているのが、毎年、夏に行われる「全日本高等学校馬術競技大会」だ。

今年も昨年に引き続き、7月25日に秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまが静岡県御殿場市の会場を訪れ、高校生の馬術の熱戦をご覧になった。この大会に出席されるのは、今回で6回目。

これまで6回とも佳子さまを案内し説明役を務めてきたのは、第58回全日本高等学校馬術競技大会の副会長、今村秀樹さんだ。馬術大会を通して知った、佳子さまの素顔について伺った。

◆佳子さまから思いがけない激励が

今回、今村さんが特に印象的だったのは、これまでになかった佳子さまの思いがけない行動だった。

開会式の後、出場した高校生らと記念撮影をするのが恒例となっているが、撮影が終わると、佳子さまは並んでいる選手たちのほうを振り向いて、

「皆さん、頑張ってくださいね」

と、満面の笑みで激励の言葉をかけられた。佳子さまの熱い応援に、選手たちもワーッと歓声をあげて喜んだという。

「今までは撮影が終わると、部屋にお戻りになっていましたが、今回はそうではなく、選手たちにお言葉をかけられました。せっかくのこの機会、交流を深めたいと思っていらっしゃったのでしょう。公務をいろいろなさって、ご経験を積まれたのだなと思いました」(今村さん)

佳子さまが最初にこの大会に出席されたのは、20歳の時だった。今村さんはその時から傍で佳子さまを見てきたが、回を重ねるごとにご成長を感じていたという。

お出迎えした関係者に挨拶する際も、ご自分から話題を提供し、しばし会話をされるようになった。

今回も、

「毎年、来るたびに楽しく拝見させて頂いています」

と、とても丁寧に話され、恐縮してしまったとか。

以前、今村さんが「馬に乗ったことはありますか?」と尋ねた時、佳子さまは「小さい時に馬に跨った程度です」と答えていらっしゃったが、実際に乗馬はされていなくても、お越しになるたびにより興味を深めているご様子だったという。

大会をご覧になっている時にも、それが伝わってくる場面があった。

今村さんが、障害の競技では、事前に選手が自分の足でコースを回り、ここで手綱を引き、ここでジャンプするといったように、頭の中でイメージしながら下見をすると説明した時のことだ。

佳子さまは、

「(馬に乗らず)人がシミュレーションするんですね」

とおっしゃり、とても珍しがっていたようだったという。

イメージトレーニングは、フィギュアスケートやダンスで練習を積んできた佳子さまも、熱心に練習されてきた方法なのだろう。この発見は、興味深いものとなられたに違いない。

◆佳子さまがこの大会に出席された理由は…

開会式の後は、知事や市長らと歓談しながら昼食を召し上がるのが恒例だが、コロナ禍になってから昼食会は中止していたため、今回、久しぶりに実現した。

地元の話題が中心になる中、佳子さまは、

「静岡は母の出身地でございますので、懐かしいです」

と話されたという。なんでも紀子さまのお母さまのご実家が静岡県にあり、幼少の頃によく遊びに行っていたようだ。

全日本高等学校馬術競技大会には、43年前の第15回大会から秋篠宮さまがお越しになり、結婚された後は、紀子さまと一緒にいらっしゃったこともあった。小室眞子さんや佳子さまが、成年皇族になってからお一人で出席されたことも。

「毎年、よほどのことがない限りは、秋篠宮家の方どなたかがお越しくださっています。悠仁さまも将来的にはお越しいただけるのかなと思っています」(今村さん)

これまで6回にわたり、佳子さまに大会で説明係を務めてきた今村さんは、これからは後進に任せようと考え、今回が最後になる予定だ。

そのことを佳子さまに伝えると、

「非常に残念ですけど、どうぞお体を大切になさってください」

と、労いのお言葉をかけられたという。

今、馬術の振興は危機を迎えている。馬術は馬を集めることや広い会場が必要となり、コストがかかりすぎてしまうなどの理由からか、高校総体に競技として入っていない。国民スポーツ大会(国体)では、2027年までは毎年行われるが、それ以降は2年に1度の実施となった。

皇室と馬術は古くからゆかりがあり、馬に乗ってボールを打つポロに似た日本古来の競技「打毬(だきゅう)」は、宮内庁主馬班によって伝承・保存されている。

昭和天皇や上皇さまも乗馬を嗜まれ、皇居はもちろん御料牧場でも多くの馬が飼育されている。それらは馬車を引く馬や皇宮警察の騎馬隊などに用いられ、人と馬との伝統的な関わりが受け継がれているのだ。

今も皇室の方々が毎年のように高校生の馬術競技大会に出席されているのは、日本で馬術がスポーツ競技の一つとして続き、馬と共存する文化を残していきたいという願いからでもあると思う。

佳子さまが声援を送られた馬術が注目され、今回の大会に出場した高校生たちはますますレベルアップして、金メダルを目指すようになっていくのだろう。

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放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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