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天皇皇后両陛下も期待を寄せるパリオリンピック・パラリンピック 皇室とのゆかりに意外なエピソードあり!

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
天皇皇后両陛下(写真:ロイター/アフロ)

いよいよ7月26日、パリオリンピックが開催される。日本選手団の選手数は、海外で開催するオリンピックでは史上最多の400人あまりにのぼり、連日のように続々とフランス入りしている。今回もメダルをかけた熱戦が連日のように繰り広げられ、私たちに大きな感動を与えてくれるはずだ。

スポーツ好きの天皇ご一家をはじめ皇室の方々も、パリオリンピック・パラリンピックに出場する日本選手たちの活躍を期待されていることだろう。そこで今回は、皇室とオリンピック・パラリンピックについて興味深い話題やエピソードを集めてみた。

◆オリンピックで開会宣言を2回行ったのは?

オリンピックの開会宣言は、オリンピック憲章のプロトコル(儀礼上の約束事)により、開催国の国家元首が行うと定められている。

日本では1964年の東京オリンピック、1972年の札幌オリンピックは昭和天皇、1998年の長野オリンピックは、当時、天皇だった上皇さま、そして2021年の東京オリンピックは天皇陛下が開会宣言をされた。つまり、昭和、平成、令和と3代続けて開会宣言を行ったのである。(天皇が国家元首かどうかについては、法的に明文化された定めはないものの、対外的には国家元首と見做されている)

こうして見ると、昭和天皇は夏季大会と冬季大会の2回も開会宣言をされたことが分かる。世界を見回すと、実は他にもう一人、生涯で開会宣言を2回行った方がいる。2年前に亡くなったイギリスの国家元首エリザベス2世だ。

2012年のロンドンオリンピックはもちろん、1976年のモントリオールオリンピックでも開会宣言を行った。これはカナダが英連邦に属していることから、国家元首はエリザベス2世であったためである。

自らの国でオリンピックが開催されるのは、生涯で一度か二度の貴重な機会であることから、オリンピックの開会宣言を2回も行った国家元首は、現在のところ、昭和天皇とエリザベス2世の二人しかないのだ。

◆オリンピックに出場した世界の王族は?

スポーツの祭典であるオリンピックだが、世界の王族の中で出場した方はいるのだろうか?

結論から言うと、日本の皇族でオリンピックに出場した方は今のところいない。しかし、日本オリンピック委員会(JOC)元会長の竹田恆和(つねかず)氏は、旧皇族の竹田宮家の出身だ。ただし臣籍降下後の生まれであるため、皇室と親戚ではあるものの皇族ではないが、1972年ミュンヘンオリンピックと、1976年モントリオールオリンピックの乗馬競技に出場している。

また三笠宮信子さまの兄である、麻生太郎元総理大臣は、モントリオールオリンピックのクレー射撃に日本代表として出場した。

世界では、ノルウェー王室のハラルド国王は、ヨット競技の選手として、東京、メキシコ、ミュンヘンと3度のオリンピックに出場した。先代であり父のオーラヴ5世は、1928年のアムステルダムオリンピックの同じ競技で、金メダルを獲得していることから、運動神経の良さは親譲りでもあるのだろう。

イギリス王室のアン王女は、モントリオールオリンピックに馬術競技で出場し、その娘であるザラ・ティンダルも、2012年のロンドンオリンピックで同じ競技の銀メダルに輝いた。

IOC委員でもあるモナコ公国のアルベール2世は、冬季オリンピックにボブスレー選手として、5回も出場している。妻のシャルレーヌ公妃は、2000年のシドニーオリンピックに南アフリカ代表選手として、水泳競技3種目に出場した。初めてアルベール2世と出会ったのもまた、水泳大会であったというほどの、スポーツ好きな夫婦だ。

◆笑いに包まれた、皇室の方々とオリンピアンの会話

これまでも皇室の方々は、園遊会や茶会などで、オリンピックやパラリンピックのメダリストたちと交流されてきた。そのやりとりでは、笑いに包まれることもあった。

有名なのは、園遊会で昭和天皇が柔道の山下泰裕選手に、「(稽古は)骨が折れますか?」と声をお掛けになり、柔道の山下泰裕選手は”骨が折れる”とは骨折のことだと勘違いして、「ええ、2年前に骨折したんですけど」と答えた場面だろう。

去年、春の園遊会でも、両陛下に弾けんばかりの笑いが起きた一コマがあった。

長年車いすテニス界をリードしてきた国枝慎吾選手との会話では、夫婦でテニスをすることに話題が及んだ。その時、国枝選手が、

「あまり長くやってしまうと、(夫婦の間が)ちょっと険悪なムードになっちゃう場合もあるので、ほどほどのところでいつも切り上げるようにしております」

と話した瞬間、両陛下の明るい笑い声が広がった。国枝選手の包み隠さない、ざっくばらんな話の内容に、もしかしたら陛下も雅子さまとのテニスで心当たりがあったのかもしれない。

オリンピック・パラリンピックのメダリストを含む入賞者らは、後日、皇居宮殿で催される茶会に招かれる。そこで両陛下から健闘が称えられ、労いのお言葉がかけられるのだが、今回は活躍が期待される選手が多い。もしも皇居宮殿の広間に入りきれないほど多くのメダリストや入賞者が誕生したらどうしようと、早くも陛下はひそかにうれしい心配をされているかもしれない。

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放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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