最も「加速」したホームラン。その打球は、投球の倍以上のスピードで飛んでいった
5月17日、ヤミーン・マルセイディス(シカゴ・ホワイトソックス)は、シーズン6本目のホームランを打った(通算の本数も同じ)。スタットキャストによると、初速は109.3マイル(約175.9km)だった。
マルセイディス――日本ではメルセデスと表記されることが多い――は「ヤミーネーター」のニックネームを持つが、この打球は、人間が打つとは思えないほどのスピードではなかった。今シーズンのホームランに限っても、トップ200にすらランクインしない。
ちなみに、2015年に始まった「スタットキャスト・エラ」の最速ホームランは、121.7マイル(約195.8km)だ。2018年8月9日に、ジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)が打った。結果を問わなければ、こちらもスタントンのシングル・ヒット、2017年10月1日の122.2マイル(約196.6 km)が最も速い。
ただ、マルセイディスが打ち返したのは、ウィリアンズ・アスタディーヨ(ミネソタ・ツインズ)が投げた47.1マイル(約75.8km)のイーファス・ピッチだ。これは、スタットキャスト史上、最も遅い投球のホームラン。昨年9月15日にサンティアゴ・エスピナル(トロント・ブルージェイズ)が投げ、DJ・ラメイヒュー(ヤンキース)が打った、48.7マイル(約78.4km)のカーブを下回る。ラメイヒューのホームランの初速は、100.5マイル(約161.7km)だった。
50マイル未満の投球をホームランとしたのは、この2人だけ。打球のスピードが投球の倍以上のホームランも、他には記録されていない。ラメイヒューの場合は、投球と打球が51.8マイル差(約83.3km差)で、打球のスピードは投球の2.06倍。それに対し、マルセイディスは、62.2マイル差(約100.1km差)と2.32倍なので、「最も加速したホームラン」と形容してもいいかもしれない。
投げた球を倍以上のスピードで打ち返されたエスピナルとアスタディーヨは、どちらも野手だ。また、後者のホームランは、その前から、見た目でも愉しませてくれた。身長5フィート9インチ&体重225パウンド(約175.3cm&102.1kg)のアスタディーヨが投げ、5フィート11インチ&245パウンド(約180.3cm&111.1kg)のマルセイディスが打った。