災害級の暑さの原因?大気中のメタン濃度が急上昇中と判明
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「大気中のメタン濃度が急増中、起こり得る未来」というテーマで動画をお送りしていきます。
近年、大気中のメタン濃度が急上昇していることが判明しています。
さらにこのことが引き金となり、今後の比較的短期間のうちに地球規模の大きな気候変動を経験する可能性も指摘されています。
●現在は氷河時代にあたる
そもそも氷河時代とは、地球の歴史の中で特に気温が低く、その地表に大陸並みの大きさの氷床が存在している時期を言います。
氷河時代は、中緯度地域まで氷河に覆われるほど寒冷な時期である「氷期」と、氷期の間の比較的温暖な時期である「間氷期」に分けられます。
現代の地球では、中緯度地域までは及ばないものの、その両極付近には巨大な氷床が存在しています。
このことからも実は現代は氷河時代の最中にあり、その中でも比較的温暖な間氷期にあたります。
最近は地球温暖化どうこう言われていますが、地球の長い歴史の中ではこれでもかなり寒いのです。
上記の画像は地球の過去6500万年間の平均温度の推移を示したグラフであり、縦軸が現在を基準とした温度、横軸が現在を基準とした年代を示しています。
直近の数百万年間を除いて、地球の温度は今よりもずっと高い状態を維持していたことが分かります。
そしてこちらは過去550万年間の地表の平均温度の推移を示したグラフです。
大体260万年前から寒冷な時期が続いています。
最近すぎてグラフではほとんど見えませんが、最後の氷期は今からたった11700年ほど前に終了しました。
当時の地球の平均温度は現在より6度ほど低かったと考えられています。
●終焉期(Termination)
現在の氷河時代において特に過去100万年間は、氷期と間氷期の1サイクルの長さは8万年から12万年の間で変化し、平均的には10万年程度続いていたと考えられています。
氷期が終了する際、数千年という比較的短い期間で急速に温暖化が進み、巨大な氷床が融解し、それに伴い海面が約120メートル上昇し、地球全体に間氷期気候が出現したとされています。
このように氷期から間氷期へと移行する、比較的短期間での気候変動期間は「終焉期(Termination)」と呼ばれています。
終焉期はさらに3つのフェーズに分けられます。
まず最初の段階は、大気中のメタンと二酸化炭素の濃度が緩やかに上昇しながら、数千年にわたって地球温暖化をもたらします。
次のフェーズで、メタンガスの爆発的な増加によって100年かそれ以下の非常に急激な気候変動を経験します。
メタンガスの急激な増加により、グリーンランドの気温は数十年の間に約10度上昇したそうです。
そして最後の第3のフェーズで再び数千年かけて、巨大な氷床が最終的に融解していったと考えられています。
●大気中のメタンが急増中!?
メタンは、化石燃料の燃焼、農業などの人間による活動と、湿地帯での植物の分解などの自然現象の、両方によって放出される強力な温室効果ガスです。
大気中のメタン濃度は1980年代に急増し、1990年代に一度安定したものの、2000年代後半になると再び上昇し始めました。
そして現在に至るまで、メタンガスは記録的なペースで増加し続けています。
なんと最近の変化のペースは、1万2千年も前にグリーンランドを劇的に温暖化させたような、終焉期の頃のメタンの増加ペースと同程度かそれ以上で可能性があるとのことです。
人間活動によるメタンガスの排出量は、天然ガス産業の拡大とともに増大してきました。
しかし2000年代後半には人間の活動に劇的な変化があったわけではなかったので、これ以降のメタンガス増大は自然現象が原因である可能性があります。
実際に2019年以降、アフリカを中心とした熱帯の湿地帯からのメタン排出量が急増していることが、地球全体での大気中のメタン濃度の急増に繋がっているという研究報告があります。
熱帯の湿地帯からのメタン排出量が急増しているのは、気候変動で降雨量が増加することによって湿地帯はより湿潤になり、より範囲が拡大すること、
そして気温の上昇によって植物の成長が促進され、より多くの分解物が生み出されるようになったことで、より多くのメタンが発生するようになったと説明できます。
大気中のメタン濃度の急上昇が原因であるという決定的な証拠はまだありませんが、実際に気候が変化していることを示す証拠は既にたくさんあります。
具体的には大西洋の海流の減速や、全世界規模で起こる過去類を見ないほどの温暖化、熱帯に分類される地域の拡大などが挙げられます。
体感的にも確かに最近は夏が本当に暑くなってきた気がします。
このような気候変動の原因が仮にメタンの濃度の上昇であった場合、この変動が今後どれほどの規模で続いていくのかは気になるところです。
すぐに元に戻る通常の変動に過ぎないかもしれませんが、長期的な気候変動の前兆である可能性もあります。
一方で、メタンの増加は太陽活動の活発度と相関しており、極大期に近い現在の太陽活動の影響を取り除いた場合、メタンの増加量のデータは今後下方修正される可能性もあるようです。
メタンの急増現象は、氷期から間氷期へと短期間で移行する「終焉期」の一部に起こるものですが、それと同様の現象が氷期ではない現在に起きた場合、それがどのような結末を導くのかはよくわかっていません。
今後大規模な気候変動が実際に起こるかどうかは定かではありませんが、私たち人類に可能な範囲でメタン排出量のコントロールなどの対策を検討する必要があるかもしれません。