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1部での初勝利。輝いたノジマステラ神奈川相模原と、AC長野パルセイロ・レディースの苦悩(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
ノジマは1部のホーム開幕戦を勝利で飾った(C)松原渓

4月2日(日)、なでしこリーグは各地で第2節が行われ、ノジマステラ神奈川相模原(以下:ノジマ)は、AC長野パルセイロ・レディース(以下:長野)をホームに迎えた。

1部昇格1年目のノジマと、同2年目の長野との注目の一戦は、共に攻撃的なサッカーを展開し、ノジマが3-2で勝利を納めた。

1部での初勝利。輝いたノジマステラ神奈川相模原と、AC長野パルセイロ・レディースの苦悩(1)

以下、試合後の監督・選手コメント。

監督・選手コメント

菅野将晃監督(ノジマ)

ーー勝利の感想をお願いします。

ノジマステラの、新たな章(ページ)だと思います。その第2章を、ホームでの開幕で飾りたいという強い気持ちを持って臨みました。ただ、やはり勝利を掴むのは簡単ではなく、一勝することの難しさと嬉しさを感じられました。

ーー試合内容についてはいかがですか?

長野は、開幕戦では今年の上位に来ると思われるレッズ相手に1-0の勝利という最高のスタートを切っていたので、自分たちの力を出し切らないと勝てないと思っていました。先制点はチームに落ち着きをもたらしてくれたと思います。ただ、警戒していたセットプレーからねじ込まれてしまい、後半はもう一度、自分たちのサッカーをどれだけ出せるかチャレンジしよう、と。苦しい時間帯もありましたが、(石田)みなみの得点も気持ちのこもったゴールだったと思います。(長野の)横山(久美)選手のような素晴らしい選手は、ちょっとした隙も持たせてもらえないということも、勝利の中で感じさせてもらえて、ありがたい経験です。

ーー開幕戦後、どのような修正をして第2節に臨みましたか?

(開幕戦の)INAC戦では、相手の動きの速さや質が1部では(2部と)違うということが、大きな反省点になりました。その差を埋めないと、今後、戦っていく上では厳しいので、週の半ばまでは、前節の修正をしました。勝利を計算できる相手は一つもないですし、それなりに戦って勝てる試合は絶対にないので。自分たちの持っている力を出し切る強いメンタリティーを持ちながら戦っていきたいです。

ーーなでしこリーグデビュー2試合目の國武選手の評価はいかがですか?

開幕戦もですが、今日も、彼女がいなかったら相当やられていたと思います。ポテンシャルの高い選手ですが、1部の厳しさの中で、これまで気づかなかったことや、表現できていなかったことが表せるようになっていくと期待しています。

ーー1勝して、1部で戦っていく上での自信は得られましたか?

まだまだ、そこまでは(ありません)。INAC戦で、一人ひとりの動きの質とか量とか速さとか、ついていけるはずなのに、試合だとついていけない、そういう底力や地力の差を感じさせられました。今日はホーム開幕という大きな後押しもあったし、次の試合は、また大変だと思います。嬉しい一勝ですけれども、これが次の試合に繋がるかといえばそんなに簡単ではないですし、また新たな戦いに臨む気持ちです。

MF 田中陽子(ノジマ)

ーーホーム初勝利の感想を教えてください。

初戦を落としたので、勝ち点3を取れてホッとしています。2部の時から昇格するために応援してくださっている方がたくさんいる中で、1部の舞台で初勝利をホームでお見せすることができて嬉しいです。

ーー2部と1部の差をどのようなところに感じますか?

2部は、人に対してマークが複数(プレッシャーに)来る激しさがあります。そういう球際の部分では、1部の方が駆け引きできるので、やりやすさと楽しさを感じます。ちょっとした隙をやられてしまったり、最後の場面でしっかり決めなければ勝てない部分や、ゲーム配分も違いますね。

ーー流れの悪い時間帯は、どのようなことを考えてプレーしていましたか?

ボールを獲られた瞬間に中盤が空いてしまったり、逆に、奪った瞬間のパスミスもあったので、中盤にしっかりポジションを取って、三角形を作ったり、一人かわすプレーを意識していました。流れが悪いと(試合に絡めず)消えてしまうので、なるべくボールに触って、絡んで、ちょっとでも役立てるようにと意識しています。

ーー1部に定着するためには、どのようなことが大切だと思いますか?

ゲーム内容を大きく変えることはできないと思いますが、メンタル面で、相手をリスペクトしすぎないようにすることは意識しています。ゴール前で体を張ったり、クロスやフリーキック、コーナーキックを得点に結び付けられるチームが優勝しているので、内容はどうであれ、一番大事なゴールを決める部分や、気持ちの面で勢いはすごく大事だと思います。

ーー今シーズンの目標を教えてください。

まずは結果を出したいです。アシストでも、フリーキックでも、ゴールに結びつく結果を出して、アピールしたいです。

DF 石田みなみ(ノジマ)

ーー試合の感想をお願いします。

前半の失点の場面は、自分のマークしていた(矢島)選手に決められたので、取り返そうと思って後半に臨んで、チャンスの場面でしっかり決められて良かったです。ホーム開幕戦ということもあって、家族や友人や、いつも応援してくれているサポーターも見てくれている前で良いプレーをしたいと思っていました。みんな気持ちが出ていましたし、ファースト(ディフェンス)もセカンドもしっかり行けていたので、ノジマの時間帯が多かったのかなと思います。

FW 南野亜里沙(ノジマ)

ーーホームでの初得点の感想を教えてください。

ホーム開幕戦で、初めてのゴールを獲れたことは本当に嬉しいです。多くのお客さんが来てくれて、このような環境で試合ができることに感謝しています。

早い段階で先制点が取れましたが、そのあと相手のペースになってしまう時間帯も多く、自分たちのペースをつかめない時間帯も多かったのですが、粘り強く戦えたことが勝利につながったと思います。今日だけに終わらず、毎試合ゴールを決めて、チームの勝利に貢献できるように取り組んでいきたいです。

本田美登里監督(長野)

ーー試合の感想をお願いします。

相手のポゼッション率が高い中で、主導権を握るためにどうすれば良いかというところは、うちの課題です。中盤を省略して前に、前に、という、去年のスタイルとほぼ一緒になってしまったので、今後は中盤でもっと(ゲームを)作れるようにしていきたいですね。ノジマのシステムが変則的な部分があったので、うまくフォーメーションを噛み合わせることができず、それなりに対策をしてきたつもりだったのですが、攻撃がハマりませんでした。

ーーゾーンディフェンスに取り組む上での課題はどのようなことですか?

今日の試合ではノジマの9番の(尾山沙希)選手と8番の(田中陽子)選手に対して、(ブロックを作るところで)焦れて(奪いに)いってしまったり、逆に(行くべきところで)いかなかったりというところで、(判断が悪く)後手を踏んでしまいました。セカンドボールを奪えない時間帯もあったので、試合を重ねて修正したいです。できれば、もうちょっと高い位置でボールを奪いたいという意図はあります。

ーー攻撃面はいかがですか?

1失点目がミスから始まっていて、前半はちょっとビビっちゃったのかな、と思います。もう少し落ち着いたサッカーをしたいですね。(ブロックを作って引いても)結局は3失点してしまったので、それなら最初から自分たちの(前からプレッシャーをかけにいく)サッカーをやっても良かったのではないか、と。その使い分けをできるようにしていきたいです。

ーーゾーンディフェンスとマンツーマンの切り替えは、どのように考えていますか?

得点の経過によりますね。前半が0-0とか1-0で終わっていたら、「(ゾーンディフェンスのままで)良し」となりますが、早い時間に失点して、選手たちも前にエンジンがかかっているので、(切り替えるかどうかの)難しさはありましたね。最初にうちが決めていれば、もうちょっと違うゲーム展開にはなったと思います。この試合が良い勉強になりましたし、同じ失敗をしないように、次の試合に向けて準備をしたいと思います。

MF 大宮玲央奈(長野)

ーーマンツーマンからゾーンディフェンスに切り替えた中で、どのような難しさを感じていますか?

去年は(マンツーマンで)サイドバックに対してプレッシャーをかけに行くという役割だったので、タイミングも迷わず行けたんですが、今、(ゾーンディフェンスで)サイドハーフに求められている仕事は、相手を2人見ながら、背後の選手も見なければならないので。2つ、3つの選択肢の中から、その時の状況判断でどこに比重を置くか、ということが難しいです。周りの選手の動きも見ながら、(相手に)寄せるタイミングを決めなければいけません。

ーー攻撃に移った時の、選手同士の距離感はどうですか?

今日の試合もあまり距離感がよくなくて、(ボールを奪ったときに)サイドハーフの位置が低くなってしまい、(横山)久美と、トマ(泊志穂)が孤立してしまったのは課題です。

ーー逆に、手応えを感じた面はありましたか?

守備に関しては、個人的には(前節の)レッズ戦よりは高いポジションでプレーできました。

ーー引いて守る場面と、前からプレッシャーにいく場面の切り替えの難しさもありますか?

そうなんです。今はチームの意識の中で、ブロックを作ってリトリート(自陣に下がりゴールを守る)することが先にきているのですが、相手は前からガツガツ来られた方が嫌なのかな、と感じる場面もありました。今後は試合状況を読んで、前からプレッシャーをかけるのか、引いて守るのかというところを、自分たちで判断して変えていけるようにしたいです。

ーー今後の、個人的な目標を教えてください。

今シーズンに入って、みんなの守備の意識は高まっているのですが、守備に意識がいきすぎているところもあるので、中盤からもっと組み立てて、サイドで起点を作れたら、チームとしても攻撃が楽になると思うので、もっと攻撃に関われたらいいなと思っています。

MF 國澤志乃(長野)

ーー守備面で、どのようなところに難しさを感じましたか?

相手のサイドハーフの選手が中に入ってきたときに、(ゾーンディフェンスでは)自分とノグ(野口彩佳)で見きれない部分もあって、そこをうまく突かれてしまいました。ダブルボランチの距離感のバランスが悪かったのもあると思います。

ーーダブルボランチのコンビネーションでは、意識的に高いポジションを取っているんですか?

元々、低めのポジションなのですが、ノグも低めになる時は、意識して高い位置を取るようにしています。2人の距離感や、前後のバランスもまだ掴みきれていないので、これから改善していきたいです。

ーー前節と比べて、守備面は良くなりましたか?

最初の15分は前からプレッシャーをかけにいこうと話していたんです。それで、前からプレッシャーをかけにいったら、相手も慌てるシーンがあったので、後半も狙っていました。ただ、守備はもっとコミュニケーションをとってやっていきたいですね。前からプレッシャーをかけに行くほうがやりやすさはありますが、失点のリスクもあるので、使い分けるタイミングが難しいです。後半は、ついていかなければいけない選手をフリーにしてしまった場面もあったで、それは課題です。個人的には、もっとミスを減らしたいです。

DF 矢島由希(長野)

ーー1点目のゴールの場面を振り返っていただけますか?

練習の中でも、あの(ファーの)位置に入る形は取り組んでいたので、あとはボールの軌道を見て、自分にボールが来ると信じて走り込みました。

ーー守備面では、サイドバックのポジションでどのような難しさを感じますか?

(前から)行くところと行かないところの判断が遅くなると後手を踏んでしまうので、サイドハーフの選手としっかりコミュニケーションをとって、判断を早くしたいです。もっと、後ろから指示を出すことも必要ですね。全体的に守備が引き気味になってしまって、前からいくという長野の良さが、後半も出し切れなかったです。ノジマは勢いと力強さがあって、ボールポゼッションも上手いチームでした。

ーー今シーズン、ご自身はチームでどのような役割をしていきたいですか?

まずは、試合に出て自分の仕事をサボらずにしっかりやることと、今日のようにゴールを決めて、チームを勢いづけたいです。ゴールはいつも狙っていたのですが、決めたのは久しぶりです。今年はセットプレーにも絡みながら、点を取りたいですね。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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