愛が破滅を生むとき:立てこもり事件もストーカー犯罪も無理心中も受験ストレスも:愛の正しい使い方
■愛による事件
普通の犯罪は、金目当てや、怒りや恨みが原因です。でも、「愛」が事件を引き起こすこともあります。
自分の母親や家族が亡くなったとき、どうでも良いと思うなら、激しい感情はわきません。でも、最愛の人を亡くしたとなれば、希望を失い自ら死を考えることもあります。
病院や関係者に激しい怒りをぶつけることもあります。
<「お母さんに何かあったら心が折れて…」立てこもり医師殺害 66歳容疑者”母親中心”の生活:埼玉県ふじみ野市の立てこもり事件:FNN1/31)
ストーカー犯罪も、動機は愛です(もちろん歪んだ愛ですが)。この女性と別れるぐらいなら、相手を殺して自分も死のうと思います。
無理心中事件も、この人とあの世で一緒になろうと思ったり、親が死んだあとで親なし子になるのは不憫だと子供を殺害したりする事件です。
絶対に東大医学部に入りたいと思ったといったことも、普通の泥棒などの犯罪者の思いとは異なります。恵まれた環境の中で、高い目標を持ったり、周囲からの評価(愛)を受けようとした結果、上手くいかないと大きなトラブルになることもあります。
■愛の力
愛の力は強烈です。すべてを捨てて愛に生きる人もいます。それが、純愛と呼ばれることもありますし、不倫や心中騒ぎになることもあります。
動物実験でも、親が子のもとに行こうとする動機は、何よりも強いことが示されています。
ただ、動物ならきちんと親離れ子離れをします。目指していた相手とパートナーになれなければ、別の相手を探すだけです。
しかし人間は、愛を失った悲しみに耐えらえないことがあります。その結果、子供やパートナーを束縛しよとしたり、ある目標に固執しすぎて不幸になります。
■受験でも
今、市立中学校の受験が行われていますが、親は子供を愛し、この学校に入学することが最善だと思い努力します。努力が報われれば良いのですが、失敗して激しく落ち込むこともあります。
その落ち込みは子供にも伝わり、子供も落ち込みます。
小学生でも高校生でも、「良い子」は親を愛し、親を喜ばせようとします。それが上手くいかないと、激しく自己卑下する子供もたくさんいます。
■愛を暴走させない正しい使い方
「愛は惜しみなく奪う」(有島武郎)になっては困ります。「愛こそすべて」は、文学表現としては良くても、現実世界で暴走してはいけません。
古今東西、愛に関しては様々なことが語られてきました。
「愛情には1つの法則しかない。それは愛する人を幸福にすることだ」(スタンダール)
「愛はお互いに見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである」(サン=テグジュペリ)
「大恋愛も、耐え忍ぶことが大切です」(ココ・シャネル)
「ほどほどに愛しなさい。長続きする恋はそういう恋だよ」(シェイクスピア)
聖書には、こうあります。
「愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません。礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、不正を喜ばずに真理を喜びます。すべてをがまんし、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐え忍びます。愛は決して絶えることがありません」(コリント人への手紙I 13:4〜8)
恋愛心理学では、恋愛が長続きするためには、熱い情熱と同時に、冷静さが必要だとされています。また、大恋愛をしたからといって、その後の結婚生活が幸せとは限らないこともわかっています。
愛はとても大切ですが、愛をコーントロールすることができなければ、破滅が待っています。
別れを怖がりすぎると、良い恋愛ができません(あなたを不幸にする恋愛、別れた方が良い恋人:悪い恋愛を見極めるポイント:別れを怖がりすぎる恋愛心理:ヤフーニュース個人有料)。
子供を抱きしめすぎれば、子供は巣立つことができません。
この人の愛を失っても、この愛する人や目標を失っても、それでも私は幸せに生きていけると思える人が、いつまでも絶えることのない健康な愛を持てるのでしょう。