デ・ヨングとF・バルベルデ…スペイン「2強」を支える中盤の支配者を徹底比較。
ビッグクラブで、居場所を確保するのは簡単ではない。若手選手や新戦力であれば、なおさらだ。
だが、今季、レアル・マドリーとバルセロナで新たな力を注入している選手がいる。フェデリコ・バルベルデ(21歳)とフレンキー・デ・ヨング(22歳)だ。
■輝く2選手を比較
ルカ・モドリッチ、トニ・クロース、カゼミーロと中盤の主力が高齢化するマドリーだが、バルベルデの台頭で救われた部分がある。ジネディーヌ・ジダン監督はイスコを含めて5選手を中盤起用する戦い方を試しており、戦術にバリエーションがもたらされている。
デ・ヨングは昨季、チャンピオンズリーグでベスト4に進出したアヤックスで、一際輝きを放った。バルセロナがアヤックスに移籍金固定額7500万ユーロ(約90億円)を支払い、この夏にバルセロナに加入した。監督交代が行われたバルセロナにおいて、混沌の中、移籍一年目からレギュラーポジションを奪取している。
バルベルデは今季のリーガで、18試合に出場(出場時間1070分)して2得点4アシストを記録している。シュート数14本、ドリブル数12回、パス本数604本、ボール奪取数65回、デュエル数112回、タックル数19回という数字を残している。
デ・ヨングは22試合出場(出場時間1693分)で2得点2アシストを記録。シュート数4本、ドリブル数39回、パス本数1305本、ボール奪取数112回、デュエル数183回、タックル数26回だ。
そして、バルベルデとデ・ヨングの共通項を挙げるなら、ポリバレントな能力だろう。
バルベルデは左右インテリオール(インサイドハーフ)、アンカー、5選手が中盤に並ぶ際には右サイドハーフでプレーする。デ・ヨングはバルセロナの逆三角形の中盤で、3ポジションをこなしてきた。
■欠かせない存在に
今季、バルベルデは著しい成長を見せている。2016年夏、移籍金500万ユーロ(約6億円)でマドリーに移籍。当初は、Bチーム相当のマドリー・カスティージャでプレーするためだった。
壁は厚かった。チャンピオンズリーグで3連覇を達成したチームでは、カンテラーノのマルコス・ジョレンテ、ベティスで輝きを放ったダニ・セバジョスらでさえ、出場機会を確保できなかった。
デ・ヨングは典型的なパサーではない。そういう意味では、シャビ・エルナンデスやアンドレア・ピルロのような選手ではない。中盤でボールを運びながら相手のプレス網を剥がしていく姿は、アンドレス・イニエスタのようだ。ルカ・モドリッチやマテオ・コバチッチが得意とするプレーでもある。
アヤックスにいた頃は、センターバックのマタイス・デ・リフト、ダレン・ブリントと協働して後方からボールを前進させていた。「デ・ヨングロール」のような役割で、エリック・テン・ハーグ監督の3枚ビルドアップを効果的にしていた。
彼らは「8番」であり、「6番」であり、「10番」である。その存在が、各チームで欠かせないものとなっている。