小学生年代のサッカー大会の抜本改革が決定。夏休みに「大トレセン」も開催へ
全少は冬に、バーモントは夏に、リーグ戦は長期に
10日に行われた日本サッカー協会理事会で、U-12(小学生)年代の重大な改革案が決定した。同日に発表されたリオ五輪代表・手倉森誠監督就任の発表や田中道博専務理事の辞任といった知らせにかき消されてしまった感もあるので、ここではそれらについて解説してみたい。
まずは、すでに2015年度からの全日本少年サッカー大会の冬季開催が決定している。1977年に創始された同大会は、小学生の日本一を決める全国大会として定着。日本テレビ系列でのTV放送が行われることもあって抜群の認知度を誇る大会となっており、「日本の小学生年代の目標、あこがれとなっている」(日本サッカー協会・田嶋幸三副会長)。これまで同大会は夏休み期間に開催されてきたが、これを冬に移行することとなったわけだ。
狙いはいくつかある。一つは夏季の連戦・集中開催が小学生年代最高峰の大会となっているという身体的な負担への懸念に加え、「夏を制す者が全国を制す」という考え方、サッカースタイルが広まってしまうことへの憂慮。また夏に頂点の大会を持ってくることで、そこで「引退」してしまう選手が出たり、以降の練習量を減らすチームが少なくないことへの配慮。そして年間を通したリーグ戦とこの最高峰の大会が連動させたいという思惑。そうしたものが絡み合って、このタイトルを冬季に移すというアイディアは早くから議論されてきた。
この措置を受けて、2015年からは「こくみん共済U-12サッカーリーグ」を原則として、4月から10月にかけて開催。リーグは都道府県を最大単位として行い、このリーグ戦の結果が、予選のシード権などの形で全日本少年サッカー大会に反映されることになる。都道府県予選は11月に集中開催され、本大会は12月下旬開催が予定されている。
こうなってくると、これまで冬に開催されていたバーモントカップ全日本少年フットサル大会との予選を含めた日程的なバッティングが問題になるが、これは逆にバーモントカップを夏に移行することで解決することとなった。2014年度の第24回大会までは1月4日から6日までの現行スケジュールで開催しつつ、2015年度の第25回大会から8月中旬の開催に移行する。必然的に、その予選は6、7月に開催されることとなりそうだ。ただ、理事会でも夏に再び大きな大会を催す形にしたことは異論が出ていたようで「今後も(開催時期が適切か)検証していきたい」(田嶋副会長)としている。
全都道府県選抜参加の「大トレセン」を開催
ただ、バーモントカップはわずか3日間の大会ということもあり、広大な夏休み期間のブランクが発生する。ここに日本サッカー協会は新たに2015年度から「JFAフットボールフューチャープログラム/トレセン研修会U-12」を開催することとなった。期間は8月の第1土曜日・日曜日を含む5日間で、47都道府県から選ばれたトレセン(選抜)、計48チームが参加する(登録選手の多い東京都のみ2チーム参加)。各チーム16名参加で、全国から計768名、関係者やスタッフを含めると1000名以上が参加するという、極めて大規模なトレセン研修会となる。
近年、日本サッカー協会は全国の選手を一斉に集める形でのナショナルトレセンU-12を廃止し、地域ごと(関東、九州など)に開催していたが、特に地方の選手にとっては刺激が弱くなるなどマイナス面も指摘されていた。選手の早期発掘を狙いつつ、指導者の交流や知識の共有を図り、なおかつ集めた選手に良い刺激をもたらすために、再び全国から選手を集める形、それもより大規模な形に改めることとなったわけだ。
2015年度からのU-12年代の主要大会のカレンダーは以下のようになる。
4~10月 こくみん共済U-12サッカーリーグ
8月初旬 JFAフットボールフューチャープログラム/トレセン研修会U-12
8月中旬 バーモントカップ全日本少年フットサル大会
11月 全日本少年サッカー大会都道府県予選
12月下旬 全日本少年サッカー大会
3月 JFA地域ガールズ・エイト(U-12)サッカー大会(※)
※(女子限定で行う地域ごとの大会)