HSPは要注意!「自律神経失調症」を予防するための視点について解説
こんにちは、精神科医しょうです。
私たち人間の体は、約37兆個もの細胞が集まってできていると言われています。
その一つひとつがきちんと機能してこそ、私たちは健康な毎日を送ることができるのですが、健康な状態を保つには自律神経の働きが正常であることが不可欠です。
自律神経とは「神経」の1つで、血管や心臓をはじめとする内臓器官すべてにのびており、それらを丁度良い具合に保つ役割を担ってくれています。
自律神経が働いてくれているからこそ、私たちは眠っている時でも呼吸が続き、外気の温度に関わらず、体温を約36度に保つことができています。
自律神経は体の好不調を左右するライフラインともいえるのですが、自分の意思ではコントロールすることができません。
特に疲労や心労、環境の変化等により自律神経のバランスは乱れやすい傾向があるため、日常の中で過度な刺激を受けやすいHSPさんなどは要注意と言えるでしょう。
では、健康維持において非常に重要な役割を担ってくれているにも関わらず、自分でコントロールが難しい自律神経のバランスは、どのようにすれば正常に保つことができるのでしょうか?
今回の内容は「自律神経失調症」を予防する視点で解説したいと思います。
まずは体調管理が基本!
私たちは栄養と酸素を食事と呼吸によって体内に取り込み、それらを腸と肺で吸収し、血液に乗せて各細胞に運んでいます。
細胞の隅々まで質の良い、きれいな血液が流れれば、すべての臓器が正常に働き、自ずと体調も良くなると言えるでしょう。
たとえば、腸の働きが良くなれば便秘に悩むことがなくなりますし、肝臓が機能を発揮すれば疲れにくくなります。
また、血液循環が良ければ、肌の質や髪のパサつき、爪のツヤなども改善され、若々しさを維持することができます。
最近は、体よりも心の健康の大切さが主張される傾向がありますが、いくら心の調子が良くなっても体の不調は補うことができませんし、その逆も然りです。
特に体の調子が悪い時は何をやっても上手くいかないことの方が多く、メンタルを疲弊させてしまいます。
逆に健康で体調が良い時は、メンタルも安定し、パフォーマンスの結果も良いはずです。
つまり、体が健康であれば、自ずとメンタルも健康も維持できるのではないでしょうか。
「何をやっても上手くいかない」「心身ともに調子が悪い」という方は、まずは重点的に体調管理をしてみると状況が好転するかもしれません。
「交感神経」と「副交感神経」はバランスを保ってこそ
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つに分けられます。
交感神経は車で言えば「アクセル」の役割を、副交感神経は「ブレーキ」の役割をしてくれています。
交感神経が働くと血管が収縮し、心拍数や血圧が上昇すると同時に、気分が高揚しアグレッシブな状態になります。
対して、副交感神経が働くと血管が拡張し心拍数や血圧を低下させ、精神をリラックスした落ち着いた状態に向かわせます。
交感神経と副交感神経のどちらか一方が過剰に優位になってしまう状態は好ましいとは言えず、これら両方が適度なバランスを保ってこそ、はじめて私たちの体と心は健康でいられます。
もし、交感神経の働きが過剰になれば、血液循環は悪くなり免疫力も低下してしまいます。
また、副交感神経が過剰に働いてもやる気が出ず、疲労感が続いたりします。
ところが、現代に生きる私たちは、ストレスや不規則な生活、食事の偏り、運動不足、睡眠不足などにより自律神経のバランスを崩しがちです。
そこでまずは、自律神経のバランスを崩しやすい環境下に置かれているということを自覚し、心身にストレスをかけない生活の仕方を考えてみるようにしましょう!
自律神経は伝染する?
感情が伝染するのと同様に、自律神経も伝染してしまうと言えます。
たとえば、大きなイベントの際、周囲の空気が張り詰めたり、ピリピリしたりしてしまうことがあるかと思うのですが、一人が動揺し呼吸が浅くなるのが周りの人に伝わると、連鎖反応が起きやすい状況になります。
災害や事故などが生じた時にパニックが起きるのも、多くはそれが原因だとも言われています。
そのような窮地に陥った際に、自分の動揺が周囲に伝播することを分かっている人達は、あらかじめ自律神経を整え、笑顔を心がけています。
そうすることで、周囲を落ち着かせ、負の連鎖を断ち切れるよう空気をコントロールしていると言えます。
交感神経優位は万病のもと
先述した通り、自律神経は血液の流れをつかさどる役割を果たしてくれているのですが、交感神経が長期に渡って優位になると、血管が収縮して血流が滞るだけでなく、血液がドロドロになってしまうことがあります。
その結果、臓器の働きが悪くなり、生活習慣病につながるとともに、免疫力や体力も低下してさまざまな病気にかかりやすくなります。
交感神経の過剰な優位状態は、万病を招くと言っても過言ではないでしょう。
まとめ
現代社会で生活している限り、ストレスと無縁ではいられないのが現状で、常に自律神経が乱れやすい環境下にあると言えます。
私たちの体は交感神経が刺激されやすいと言えますので、意識的にリラックスを心がけ副交感神経も働きやすい体を目指しましょう。
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