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「平成の奪三振王」最多はハマの番長だが、数に加えて奪取率も高いのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
杉内俊哉/北京五輪 AUG 22, 2008(写真:ロイター/アフロ)

 平成の時代に、1500三振以上を奪った投手は15人いる。そのなかでも、2481奪三振の三浦大輔は、2番目に多い工藤公康に200近い差をつけている。ただ、三浦の場合、「奪三振マシン」というよりは「無事是名馬」だろう。奪三振率6.82は15人中9位の一方で、3276.0イニングは平成2位。山本昌の3297.2イニングに次ぐ。また、昭和の時代にも投げた工藤や山本と違い、三浦の一軍初登板は平成4年(1992年)だ。

筆者作成
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 奪三振率は、9.28の杉内俊哉が最も高い。15人のなかで9.00を超えている投手は、他にいない。その上、杉内は2156奪三振も4位に位置する。

 杉内と同じく、石井一久も2000奪三振&奪三振率8.00以上で、最初の10シーズンの奪三振率は、杉内のそれを上回る。メジャーリーグへ移る前、平成4~13年(1992~2001年)の奪三振率は9.70。杉内が平成14~23年(2002~11年)に福岡ダイエーホークス/福岡ソフトバンクホークスで記録した奪三振率は、9.45だ。

 もっとも、日本プロ野球で投げ続けていても、石井の奪三振率が杉内より高かったかどうかはわからない。石井はメジャーリーグで投げた期間を挟んでいるので、比較は難しいが、日本プロ野球の11年目以降は、石井が奪三振率7.78、杉内は8.81。日本へ戻った平成18年(2006年)からの4シーズンとして、杉内と期間の長さを揃えても、石井の奪三振率は8.44だ。ちなみに、メジャーリーグ時代の奪三振率は、6.94と低かった。

 シーズン最多奪三振のタイトルは、昨シーズンまで5年続けて獲得した則本昂大(東北楽天ゴールデンイーグルス)が、平成では最も多く、2位には4度の野茂英雄松坂大輔(現・中日ドラゴンズ)が並ぶ。3度の杉内は彼らに次ぐ4位タイだが、平成20~21年(2008~09年)の2年連続パ・リーグ最多に続き、平成24年(2012年)はセ・リーグ最多タイ。両リーグでこのタイトルを獲得したのは、杉内だけだ。他にも、リーグ2位が2度、3位は3度。杉内は規定投球回をクリアした10シーズンとも、リーグ・トップ5を外れることはなかった。

 なお、「平成」あるいは「昭和と平成」を振り返った姉妹編はこちら。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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