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主な新興国/米国経済ニュース(3月26日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ボンバルディア、ロシア・テクノロジーズとの合弁解消か―ロシア制裁で

カナダ航空機最大手ボンバルディア・コマーシャル・エアクラフトは、ロシアとの軍事衝突の危機に直面している旧ソ連・ウクライナをめぐる欧米の対ロシア経済制裁が拡大する見通しとなったことから、ロシア国営持ち株会社ロシア・テクノロジーズ(ロステック)との合弁事業計画から手を引く可能性が出てきたもようだ。モスクワ・タイムズ(電子版)が25日に地元経済紙コメルサントの報道を引用して伝えた。

ボンバルディアは昨年8月にモスクワで開かれた2013年度国際航空宇宙ショー(MAKS)で、ロステックと共同で、ロシア西部ウリヤノフスクの経済特区で、同社製リージョナルジェット機(国内線や近距離地域を結ぶ小型ジェット旅客機)「Q400」(78人乗り)を2016年から生産することで合意している。しかし、最近のウクライナ情勢の悪化を理由に、ボンバルディアのピエール・ボードワンCEO(最高経営責任者)は先週、ロステックと合弁事業の延期について協議しており、また、欧米の対ロシア制裁に同社も参加するとしていることから、合弁事業が解消に向かう可能性を示している。

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トヨタ、インドネシアで自動車修理の出張サービスを開始

トヨタ自動車とインドネシアのアストラ・インターナショナルの合弁会社トヨタ・アストラ・モーターは、オートバイを使って、首都ジャカルタや近郊に居住するトヨタ・ユーザー向けに、自動車修理の出張サービスの提供を開始した。ジャカルタ・ポスト(電子版)が25日に伝えた。

ジャカルタ市内や近郊の交通渋滞で、ユーザーは自動車修理のために近くの修理工場まで出かけるのが難しい状況にある。このため、自宅で自動車修理を受けたいという要望が強く、出張修理サービスはこうした顧客にニーズに応えるものとなっている。

同サービスを提供するのはトヨタ・アストラ・モーター傘下のオート2000で、自動車の内部と外部の定期点検の注文も受け付けるとしており、いずれも各2時間で終了する。この出張サービスはジャカルタ市内にあるオート2000の4カ所の拠点のほか、プラムカや東ジャカルタのカリマランとテベト・・スポモ、南ジャカルタのラディオ・ダラムでも出張修理サービスを受け付けるとしている。

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調味料大手マコーミック、Q1決算は中国同業大手の買収効果で増収増益

米香辛・調味料大手マコーミック<MKC>が25日に発表した2013年12月-2014年2月期(第1四半期)決算は、純利益が中国の同業大手、武漢亜太調味食品(WAPC)の買収効果で、前年比8.6%増の8250万ドル(約85億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同9%増の62セントとなり、会社予想の57セントを上回った。

また、売上高も同6.3%増の9億9340万ドル(約1020億円)となり、アナリスト予想の9億7300万ドル(約1000億円)を上回った。特に売り上げの大半を占める消費者向け販売額は同8%増の6億1530万ドル(約630億円)となったが、この大半はWAPCの買収が寄与したもの。マコーミックは昨年5月、中国市場での事業拡大を目指して、WAPCを1億2200万ドル(約125億円)で買収している。また、通期業績見通しについては、売上高は前年比3-5%増、1株当たり利益は3.22-3.29ドルを予想している。

この四半期決算の結果を受けて、同社の株価は25日、米東部時間午前9時49分時点で5.41%高の71.16ドルと、急騰している。

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ハンガリー中銀、0.1%利下げ―20回連続

ハンガリー中央銀行(MNB)は25日の金融理事会(MC)で、政策金利の2週間物預金金利を現行の2.7%から2.6%へと、0.1%ポイントの小幅引き下げを決めた。利下げは26日から実施される。

中銀は2011年12月に7%へ0.25%ポイント利上げしたあと、しばらく政策金利を据え置いたが、2012年8月29日から0.25%ポイントの利下げキャンペーンを開始しており、今回の会合で20回連続となる。ただ、今回の引き下げ幅は前回2月の0.15%から0.1%と、一段と小幅になっている。これで計4.4%ポイント引き下げたことになる。

中銀は1月会合時に発表した声明文で、「インフレの先行きの見通しと景気リスク、さらには経済成長のペースが次第に力強くなってきていることを考慮すれば、今後も慎重に追加利下げが行われる可能性があり、利下げは小幅となる」としており、今後の利下げは緩やかなペースになることを明らかにしていた。

今回の声明文では、中銀は、今後のインフレの見通しについて、「インフレは安定的に推移し、ディスインフレ(物価上昇率の低下)もゆっくりとペースダウンしていく」とし、景気の見通しについては、「企業の設備稼働利率は景気回復に伴い徐々に上昇していくが、家計消費は国内の実体経済からインフレ上昇圧力を受けるため、伸びが抑制される可能性が高い。このため、実体経済は引き続きディスインフレの影響を受ける」と述べている。

さらに、中銀は、「インフレ目標の達成を優先する一方で、実体経済の状況や金融市場の安定も考慮し金融政策を決定していく。金融政策は引き続き、インフレと経済成長の両方リスクのバランスを取りながら、慎重な政策運営を目指す」としている。

ただ、中銀は今回の声明文で、「中銀はこれまでかなりの利下げを実施してきており、政策金利は中期的に物価の安定を確保できるレベルにかなり近づいてきた」とし、利下げサイクルが終わりに近づいたことを指摘している。ただ、その一方で、「今後、世界の金融市場の環境が急激に悪化した場合には、金融緩和サイクルをずっと続けることになる」とも述べ、利下げ継続に含みを持たせている。この文言の解釈について、ハンガリー経済専門サイト、ポートフォリオは、「金融市場の状態が良好な場合には、政策金利を2.5%にまで引き下げる可能性があることを意味している」という。

次回の金融政策決定会合は4月29日に開かれる予定。

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エヌビディア、最大12倍高速の次世代GPU「パスカル」の試作品を発表

米グラフィック・プロセッサ(GPU)大手エヌビディア<NVDA>は25日、同社主催のコンピューティング開発者会議で、コンピューターゲームのアニメーションを限りなく現実に近いものにするGPUの現在の最高峰と言われる「マクスウェル」のゲーム性能をさらに飛躍的に高めた次世代GPU「パスカル」(開発コード)の試作品を発表した。

同社では2016年にパスカルを市場に投入したいとしているが、詳しい発売時期や価格などは明らかにしていない。ジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)によると、パスカルでは、GPUとGPU、また、GPUとCPU、CPUとCPUメモリとの間のデータ転送速度を高速化し、GPUとCPUを結ぶI/Oシリアルインターフェイス「ピーシーアイ・エクスプレス(PCIe)3.0」比5-12倍の高速でデータ転送が可能な新技術を織り込だとしている。また、消費電力も4分の1に抑えられるという。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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